《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第116話 右手Ⅷ①

金屬が振する分厚い音で、ラポルトの進発デッキの発進口が開く。

シャトルが帰ってきたんだ。――皇帝警護騎士団の送迎シャトル。

戦闘の後、DMTは騎士団さんの艦に空輸されていった。と、同時に。

さん達「附屬中3人娘」と「工科メンテ3人組」はあっち――騎士団の旗艦1番艦「ボルテ=デイセチェン」に向かった。「3人娘」は現狀報告と今後の指示、「メンテ3人組」は向こうでDMTメンテの実地見學、という事だったけど。

たぶん寂しかったんじゃないかな。ラポルトの艦載機をずっとメンテナンスしてきてくれたのはあの3人だったから。

まあ今回は戦闘で直撃弾喰らってる「中破~大破判定」だし、いくら優秀でも中學生がリカバリーできる範疇を超えてしまっていたらしいしね。

その6人を乗せたシャトルが戻って來たんだ。時間はもう22時を回っていた。

現在、ラポルトはまほろ港の近海洋上に浮遊している。民間航路の邪魔をしない場所に。

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そして、その周りをぐるっと取り囲む様に、皇帝警護騎士団の艦隊が巡回してくれてる。守ってくれてるんだ。

1番艦ボルテ=デイセチェン ヤサ級戦艦 全長480m 艦隊旗艦

2番艦クラン=ダイルウスン ヤサ級イージス艦 全長450m

3番艦イェスイ=イェケチェレンヤサ級攻撃型空母 全長460m

4番艦キコクコウシュ=エイショウオウヤサ級攻撃型空母 全長460m

5番艦イェスゲン=イェケチェレンヤサ級攻撃型空母 全長460m

6番艦チャカ=リアンゼン ヤサ級強襲揚陸艦 全長420m

※イェスイとイェスゲンは同型姉妹艦

ヤバい。ヤバすぎる。こんな凄い艦艇が勢揃いなんて、國家行事だよ。「あ~確かに。パねェっすね~」とか言ってた網代さん! リアクションが薄いよ!

あ、戦艦とか空母とか々あるけど、基本どの艦も能力的には「戦艦」なんだよ。どういう目的で作られたか? 能力がどっち寄りか? くらいの違いで、各艦DMTは搭載してるし、攻撃能力もある。萬能を求められる現代戦仕様なんだ。

そしてあらためて。

全長550mの、このラポルトは大きい。ああ、「潛空艦」だってのはもう教えてもらったけど、騎士団のボルテでも480mだよ? 紘國でこれより大きな船は「紘國旗艦 ティムール=イ=ラング」だけだよ。

全長580m。子供の頃に皇帝閣下と皇太子殿下の行幸(みゆき)で、みなと軍港に空泊した事があるんだよ。友達と行って見上げたなあ。

「‥‥‥‥。あれ? 暖斗くんがいる。師匠」

「ホントだ。すっげー違和。戦闘あったら一番に寢込んでたヤツが」

シャトルの著陸管制をしていた僕を、降りた6人が見つける。

「ありがとう暖斗くん。他の人は?」

渚さんが駆け寄ってきた。

「‥‥もうみんな寢ちゃったよ。‥‥舵は仲谷さんが持ってる。今日はよっぽど疲れたんだね」

「あ~仲谷さん? ついに舵まで習得してんの~? だったらメンテ班にってしかった~」

「‥‥‥‥。なんか『私の故郷にはDMTは無いので』ってクールに斷られた」

「柚月。それクールって言うのか?」

「は~騎士団(イポテス)ムリ。まじムリ。熱系の、部屋の空気にまでしみ込んだ男(おとこじる)臭‥‥‥‥ムリ。早く電脳戦闘室(エンケパロス)に戻りたい」

「澪はもう。たまには自室に戻りなさい」

そこかしこでボケとツッコミが始まってる中、子さんが意外な數字を言った。

「みなと軍港には3日後到著と決まった。明日正式に説明會(レク)するけど。『通路』解放の許可ももらったし」

「3日後? 『通路』?」

「うん。そうなんだ。だから暖斗くん。みんなでゆっくり帰ろう。慌てて休む必要は無いよ」

「‥‥‥‥どうして3日も?」

と、僕が呟いたけど、子さんには聞こえなったらしい。渚さんと額を寄せあっていた。

「『‥‥軍人を志した時から、死ぬ覚悟なんぞ出來ておる! 強大な敵に敢然と立ち向かい、故國やする者達のために勇敢に戦い散っていった――』だってさ」

ん? 何の話だろ。子さん。‥‥そうか。向こうの艦で今後の事を話して來たんだった。

「――軍人なら、そう語り継いでしい所だ。それは私達だって同じ思いだよ。だが、我々ラポルト16は、それを赦さない」

「何せ中學生ですもんね。私達」

「うん。そうなんだ。しかも16人中15人は『子』ときている。そんなのに殺されるのは、正直キツかっただろうね。敵は」

「もう降伏一択。カタフニアの火力での一方的な攻撃だったしね。‥‥‥‥そこまで考えて作戦立案(プレゼン)してたのね。莉。‥‥‥‥今さらながら呆れるわ」

「呆れてくれ。さらにこの先も『読んでいる』。紘國男から見てどうだろう? 今回の件。――――15人の子が活躍してしまったこの事実を」

「わかるわ。もし全員子だったら、もっととんでもない事になってたかも」

「アマリアのふたりを16人に加えて、18人にしてくれ、との申は無視されている。これひとつでも推して知るべしだよ」

何だろう。子特有の高速で會話してる。けど、なんか雲行きがあやしいな。

「じゃ、この艦が3日もかけて基地(ベース)に向かってるのは、やっぱり」

「『騙り』だよ。スピードはリアタイ出力で出せるからね。ただまあ、正式発表するにあたり、戦死者のカウントを確定させる時間がしいってのは実だろうね。あと重要になってしまった『暖斗くんの撃墜數』もね」

「‥‥‥‥‥‥向こうに、『準備』をする時間が必要って事ね‥‥‥‥」

時間は10時30分を回っていた。みんなこれから自室に戻ってお風呂とかに行くんだって。‥‥‥‥。多賀さんがまた3Fに來ないか? 警戒しなくては。

まあ今日、彼と3F浴室で鉢合わせする心配はない。なぜなら‥‥‥‥。

「おまたせ。依」

「‥‥‥‥あ、暖斗くん。待ってたよ。ごめんね」

もうお風呂にはったし。

それに、今から醫務室にいる依に呼ばれているから‥‥‥‥!

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