《【コミカライズ配信中】アラフォー冒険者、伝説となる ~SSランクの娘に強化されたらSSSランクになりました~》第280話 闘爭の味

☆★☆★ コミカライズ更新日 ☆★☆★

本日、BookLive様にて最新29話が更新されました。

Web版44、45話の容となります。

年騎士たちの熱い戦いにご注目ください。

「ふふ……」

不敵に笑ったのは、ハッサルであった。

神狐(しんこ)にして、盲目の占星師は、初めてヴォルフの前に出てきた時とは印象は異なる。

口角が禍々しく歪み、這いつくばる元ライバル――カラミティ・エンドを蔑む。

反吐を吐き、しいを切り刻まれ、象徴的な禍々しい翼が折れても、カラミティは立ち上がる。

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その姿はどことなくヴォルフ・ミッドレスと被る。

レクセニル王國で起こった慘事。

カラミティすら死をれられずにはいられなかったあの絶の淵で、それでもヴォルフ1人だけが諦めなかった。

ヴォルフという男を知らなければ、カラミティはとっくに死んでいただろう。

けれど、今彼の側にヴォルフ・ミッドレスはいない。遠くレクセニル王國の地で彼は今最の娘を背にして戦っているからだ。

今日だけはヴォルフに頼ることはできない。

(確かにヴォルフはいない。だが、我の中にはヴォルフ・ミッドレスが存在する!)

その時のカラミティの表を見た時、ハッサルから笑みが消えた。

火事場の馬鹿力というわけでもない。

ただ死という結末をんだものの目ではなかった。

何よりハッサルが持つ【千里眼(サザンド・ジェル)】の見せるビジョンが歪み、未來を見えなくなる。

未來を視ていて、時々あることだ。

それでも、ハッサルもまた引かなかった。

「カラミティ……、様…………」

地面に倒れたゼッペリンが、眼球だけをかし、まるで聖者のように立った主を見つめる。

「ゼッペリンか……。まだ意識があるか」

「……ど、どうか。お逃げ……くだ…………さい。……あな、た…………なら」

「ゼッペリンよ」

すると、カラミティは振り返る。

串刺しにされ、まみれになっていた書のを抱き上げた。

そして、ゼッペリンのにそっと口づけをする。

予想外の行に、ゼッペリンは息を呑んだ。

口づけされることに、さほど抵抗はない。

する時に、何度もされた行為だ。

しかし、そこにカラミティのはなかった。

ただ甘く、し鉄臭い――闘爭の味がする接吻だった。

先にを離したのはカラミティである。

は笑っていたが、ワインレッドの瞳にはどこか憂いのようなじられた。

「ゼッペリン、今日までよく盡くしてくれた」

「カラミティ様……。まさか――――」

「ああ。今日で終わりだ」

「…………」

「國を興して、700年……。存外楽しいものだった。お前たちとともに過ごした日々は一生忘れぬ」

「……本當に……よろしいの……ですね?」

「お前はカラミティ・エンドが背を向けて逃げるところを見たいか?」

ゼッペリンは首を振る。

しかし、その瞳は涙に濡れていた。

「カラミティ様と……いて……。私は…………いえ。ともに歩めたこと…………幸せでないものなど……1人もおりませぬ」

「嬉しいことを言ってくれる……。さすがは我が書だ。さあ、ともにの道を歩もう」

「最期までお供させていただきます」

そしてゼッペリンは顔を上げる。

目の前の神狐(しんこ)、さらに天上族から捨てられた村人たちを睨む。

「行くぞ、ゼッペリン」

そして、死んでくれ。我が矜恃のために……。

カラミティは指を思いっきり噛む。

が滴り、1滴地面に落ちた。

次の瞬間、赤い……カラミティの瞳に似たが戦場に広がる。

浮かび上がった模様は、過去に類を見ないほどの巨大な魔方陣だった。

すると、それまで倒れていた不死の軍勢が起き上がる。骨が折れ、腳がもげ、下半をなくしても、それはこうとする。

真っ直ぐ、カラミティの元へと向かい、そのしい足に絡みついていった。

「我が主にを……」

「差し出せ、己のを……」

不死の唸りが漣のように聞こえる。

それはただ倒れていた不死の軍勢だけではない。

まるで今思い出したように村の近くの墓石がき、土の中から腐ったの不死者が現れる。

墓だけじゃない。

その辺に埋まっていた人骨も意思を持ったようにき出す。

「我が主にを……」

「差し出せ、己のを……」

「我が主にを……」

「差し出せ、己のを……」

「我が主にを……」

「差し出せ、己のを……」

「我が主にを……」

「差し出せ、己のを……」

次々とカラミティが不死者を飲み込んでいく。

その異様な景に、天上を追われた者たちですら、息を呑む。

神狐(しんこ)も【千里眼(サザンド・ジェル)】でも見えなかったこの景に、唖然としていた。

「神狐(しんこ)様、これは……」

ついに天使の1人が狼狽える。

今行われている儀式めいた景だけが問題ではない。カラミティが放った大規模魔方陣は天使ですら何かその場に繋ぎ止めるような効力がった。

しかも、油斷すれば魔力、あるいは生気といったものすら吸われていくからだ。

歪に曲がっていくかつてのライバルを見て、ハッサルは笑った。

「カラミティ……。あなた、昔に戻るつもりなのね」

しばらくして、ようやく魔法陣の効果が止まる。突然夕闇が訪れたような赤の世界はのように引いていき、再び臭が漂うのどかな村の景が広がる。

気が付けば、不死者たちの姿はいない。

ゼッペリンも、そして骸骨將軍の姿もなかった。

ただ1人……立っていたのは、膝にすら屆く長い銀髪と、金の瞳をした淑であった。

スリットのったボンテージの黒のドレスを纏い、ロンググローブの先にはある繊細な指先には、柄が骸骨となった剣が握られている。

「この姿になったのは、700年ぶりだな」

の口かられた言葉は、氷のように凍てついていた。

に覆い被さるようにあったのは、大きな天使の影。

今まさに淑を摑みかかろうとしている。

だが、次の瞬間には淑の姿は消えていた。

そのきについていけていたのは、ハッサル1人だけだ。

「上よ」

天使たちは空を見上げる。

だが、見上げただけで反撃などできなかった。

落ちてきた淑の蹴りを思いっきり後頭部に痛打すると、そのまま地面にめり込む。

すかさず著地を狙った天使は――――。

「ふん……」

鼻で笑いながら、持っていた剣を振った。

スパッと天使のが袈裟に切られる。

さらに足蹴にしていた天使の脳天にも、剣を突き刺し、2の天使は同時に消滅した。

あの【大勇者(レジェンド)】ですら手こずった天使を、淑はあっさりと殺したのだ。

銀髪を靡かせながら、淑は金の瞳をらせる。

「控えよ、下郎ども。……我は真祖――カラミティ・エンドなるぞ」

來月にはコミックス5巻発売されます。

すでにAmazonや楽天では予約ができるようになっていますので、

ご予約よろしくお願いします!!

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