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実験1219の切り株　品質：可　レア度：L(伝説級)

古代の実験により生み出された特殊な樹木の切り株。

水分をから吸い上げ、魔力に変換することが可能。

水分以外の不純は排出される。

長期間に渡って寄生され、酷使されてきたことによりその力は落ちている。

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王(クイーン)塩獣(ソルティア)が乗っていたのがこの切り株である。実験に數字が続く名前の化けと言えば、私達も見たことがある『の闇森』にいた天樹殻(プランシェル)皇帝(エンペラー)百足(センチピード)だ。恐らくは同じ研究所か何かが生み出したのだと思われる。ウチの連中と同じかそれ以上のマッドサイエンティストがいたようだ。

肝心の特であるが、吸い上げた水分を魔力に変換するというもの。単純だが非常に強力な特と言える。王(クイーン)塩獣(ソルティア)はこいつが吸い上げた軽から出した水分を魔力に変換し、無數の塩獣(ソルティア)を作り出していたのだろう。

いや、違うか。説明文には『酷使されていた』とある。恐らくは寄生しつつ、軽を吸い上げさせていたのだろう。魔力に変換することを強制され、変換した魔力も奪われる。切り株にとっては災難だったな。

非常に有用なこの切り株だが、一つだけだが非常に大きな問題がある。それは…この切り株が深くを張っているせいでかせないということだった。

「海に設置すれば無限に魔力を生み出しつつ、大量の塩を作り出せたのだが…」

「そう上手くは行かねェなァ」

これを持って帰ることが出來れば多大な利益に繋がっただろう。かなり惜しいが、こればかりは仕方がない。かせないのだから諦めるしかなかった。

ただ、二度とお目にかかれないという訳でもない。というのも、元々ここを攻略した理由は三大領主を討伐するためだからだ。

ここを拠點に偵察などを繰り返し、三大領主の報を集める。維持管理してもらうために妖人(フィーンド)や千足魔(キィラプス)達に住居として提供することにもなっているので、ここに來れば使えるのだ。

「この切り株ほどではないが、こいつもかなり大きな収穫と言える。々な意味でな」

そう言って私が手の中で遊ばせるのは巨大な目玉である。大きさはバレーボールほどもあり、手りはガラス玉のようにツルツルとしていた。重さは驚くほどに軽く、では紙風船のようである。

これは王(クイーン)塩獣(ソルティア)からドロップしたアイテムである。まさか目玉がそのままドロップするとは思わなかった。

ただし、ただのアイテムだと思って油斷してはならない。今も視神経がゆらゆらといており、持ち主の手に絡みつかせようとしているのだから。私が常にかしているのも視神経を絡みつかせないようにするためなのである。

この油斷も隙もない眼球は一どんなアイテムなのか?それを知るために【鑑定】した結果は以下の通り。

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王塩獣の寄生眼　品質：優　レア度：L(伝説級)

微かに鼓し続ける、王塩獣の眼球。

とある研究所の実験が失敗して生み出された想定外の魔であり、厳重に封印された後に廃棄された。

魔力を吸い取ることで侵塩を発生させられるが、魔力を與え過ぎれば王塩獣として復活するだろう。

取り扱いには細心の注意が必要である。

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王(クイーン)塩獣(ソルティア)は失敗作だったらしい。というか、これが人造の魔だとは思わなかった。それに塩獣(ソルティア)の本は自切された視神経だったとは…正直、気味が悪いぞ。

とにかく、この眼球は使い方を誤ると危険なアイテムだ。しかし、同時に魔力さえ與えれば無限に侵塩を得られるのもまた事実。しいたけ達に預けるとしよう…マッドサイエンティスト達には釘を差しておかなければならないが。

そうこうしているに殘った塩獣(ソルティア)の素材を剝ぎ取り終わった。事前の配分に従って分配していく。寄生眼のような一點のアイテムが得られた場合についても取り決めはなされていたが、今回の場合は不要であった。何故なら、研究所に預けて侵塩を生させるために使うということで話がまとまったからだ。

これから侵塩は攻撃アイテムとして我々の間で広く使われることになるだろう。単にのまままき散らすだけでも中和剤を既に持っている私達ならば優位に戦えるし、加工すればその有用はどんどん高まっていくはずだ。プレイヤー相手に高値で売り付けることも可能だろうが…その辺は慎重に進めるべきか。

