《テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記》930 レベル上げは正義です
大見得を切ったのはいいけれど、スラットさんに勝利するための的な展や攻略法は全く思いついていなかったりします。
なのでエッ君と二人という數の差を利用して押し切る作戦に出てみたのだけれど……。
ガンガンと音を立てながらボクの二本の得とスラットさんの拳がぶつかり合う。この時點で既に十分以上におかしなことになっている訳だが、その上彼は死角からのエッ君の攻撃を難なく避けてしまうという離れ業をやってのけていた。
しかも時折反撃をする素振りまで見せるものだから、そのたびに対応を迫られるボクは力よりも神的な疲労が蓄積していた。
「これでも人型にに人外とそれなりに実戦の経験は積んできたつもりだったのに。自なくすよ」
思わず軽口にすらならない愚癡が口をついて出てしまう。不味いなあ。このままだと集中力が途切れてしまうのは時間の問題だろう。
時間と言えば『天空都市』の海面への著水まで、後どれくらいの猶予が殘されているのかな?途中から視界の隅を覗き見る余裕すらなくなってしまっていたのよね。
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なお、龍爪剣斧と牙龍槌杖の二本持ちを続けていたのは、あちらの両手のきについていくためだ。決してカッチョイイからとかそんな理由ではありません。
それでもこちらは技能も生えていない付け焼刃でしかなく、ふとすれば後手に回りそうになっているという有様だった。それはそれでエッ君の攻撃のチャンスに繋が……、りそうになっているだけで狀況が改善することはなかった。
「いやいや。言うだけあってリュカリュカ君の戦闘のセンスは大したものだと思うよ。テイムモンスターとの連攜の度も高い。これまでの経験を活かせている証拠さ。ただ、惜しむらくはレベルの低さだ。もっともこればかりは一朝一夕(いっちょういっせき)でにつくものではないから、仕方のない部分でもある」
対戦中の相手からめられてしまうとか……。おにょれ、運営め!レベルを上げて理で毆るが最適解だなんて、いくら何でもあんまり過ぎる回答じゃないかな!?
「くうっ!ブラックドラゴンならレベル一の時でも言い負かせたのに!」
「いくら隙を作るためとはいえ、話を盛るにも限度があるというものだよ。……まさか事実なのか?」
「殘念ながら事実だったりするのよね、これが……」
ちなみに、會話をしながらもガンガンな音は途切れることなく続いている。これもリアルの優華(ボク)ではできないことの一つだ。
まず、これだけ激しいきをしていればすぐに息が上がってしまうだろうし、そうなったらまともに話すどころか思考すらままならなくなるだろう。
「ドラゴンの中でもブラックドラゴンは気が荒いことで有名だ。そんなものを目の前にしてよく正気を保てたものだな」
その辺りはどこか客観的に見ている部分があったというか、現実ではないと理解していたというか、恐らくはプレイヤー的な思考が働いていたのだと思う。
それよりもブラックドラゴンはやっぱりそういう扱いだったのか……。クンビーラの守護竜という名の、だらけきったクロオオトカゲにジョブチェンジしてしまった今とは雲泥の差だわ。
うん……?
雲泥の差……?
ああ、そういうことか。
「エッ君、次で決めるよ!ボクが先に行くから【裂空衝】で足止めをお願い。その後で接近して【三連撃】で!もう時間がないから出し惜しみはなし!」
出し惜しみはしないと言った割に、切り札となる防力無視の【流星腳】は使用しないのか?そこはちょっと考えるところがあったのですよ。
余談だけけれど、大聲で指示を出したのもわざとだ。これまでボクたちは阿吽の呼吸というかエッ君がボクのきに合わせる形でスラットさんと応戦してきた。これまでの実戦ではボクがあの子に合わせるというパターンが多かったが、実はその逆もできるように訓練はしていたのですよ。
それをここにきて大きく変えると明らかにすることで、あちらにプレッシャーを與えようとした訳だね。他にも勝手に深読みして「これは噓の指示で別のきをしてくるのではないか?」ときが悪くなればいい、といった狙いがいくつもあったりします。
まあ、どれも上手くいけば儲けもの程度の期待値でしかないけれど、やらないよりはマシというものだ。
「揺さぶりをかけたつもりかい?甘く見られたものだな」
「それを言うのは全部終わってからにしてよね!【ペネトレイト】!」
まずはボクの方へと意識を向けさせないと話にならない。ということでこちらは本當に出し惜しみなしだ。ついでに二本を続け様の時間差で突くことでどちらが本命なのかをわそうとしてみる。
「そういう小細工は両腕のきの練度を同程度にまで高めてからやるべきだな」
が、簡単に見切られてしまい難なく避けられてしまった。
「これでいいのよ」
「なに?ぐわあっ!?」
直後に飛來した衝撃波が直撃してスラットさんがぐらりとよろける。『OAW』ではフレンドリーファイアはないけれど、味方が障害になることはある。そのためあえて脅威度の高い闘技を繰り出すことで、接近しながらも遠距離からは攻撃を當てやすい絶妙な距離を作り出したのだ。
「あっちが本命その一。で、これが本命その二。【ペネトレイト】!」
「ちぃっ!」
盛大に顔を歪めさせながらリンボーダンスさながらに上を反らせることで、必殺の一撃が躱されてしまう。そんな姿ですらカッコイイのだから形はずるいよねえ。
すかさず追撃を加えたいところではあったのだが、ここにきてついにボクにもこれまでのツケが回ってきてしまった。つまり、MPが枯渇しかけたのだ。
「ここまでよく保ったと自分を褒めるべきところだと思うんだけど、このタイミングだとそうも言っていられなくなるねえ……」
強い虛でに力がらない上に視界はフラフラと揺れながら明滅を繰り返している。どうやらそこそこ重癥のMP枯渇狀態になってしまったようだ。
それでもこんな自嘲じみた軽口が叩けているのは、一人ではないからだろう。
「やっちゃえ、エッ君!」
まともにきすら取れなくなっていたボクとバトンタッチするかのように、スラットさんが勢を立て直したときには小さな影が薄していた。
「厄介なコンビネーションだったが、リュカリュカ君が落した以上ここさえ凌(しの)げれば私の勝ちだ!」
その通りだけれど、ここが最後の勝負どころだと理解しているのはこちらも同じなのよ。
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