《真の聖である私は追放されました。だからこの國はもう終わりです【書籍化】》200・聖し子

リンチギハムに戻ってきた私は今回のことについて、ナイジェルと話し合っていました。

「どうしてクロード殿下には呪いの耐があったんだろう?」

私が淹れた紅茶を飲みながら、ナイジェルがふとそう口にした。

「どういうことですか?」

「いや……やっぱりなんだか、違和があってね。君やドグラスみたいな、特殊な出自ならともかく……あのベルカイムの騎士団長ですら、の前には抗えなかった。それなのにどうしてクロード殿下が……って」

思案顔のナイジェル。

確かに、彼がそのような違和を抱くのも無理はありません。

ですが、私には大の察しが付いていました。

「それはクロード殿下も特(・)殊(・)な(・)出(・)自(・)だったからです」

「そりゃ、ベルカイムの第一王子だからね。でも呪いの耐があることとは別だろう?」

「いえ、違います」

私が否定すると、ナイジェルは首を傾げた。

「そうですね──まずはベルカイムの伝統についてお話ししましょう」

が代々、ベルカイム王國を守ってきました。

それは王都の地にて、魔王が封印されてきたから。

だからベルカイムで生まれた達の中で、最も適正のある者に神は神託を授けていたわけです。

「そして聖となったは、その國において最も次期國王の座に近い者と婚約させられます」

その理由については曖昧だけど、おそらく政略結婚的な意味合いが大きかったと思う。

前代において、その時に聖と婚約した王子は、そのまま國王へと。そして聖は子どもを授かります。

「それが一どういう──あっ」

「そういうことです」

ナイジェルがようやく理解する。

そう──クロードは前代の聖の子どもなのです。

「聖の子どもだったから……クロードにはその力がしだけけ継がれていた。それが呪いへの耐だったということだね」

「はい」

私も元々、呪いへの耐がずば抜けていました。

それは昔のレティシアが直接私に呪いをかけなかったことからも、分かります。

そして今回の件においても、聖である私はにかからなかった。

クロードもそれと同じだったということです。

「合點したよ。盲點すぎて見落としていた」

「まあ、これは私の推測ですけれどね。本當はクロードのレティシアに対するが、を打ち破ったのかもしれません」

と私は肩をすくめた。

……か。結婚式は臺無しになってしまったと思ったけど、最後の二人の幸せそうな表を見たら、全てが報われた気持ちになったよ」

「私もそれは同じです」

私は首を縦に振る。

ああいうのを見ていたら、何度でも結婚式を挙げたくなってきます。それほど二人は幸せそうでしたし、白いウェディングドレスにを包んだレティシアはしかった。

そんなことを思っていると──突如、ナイジェルが私の膝に頭を預けてきました。

「ナ、ナイジェル!?」

「……今回はさすがに疲れちゃってさ」

とナイジェルは聲に茶目っ気を滲ませた。

「だから……これくらいは許してくれるかなって。嫌だったかな?」

「そういうわけではありませんが……」

膝枕をされながら、私を見上げるナイジェル。

まるでこうしていると、お母さんに甘える小さな子どもみたい。

いつも毅然としているナイジェルからは想像も出來ない姿で、彼へのおしさが膨らんでいきます。

「ゆっくり休みましょう。さあ──目を瞑って」

「…………」

私が言うより早く、ナイジェルから微かに寢息が聞こえてきた。

本當に疲れていたようですね。

私はナイジェルの頭をでながら、幸せな気持ちに包まれていた。

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