《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》429 ぼくのおばあちゃん(腐)は、すっごいんだぞ!

お祈りも済んだことだし、あとは絵馬とか、おみくじをするぐらいだ。

しかし、どこも人が多く……。

1つのことをやるために、數十分も消費するのは、ちょっと面倒。

だから本殿から出て、出店を回ることにした。

ちょうど、腹も減ってきたし。

その提案に、アンナは手を叩いて喜ぶ。

「お正月の屋臺って食べたことないの~ 楽しみぃ~☆」

「そうか。まあお正月だからって、特別じゃないぞ? 夏祭りと変わらないんじゃないか?」

俺がそう言うと、アンナは俯いてしまう。

「アンナ……あんまりお祭りとか行ったことないから……毎年、ミーシャちゃんと一緒にお店の手伝いしていたから」

いかん、墓を掘ってしまったようだ。

「そ、そうか。まあ、俺もここ10年以上は経験してないから、安心しろ。ほれ、あのデカい綿あめが見えるか?」

と1つの屋臺を指差してみる。

子供向けに販売している、綿あめ屋。

今、放送している児向けのアニメや特撮のキャラが、ビニールにプリントされた大きな綿あめ。

その中には、アンナが大好きなボリキュアもいた。

「あ、ボリキュアだぁ!」

「そうだ。こういうのは、昔からあってだな……」

言いかけて、俺は思い出してしまった。

忘れていた……辛い過去の記憶を。

『おかあたん。綿あめがしい~』

『タクくん。あれより、もっと良い綿あめをお母さんが作ってあげるわよ』

『ホント!? わぁい~!』

そして、帰宅後。

母さんが持ってきたのは、巨大な綿あめだったが……。

のリーマンが、びしょ濡れにされていた卑猥なもの。

しかし、無知だった俺は「おいしい」と喜び。

母さんに「嬉しい! おかあたん、大好き!」と抱きついていた。

「はぁはぁ……なにが『大好きだ』……我が子を洗脳しやがって」

激しいフラッシュバックで、我を忘れ、拳に力がる。

「タッくん? どうしたの? なにか綿あめで、嫌な思い出でもあったの?」

心配して俺にを寄せるアンナ。

振り袖姿の彼を目にしたことで、理を戻せた。

過去におきた出來事へ、怒りを向けることなど、ナンセンスだ。

今を楽しもう。

「す、すまんな。俺も正月なんて隨分、楽しめていなかったからさ」

「そうなんだ……じゃあ、今年からアンナとお正月を楽しもうね☆」

ニコッと微笑み、緑の瞳を輝かせる。

さえ、俺の隣りにいてくれるなら、汚れた過去など乗り越えて見せるぜ。

早速、綿あめ屋さんで、ボリキュアをゲットしたアンナは、嬉しそうに笑う。

「大きい~ 白い~☆」

人目など気にせず、その場でビニール袋から、綿あめを手で摑み。食べ始める。

「あま~い☆ あ、タッくんも食べる?」

「いや……俺は」

気を使ってくれているのは、わかるのだが。

素手で食べているから、彼の手や口元は、汚れていた。

後々が面倒だからと斷ろうとしたら、怒られてしまう。

「ダメだよ! ちゃんとお正月らしいことをしようよ!」

「悪い……じゃあ、頂くよ」

「はい☆ 半分こね☆」

アンナは手を袋にれると、しっかり半分になるよう、綿あめを分けてくれた。

こんなに食えないよ。

「ありがとな……」

胃が痛くなりそう。

その後、アンナとんな屋臺を回った。

じゃがバターに大きなイカ焼き。

焼きそばに、たこ焼き。

フランクフルト。回転焼きなど……。

の腹を満たすまで、1時間以上かかった。

「あ~ 味しかった☆ デザートが無くて寂しいけど……」

えぇ……。綿あめと回転焼きはデザートとして、カウントされないの?

相変わらずの暴食ぶりにドン引きしていたら、アンナのに異変が起きた。

「へっちゅん!」

隨分と控えめで、可いくしゃみだと思った。

「どうした? 風邪でも引いたのか?」

「ううん……きっと、外でずっと立ち食いしちゃったからだと思う。が冷えちゃって」

言いながら、自の肩をさするアンナ。

これは見ていて、さすがにかわいそうだと思ったので。

俺は著ていた羽織をぎ、彼の肩に著せてあげる。

「え、タッくんが寒いでしょ? いいよ、気にしなくて」

斷ろうとするアンナを、俺はきつく注意する。

「ダメだ。ちゃんと著ておけ。俺なら大丈夫だ。この著はウール製だから、そんなに寒くない」

「そ、そっか……なら甘えちゃおうかな」

頬を赤くし、俺の著ていた羽織りを大事そうに両手で抑える。

「タッくんの匂いがする。暖かい☆」

え? そんなに臭かったかな?

「嫌じゃないのか」

「うん☆ タッくんのお家ってじがする☆」

「……」

なんか、それ。

うちがBLまみれで臭そうって、思われているような。

だが、俺はこの時。大事なことを忘れていた。

すれ違う人々の聲で、それに気がつく。

「おい。あれってさ。BLだろ?」

「なんで、男が背中にイッてるイラストをのっけているんだよ……キモすぎ」

「あの子。なんなのよ! めっちゃ神がかっているじゃん! どこで売っているのあれ?」

最後、ただの腐子じゃねーか。

それから、俺はずっと我慢するのみであった。

いアンナを暖めるため、自分の恥心など無視しなければ。

お正月から、最悪な展開だよ!

やっぱうちの環境だと、こういうのからは、逃れられないのかな……。

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