《【書籍化・コミカライズ】竜神様に見初められまして~げられ令嬢は霊王國にて三食もふもふ溺付きの生活を送り幸せになる~》第66話 自覚してしまった想い
どれくらい涙を流していただろうか。
頬からり気が無くなって、しゃっくりも止まって、呼吸も落ち著いてきた頃。
「落ち著いたか」
アランの問いかけに、ソフィアはこくりと頷く。
乾いた目元がしょぼしょぼするが、心の中は憑きが取れたように晴れやかだった。
ありったけのを流し終えて殘ったのは、とびっきりの恥。
アランのの中で年甲斐もなく子供のように泣き散らしてしまった事に、ソフィアは今すぐ布団に包まりたいほど恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。
「も、申し訳ございません……取りしてしまい……あっ……」
大きな手が、ソフィアの顎をくいっと持ち上げる。
目と鼻の先に、アランの端正な顔立ち。
顔の溫度が一気に上昇する覚を、ソフィアは覚えた。
「こういう時に口にするのは、謝罪ではないだろう?」
アランの言わんとしていることを、ソフィアは察した。
「は、い……ありがとう、ございます」
先程までの自分だったら、それでもごめんなさいと言っていたであろう場面で。
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ソフィアは、謝の気持ちを口にする事ができた。
それは小さな変化かもしれない。
しかし、二言目にはすぐ謝罪の言葉が溢れ出ていたソフィアにとっては、大きな変化と言えよう。
「それでいい」
ふ、とアランが満足そうに微笑む。
そのらかな笑みを見た途端、ソフィアのがとくんと音を立てた。
いや。
どきん、のほうが近いかもしれない。
(……ああ、もう)
このがなんなのかわからないほど、ソフィアは鈍ではない。
いや、今まで何度も自覚するタイミングはあったのだ。
ただ、自分なんかがアラン様と釣り合うわけがない。
自分なんかがアラン様のことを本気で好きになってはいけない。
そう自分に何度も言い聞かせてきたから気づかないフリをしていただけ。
だけど。
(私……好きだ、アランさんの事……)
もう、自分の気持ちに噓はつけない。
抱いてはいけないだとわかっていても、止められない。
霊王國に嫁いできてから、アランと過ごした日々が脳を駆け巡る。
アランの一挙一、言葉全てがおしくてたまらない。
“好き”がたくさん溢れ出てきて、どうにかなってしまいそうだった。
「アラン、様……」
「どうした」
好き。
と言葉にしてしまいそうになるのを、すんでのところで止めた。
この言葉は、口にしてはいけないと理が強く働いた。
アランに迷をかけたくない、という気持ちもある。
でも一方で、自分のこの気持ちがけれられなかったらどうしよう、という恐怖があったからだ。
(この婚約は、あくまでも形式上のもの……)
そう自分に言い聞かせる。
だけど、改めて、思う。
たとえ形式上のものだとしても。
「アラン様と結婚ができて……」
そこに本當のがなかったとしても。
「出會える事ができて……良かったなあって、改めて思ったといいますか」
ソフィアの言葉に、アランは目を丸くする。
しかしやがて、またソフィアが大好きな微笑を浮かべて。
「そうか」
そっと、ソフィアの頬に大きな手がれる。
「俺も、ソフィアを出逢えて良かったと思っている」
「────っ」
が詰まるような。
決して多くはまないソフィアにとって、今はその言葉だけで、十分だった。
嬉しいがたくさん溢れ出てきて、頬がにやけそうになるのを頑張って押しとどめる。
「何やら、嬉しそうだな」
押し止められてないようだった。
アランの言葉に、ソフィアは笑顔で返した。
心の底から湧き出た、嬉しいというで彩って。
(たとえこの気持ちが報われなかったとしても……)
きゅ、と小さく拳を握って。
(アラン様を好きというこの気持ちは……大切にしたい……)
心の底から強く、強く想うソフィアであった。
……この時のソフィアは、気づいていなかった。
自の中で燃え上がると同じもの、アランのの中でも芽生えつつあると言うことを。
ソフィアの笑顔を前にしたアランがどこか息が詰まったような反応を見せた理由に気づくには、もうし時間がかかりそうであった。
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