《シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜》12月20日:共憤怒

配信戦線(ライブライン)のガル之瀬、その恐るべき計畫……それは、これまでの陣取りゲームによる結果をすべて無視してこちらの王將玉將……すなわち前王トルヴァンテと第一王アーフィリアの暗殺であった。

新王陣営と比較して、こちらは大將格が二人いるというのは不公平なように見えるが初期陣地の數や攻めやすさ(・・・・・)で言えば向こうの方が有利……その上で、陣取りゲームのアドバンテージを捨てて暗殺に來るとはふてぇ勇者様だ。

とはいえ暗殺か…………と、心くものがあったのは否定できない。こればっかりは実際にフェアクソをプレイしたやつじゃないと完全に理解できいないなのだ。ながらプレイも出來ず、無論再生時間を勧める事も出來ない………強制された寄り道と、苦労の果てに得られるものが「本編を進める権利」という100円払わされる方が數倍マシと思えるほどの……虛無。

これを真に理解した者でなければ「顔を見た瞬間三分計測して手が出そうになる」というには至れない。フルダイブというバーチャルリアリティが生み出した怪、それこそがフェアクソ………

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だが、アーフィリアはフェアカスではない。多畫質が良くなっているとはいえありとあらゆるパーツが誤魔化せないほどにフェアカスそっくりなその姿は、恐らく運営スタッフの中にいる「天地律」なるフェアリア・クロニクル・オンラインに関わっていたスタッフのが滲みだしたものだ……神ゲーならこの造形はれられるだろう、って考えにまず一発ぶん毆りたい。

だが……だが! それでも無関係なのだ。フェアカスとアーフィリアを構する的特徴は言ってしまえばありふれたもの、異世界からやってきたフェアリア! とかだったら俺も不慮の事故(・・・・・)を起こして………

いや、もしもに怒りと恨みを燃やすのは一旦やめよう。フェアクソはフェアクソ、シャンフロはシャンフロだ。

る程ね……確かに決まれば必殺だ。首が落ちればも止まる、決まればな」

それを聞いてどうぞどうぞと道を譲るわけにはいかない。魅力的(・・・)、であることは否定しきれないが。

だがまぁ今回は理の勝ちだ、新大陸でのあれそれもあって前王と王からの覚えもめでたい開拓者サンラクとしては、堂々と暗殺宣言してくれやがった自稱勇者は斬り捨てねばならん。

「とはいえ、隨分と思い切ったことをするなぁオイ………あれだろ? 仮にも配信者が悪の街道一直線なことしようとしてるんだから」

「ああ、それに関してはさほど問題はない(・・・・・・・・)」

……んん? 隨分と妙な返事だな。

さほど? なくはないが気にするほどでもない? 二割以下のダメージを回復するかどうか、くらいの塩梅だ。

配信者がこういう悪一直線な事をするのは結構デカ目の火種だと思ったし、ペンシルゴン流強迫なら最優先で突くべきウィークポイントだと思っていたのだが……

と表筋だけで銃弾を止められるほど分厚い顔面をしているか、あるいは………人を殺すような真似をしてもれられるような配信をしてるか、だ。後者っぽいな………?

幕末志士である線を疑うべきか、いや「悪の街道一直線」と口にする際の作に混ぜた幕末志士を炙り出すコールサインに無反応、シロだな。

上を指さして構えない奴は幕末に定住できない。

「……まぁ、そっちの社會的評価はどうでもいいか。相手は老人とうら若き乙だぜ? 良心とか傷まねーのか?」

返事はなく、ガル之瀬は肩をすくめるだけだった。ただ何を言いたかったのかはよくよく伝わってきた。

───ンなこと今更言われましてもねぇ。

絶対これだろ。

「殺意の純度が高いようで。しかしなんだ、言っちゃアレだがゲームのNPCだぜ? 何をそんなに殺意燃やしまくってるんだ? 顔か? 顔が生理的に駄目だったか?」

それは、本當に何気ない一言だった。

キャラステータス(ひととなり)も知らずに二人ぶち殺しに行く、ってのは妙だろう。暗殺をテーマにするゲームだって事前にターゲットが何故殺されるべきかを説明くらいはする。要するに、外付けの機だ。

それすら無く、しかし躊躇いなく斧を振り上げられるとしたら……それはもう、顔がダメってことだろう。

「…………………」

その表をなんと例えたら良いものか。一瞬、本當に一瞬歪んだその表。ともすれば「ちょっと顔がかった」くらいでしかないような一瞬の歪み。

だがその一瞬の歪みは………生半可なでは作ることもできないような、憎しみの形をしていた。

「………んー?」

顔を思い出すだけでぶち殺したくなるような憎悪?

前王トルヴァンテと王アーフィリアに対して?

いや………あるいはもしかして?

「よほどの憎しみじゃねーか、無人島に想い人でも置き去り(・・・・・・・・・)にされたか?」

「!!」

それは一見、意味不明な質問。極めて……そう、極めて狹い範囲の、さらに言えば「記憶が風化してない」奴にしか通じない質問。

「ああそうだ、と言ったらどうする? 三分(・・)時間をくれるのか?」

その返答に俺は思わず、顔を覆うか天を仰ぎたくなった……堪えられたのは奇跡のようなものだ。よもや、あの地獄とは真逆の世界で出會うなんて!!

「戦友(とも)よ……!」

その呟きは、果たしてガル之瀬に屆いていただろうか。

だがなんたることだ、この広い電脳世界で……それもこんな形で同胞に出會うなんて。海に流したボトルメールが手紙に書いた住所通りの場所に屆くような奇跡だ。

「……どうも、他人事(・・・)じゃないらしい。なら今度は俺から問おう……お前に俺の"三分間"を阻めるか?」

配信戦線の首魁、ガル之瀬は……フェアクソプレイヤーだ。

過去は消えんぜ天地律

そういえば前話の時、発売日書いてないな?と気づく

7月14日!7月14日です!!

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