「ところでよォ。こいつは持って帰らねェのか?」

「こいつ?どいつのことだ?」

「この軽っぽいヤツだァ。普通じゃねェだろォ?」

…ジゴロウの言う通りだ。どうやら私は目先のアイテムに気を取られて近な、そして大量に確保可能なアイテムを見逃していたらしい。ジゴロウには謝するべきだ。

私は空き瓶を取り出すと、見た目は軽と全く同じだが粘が異なるを掬い上げる。そしてその中を【鑑定】してみた。

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深淵の重　品質：劣　レア度：S(特別級)

世界の底に位置する深淵を満たす、その中でも重いもの。

水などでほぼ薄まっていない、非常に高い純度を保っている。

粘がかなり高く、比重が軽いならば沈むことはない。

劣化しているがめられた深淵の力は相當なもの。

深淵に近しい者以外はれるだけでも危険なである。

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どうやら軽を濃されたモノであるようだ。恐らくは切り株が軽を吸い上げたものの、水分だけを出した結果として殘った不純らしい。そう言えば軽はほぼ水だと説明文にあったはず。ここに溜まっているのはこれまで切り株が排出した不純が積み重なったモノのようだ。

私は思わず唸った。何故なら、この切り株をかしてはならない理由が増えたからだ。この切り株がここにあるだけで軽を濃した重を半永久的に得られるのなら、かせたとしてもここに安置しておくことになっていたかもしれない。

何れにせよ、この重もまたお土産のアイテムにはなるはずだ。私はジゴロウだけでなく生き殘った仲間達全員と共に手持ちの空き瓶で重を採取してから『ノックス』へと帰還するのだった。

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ログインしました。王(クイーン)塩獣(ソルティア)を倒した翌日早々、私達は再び『侵塩の結晶窟』にやって來ていた。その目的は…建築である。

「まァた人足かよォ」

「愚癡るな、兄弟。これも強敵と戦うためだ」

『侵塩の結晶窟』を攻略したのは三大領主を討伐する橋頭堡とするため。つまり、要塞として改造する必要があるのだ。その工事のために私達は人足として作業を手伝っているのである。

ボヤくジゴロウを宥めながら、私は工事に參加している者達を見回す。そこには我々『アルトスノム魔王國』のプレイヤーと住民だけでなく、妖人(フィーンド)と千足魔(キィラプス)も加わっていた。

ここの維持管理は妖人(フィーンド)と千足魔(キィラプス)に任せることになっているので、彼らとしても自分達が使う環境を整えることに積極的に協力するのは當然のこととけれている。そして彼らのおで工事は円に進んでいた。

結晶窟があったビルそのものだが、周囲には『ノックス』と同じように強固な城壁で囲むことになっている。崩れたビルは整地などされておらず、とても歩き難いのだが、妖人(フィーンド)に悪路という言葉はない。資材を上に乗せつつ、凹凸だらけの地形でも速度を落とさずに移していた。

そのビル周辺の四隅に海上へ出っ張るように小さな塔を築くことになっている。こちらで活躍しているのが千足魔(キィラプス)達だ。深淵の軽を自在に泳ぐ彼らがいるからこそ、海上へ飛び出すように塔を築くという発想になったのである。

基本的にビル部分には妖人(フィーンド)が、塔には千足魔(キィラプス)が詰めることになっている。そのためにも塔は地上部分からだけでなく、海中からもることが可能な設計にしてあった。

建築そのものは順調に進んでいて、數日もあればここは強固な防衛拠點となるだろう。地上から防衛兵を多數持ち込むことにもなっている。防衛戦をするつもりはないが、狙っている濁白(クラウディ)墮(フォールン)天使(エンジェル)のエリステルは縄張りの外へ徘徊する質を持つと聞く。三大領主の一角という規格外の怪に襲撃される場合を想定するのは當然だ。

そして相手のことを全く侮っていないからこそ、私達は念な準備を行うつもりだ。防衛拠點の整備と諸々の準備…やることはたくさんあるのだ!

次回は6月23日に投稿予定です。