《【コミカライズ配信中】アラフォー冒険者、伝説となる ~SSランクの娘に強化されたらSSSランクになりました~》第284話 魔の微笑み

☆★☆★ 6月12日 コミックス5巻発売 ☆★☆★

シリーズ累計20萬部突破です。

新章突。書き下ろすSS収録された5巻をよろしくお願いします。

「なるほど。確かにあの時のあなたではないようだ……」

ハシリーは口を開く。

纏っていたローブをぎ捨てた。

現れたのは、彼がいつも著ていたレクセニル王國の吏服である。

見慣れた姿であったが、今日に限っていえば、どこか異常に見えた。

やはり彼がヴォルフやレミニアがよく知るハシリー・ウォートであることを、まざまざと思い出させてくれるからだ。

「本人の才覚はあったのでしょうが、ハーフブリードがこれほど強いとは知りませんでした。愚者の石(アンチ・エクサリー)を複數持つぼくのスピードを凌駕するなんてね」

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「もうやめなさい、ハシリー。ここにはパパと、この【勇者(ブレイブ)】もいるわ。……南の方にあった大きな気配も消えた。たぶん、あなたの仲間じゃないの? あなたが生み出した魔獣も死んだ。時期に、さらにたくさんの強者(つわもの)たちがやってくるわ。そうなれば、もうあなたは萬に1つの勝ち目もない」

レミニアは説得にる。

を知ってなお、レミニアの中ではハシリーは書だ。

姉のように慕っていた人を傷付けたくないという気持ちが、當然存在する。

書を慮るレミニアに対して、ハシリーはせせら笑う。

「ぼくも舐められたものです。先ほどまで親の仇みたいに睨んできたくせに」

「そ、それは――――」

「ぼくだと知って、が出ましたか?」

「そりゃそうよ! だってあなたは――――」

「そういうの……。蟲酸が走るんですよね」

ハシリーの聲は冷たく、薄い水の瞳はさらに冷ややかだった。

心の中から目の前の小さな【大勇者(レジェンド)】を蔑むような表……。

見たことのない書の表に、レミニアは小さく震える。

そのハシリーの眼を塞いだのは、ルーハスだった。

「どうでもいい」

こちらもまた背筋が凍るような殺意とともに言葉を吐き出す。

「ロートルにしても、【大勇者(レジェンド)】にしても、甘すぎる。言っただろう。ここは戦場だ。そしてあいつが元兇であることは間違いない。友ごっこならオレがあいつを斬り伏せてからいくでもやるんだな」

「なによ!」

レミニアが抗議する前にルーハスは飛び出していた。

ルーハスは本気だ。

本気で、ハシリーを倒そうとしている。

心配げに両者の戦いを見つめるレミニアの肩に、ヴォルフは手を置いた。

「パパ……?」

「ハシリーにはハシリーの事がある。それは間違いない」

ヴォルフはすでに何度とハシリーの剣をけている。それが彼だとわかったのはつい先ほどだったが、剣に込めた意志は間違いなく本だった。

決して誰かにそそのかされているわけでも、昔のルーハスのように自暴自棄になっているわけではない。

ハシリーなりの信念を、ヴォルフはじていた。

「だから、大丈夫。俺がそのすべてをけ止めてみせる」

「でも、今のままじゃハシリーはルーハスに……」

強気なハシリーだが、やはり押し込まれていた。ヴォルフとの戦いによって疲れがあるのかと思ったが、剣筋を見ても、どこか消極的な印象をける。

まるでわざとルーハスを打ち込ませているように見えた。

(おそらくルーハスもそれをわかって、ハシリーを追い詰めている。相手のペースに嵌まる前に、一気に押し込むつもりだ)。

ヴォルフの心の聲が聞こえたのだろうか。

ルーハスのギアが1段上がる。

再びハシリーの後ろに回り込む。

ハシリーの意識が後ろに向けられた瞬間、ルーハスの姿がぶれた。

今度は前に回り込む。

(ルーハスが2人!!)

もちろん、ルーハスが分裂したとか荒唐無稽な話ではない。

類い稀な腳力と、最適化された足運びによる二方向同時攻撃。

恐らくルーハスの必殺の技だ。

【狼牙(ウルフ・ファング)】!!

名前の通り、狼の下顎と上顎が噛み合うように、二撃同時の刀がハシリーに襲いかかる。

の狼の牙は、今や世界の敵となった彼に噛み付く……、

はずだった……!

「なるほど。それがあなたの技……。必殺の剣という奴ですか」

次の瞬間、ヴォルフはハシリーの瞳が異様なを帯びて、輝くのを見ていた。

すると、もはや絶絶命という窮地の中で、彼く。

スルリと狼の牙を隠し、それどころかルーハスの後ろに回り込む。その気配に気づいたルーハスは、慌てて【狼牙(ウルフ・ファング)】を解いた。

技に急ブレーキをかけながら、意識を後ろに向ける。

直後、ハシリーの気配が2つ現れた。

「ハシリーが2人!!」

「まさか!!」

ミッドレス親子は同時にぶ。

それはまさにたった今ルーハスがやったことの焼き増しだ。

ルーハスが息を呑む一方で、ハシリーは口角を上げて、魔のように笑っていた。

そして、笑ったまま言葉を紡ぐ。

【狼牙(ウルフ・ファング)】!

狼の牙がルーハスを斜めに切り裂いた。

纏っていた防を切り裂き、確実にそのに噛み付く。

しぶきを上げながら、ルーハスは棒立ちになると、そのままもないまま地面に倒れてしまった。

「ルーハス!!」

「勇者!!」

ミッドレス親子は駆け寄ろうとするが、その前にハシリーが立ちはだかる。

ハーフブリードの夥しいほどのがついた剣を払う。

やがて、その切っ先を立ちすくむミッドレス親子に向けた。

「英雄だ、勇者だと奉られても、この程度です。ただ強いだけの個人でしかない。それでは世界は救えない」

「世界を……救えない…………?」

「英雄では世界は救えない」

だから、ぼくは英雄を否定する。

ハシリーの瞳がる。

それは確かな信念の輝きだった。

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6月23日発売

『魔を狩るなと言われた最強ハンター、料理ギルドに転職する〜好待遇な上においしいものまで食べれて幸せです~3』

こちらもよろしくお願いします。

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