俺はフレデリカと旅行に行くことにした。

娘のヘンリエッタに、そのことを伝えに、天與の原石へと向かう。

今うちの娘は天與のギルマスをしてるのだ。

部屋で彼は書類仕事をしていた。

「パパ！　どうしたの？」

「エッタ。俺とフレデリカはしばらく留守にする」

「留守？」

「旅行に行ってくる」

「旅行……！！！」

ヘンリエッタは笑顔になって、尾をぱたぱたさせる。

「楽しんでね！」

「いいのか？」

正直俺が出て行くのに、不安を覚えると思ったのだが。

まだまだ彼は未だから……。

「うん！　ギルドと王都はわたしにまかせてっ。ママとい～ぱい、思い出作ってきてしいな！」

ふむ……思い出か。

そういえばあいつと結婚してから、こういった行事はとんとご無沙汰だったからな。

ヘンリエッタは母親であるフレデリカのことをしてる。

母親に喜んでもらいたいから、ぜひいってこいといってきたのだろう。

できた娘だ。

さすが天與を継いだである。

「じゃあ出かけるが、あとは任せるぞ」

「はい！　ちなみにどこへ？」

「南にあるエルフ國アネモスギーヴに……」

「そ、そこはやめといたほうがいいです！」

ふむ？

そうなのか……。

「南の國のフォティヤトゥヤァは……」

「そこも危ないです！」

そうか……。

危ないところが多いのだな。

「では、獣人國のネログーマにでも……

」

「そこです！　そこがいいです！　溫泉もありますし、是非そこで！」

こうして俺はヘンリエッタの助言に従い、獣人國へと向かうことにしたのだった。