《真の聖である私は追放されました。だからこの國はもう終わりです【書籍化】》202・ファーヴの正

「ドグラス」

夜。

王城のバルコニーの柵に肘を預け、夜景を眺めているドグラスに聲をかけました。

「……なんだ。なにか用か?」

ドグラスは振り返らず、前を向いたままそう答える。

彼はベルカイムでの騒が終わってから、ずっとなにかを考え込んでいる様子でした。

私も彼に々と聞きたいことがありましたが、そのあまりの空気に口を噤むことしか出來なかった。

「あなたに聞きたいことがあるんです。そろそろ教えてくれてもいいでしょう?」

「丁度よかった。我も汝と話したかった」

とは言っているものの、やっぱりドグラスはこちらに顔を向けてくれない。

──今回の事件で、一つだけ大きな謎が殘った。

それは謎の男、ファーヴのこと。

彼はことあるごとに私達を助けてくれた他、のことについても詳しかった。

そしてなにより、ドグラスがファーヴを見た時のあの表

『どうして貴様がここにいる!』

その瞳には強い憎悪のが含まれていました。

あんなドグラスは見たことがありません。

「ファーヴと知り合いなのですか? それに彼は一何者……」

「何者だと? 汝も既に分かっているんだろう? ヤツの正がな」

「……はい」

ドグラスがそう言うということは、やはりあの時に私がじたことは勘違いではなさそうです。

「ファーヴが著ていたローヴ、あれは自らの正を隠すものだったのでしょうか?」

「だろうな。どこかで見たことのある服だと思っていたが……あれなら、我とエリアーヌが気付けなくても仕方がない」

悔しさを滲ませて答えるドグラス。

私達の前を通り過ぎる夜風が、やけに冷たくじた。

「二度と會うことはないと思った。二度と顔も見たくないと思っていた。だが、ヤツは我の前に現れた」

そしてドグラスは振り返って、こう口をかす。

「──ヤツは黃金竜ファフニール。我の──いや、全ドラゴンの{敵}だ」

本日、書籍5巻が発売となりました!

よろしくお願いいたします。

    人が読んでいる<真の聖女である私は追放されました。だからこの國はもう終わりです【書籍化】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください