《【書籍化】絶滅したはずの希種エルフが奴隷として売られていたので、娘にすることにした。【コミカライズ】》第97話 ジークリンデ、ちょっと勇気を出す
「それなら──採りに行くか?」
「採りに? 何をだ」
ある日の晩。
リビングで、リリィが授業でコーラル・クリスタルを破壊せしめたことをジークリンデに自慢していた時のことだった。
「コーラル・クリスタルだ。いくらお前でも5000萬は大金だろう。それに──今となっては私も無関係ではないからな」
ジークリンデは僅かに頬を赤らめながらそんなことを言い出した。意図が分からず俺は聞き返す。
「無関係じゃない? どういうことだ?」
今回の責任は確実に俺にあると思うが。
…………まさか、お金が足りずジークリンデに借りようとしてると思われてるのか?
流石に學生の頃とは違う。5000萬くらい余裕で払えるぞ。
「いや……あのだな……えーっと…………私はお前の……妻、だろう。妻、なんだよな? であるからだな、つまり──」
「ああ、つまり俺の出費はお前の出費でもある、と、そういうことが言いたいのか?」
「そっ、そうだ! ま、まあ別に私が払ってやってもいいんだがっ、こういうのは一応しっかりした方がいいと私は思うんだ! ま、まだ付き合いたてな訳だしな……?」
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「なるほど」
あたふたと手を振りながらジークリンデが説明していることを要約すると、つまるところ「夫婦のお金なんだから5000萬の出費は避けろ」ということだった。
確かに、今や俺の金はジークリンデの金でもある。自分勝手に散財するわけにもいかなくなってしまった。まあ、それで言えば得をするのは圧倒的に俺なわけだが。言うまでもなくジークリンデの実家は超超超お金持ちだ。
「それで採りに行けってわけか。別に構わんが、俺はコーラル・クリスタルがどこで採れるか全く知らんぞ」
帝國領で採れるのかすら分からない。普通に生活していれば必要になることはないし、その特上、魔法省に採取クエストが依頼されることも稀だからな。普通にしていればまず壊れない代なんだ、あれは。
ジークリンデは眼鏡の縁をり、意味ありげな視線を俺に向けてくる。頬の赤みは既に引いていた。
「それについては問題ない────私も同行するからだ」
「お前が? 何故?」
まさかの発言に俺は理解が追いつかない。魔法省長補佐って、そんな個人的な事で帝都を離れていいものなのか?
ハテナマークを浮かべる俺に構わず、ジークリンデは耳元に口を近づけてくる。
「…………これはここだけの話なんだがな。実は魔法省でコーラル・クリスタルを武に転用出來ないか、という話が出ているんだ」
「コーラル・クリスタルを武に?」
武っていうと門兵が裝備しているような剣や槍、盾のことか。確かに魔法を無効化するコーラル・クリスタルを鎧や盾に使えたら対魔法使いの戦闘においてかなり脅威になるだろうが。
「うまくいくのか、それ?」
だが、そんなことは誰でも思いつく。それなのに未だ実現していないということは、何か問題があるということだろう。例えば……加工が難しいとか、コストがかかり過ぎるとか。重すぎる、ってのもあるな。
「それをこれから調べるんだ。丁度近いうちに帝國領のコーラル・クリスタル生産地を視察することになっていてな、護衛代わりにお前を連れて行けばいいんじゃないかと思ったんだが……どうだ?」
ジークリンデの真っ直ぐな視線が眼鏡越しに俺を捉える。その瞳からは何のも読み取ることは出來なかったが、恐らくこの件に関しては元々何のもないんだろう。俺が斷ったところで別の護衛を付けて行くだけの話だ。ただの仕事だからな。
…………ひょろっちい護衛を付けていくくらいなら俺が行った方がいいか。何か事件に巻き込まれる可能は低いだろうが、魔法省高などどこで恨みを買っているか分からないからな。
となると、俺の答えはひとつだ。
「俺に斷る権利などないさ。リリィのことをにして貰う代わりにお前の仕事を手伝う、そういう契約だからな」
「…………そういえばそうだったな。それで、急な話だが來週でも構わないか? 魔法學校の方には魔法省からコーラル・クリスタルを補充すると連絡しておく」
「問題ない。場所はどこなんだ?」
「アネルカ地方だ。そこに大きなコーラル・クリスタルの鉱床がある」
「アネルカ? 聞いたことないな。どの辺りだ?」
「帝都から南東に數百キロ行ったところだ。長旅になるぞ」
「數百キロねえ。何人で行くんだ?」
「お前がいるなら二人で構わないだろう。元々は十人で行く予定だったがな」
「なるほどな。それなら長旅にはならなそうだ」
「何だと?」
例え千キロあろうと俺の運転なら數時間で著く。改造二車のスピードをジークリンデにも味合わせてやるいい機會だな。きっと驚くぞ。
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