《骸骨魔師のプレイ日記》大洋類人猿

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種族(レイス):大洋類人猿(オーシャンエイプ) Lv75

職業(ジョブ):海洋格闘家 Lv5

能力(スキル):【海牙】

【海爪】

力超強化】

【筋力超強化】

【防力超強化】

【敏捷超強化】

【大海格闘

【狂暴化】

【水棲】

流泳】

【打撃耐

【魔

【水屬無効】

【雷屬脆弱】

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これがエリステル戦を想定した敵である大洋類人猿(オーシャンエイプ)を【鑑定】した結果だ。うーん、脳筋。そうとしか言いようのない能力(スキル)だ。

まず間違いなくエリステルは魔も使ってくるので、これを基準に考えてはならない。しかし、同時にエリステルは理面でも強力な敵だ。全く參考にならないということはないだろう。

「全員、わかっているな?レベルの設定は50にするぞ」

「ハッハァ!ヒリつくなァ、おい!」

この訓練において、私達は首で敵よりも20レベル下になるように調整することに決めていた。種族(レイス)のレベルはどの魔だろうと100が上限だというのは、これまで遭遇した龍(ドラゴン)の方々などから知っている。故にエリステルもレベルは100だと確信していた。

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しかしながら、同じ100レベルでもプレイヤーと龍(ドラゴン)ではその力量に天と地ほどの差がある。まだレベルが50に達していないカルがジゴロウに勝てないまでも張り合えるのだ。種族(レイス)としての格を思い知らされたような気がする。

そしてエリステルは熾天使(セラフィム)…天使(エンジェル)系の頂點に君臨しているのだ。しかもあ(・)の(・)アールルが深遠に派遣した武闘派と考えれば、狂しているとしても相當に強いはず。そんな相手を想定するとなれば、最低でも20レベルほどの開きがあっても集団ならば勝てる実力が必要になると考えたのだ。

危険な狀態になった場合は海賊艦隊によって撃破することになっている。一番馬鹿馬鹿しいのは練習臺に過ぎない大洋類人猿(オーシャンエイプ)によって何人も討ち取られることだからだ。ただし、いつでも助けがると思っていてはがない。そこで助けがることは今回戦う者達には教えておらず、実際にカバーするアン達にだけ伝えていた。

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我々のフォロー役ということでアン達は訓練に加わることが出來ない。エリステル戦には『アルトスノム魔王國』のプレイヤー全員が參加することになっているのに、これでは彼らの訓練にならないように見えるだろう。

だが、今回はそれで問題はない。何故なら、深淵での戦闘で彼らには『マキシマ重工』主導で開発された新兵を提供することが決まっているからだ。

「來るぞ!盾隊、構え!撃隊、待機!遊撃隊はいつでも飛び出せるように準備しておけ!」

アン達の新兵はともかく、今は目の前の大洋類人猿(オーシャンエイプ)に集中するべきだ。防力に秀でた者達が列をして前進し、私を含めた魔師や弓使いなどがいつでも一斉攻撃出來るように待機し、ジゴロウを含めた遊撃隊は今か今かと出番を待っていた。

その間にも『蒼鱗海賊団』のメンバーに導された大洋類人猿(オーシャンエイプ)が怒りの咆哮を上げながら接近してくる。大洋類人猿(オーシャンエイプ)は視野が狹いのか、それとも導役の海賊団員が上手なのか、それとも何らかのアイテムの効果か。前方にいる私達に全く意識を向けていなかった。

この狀況であれば初撃は確実に通りそうだ。程距離のことを考えて…まだ…まだ…もうし…今だ!

「放て!」

「グゴッ!?ギャアアアア!?」

私の號令によって一斉に放たれた魔や矢が大洋類人猿(オーシャンエイプ)に殺到する。この時、し気になったのは撃隊の一斉攻撃にム(・)ラ(・)があったことだ。

撃隊の魔師が使った魔は全て同じという訳ではない。そこまで一々指定するのは不可能だったからである。しかしながら、そのせいで放たれた魔の速度に差が出てしまった。

さらに放たれた矢の速度にも差が生まれている。使っている弓も放つ矢も個々人が用意したモノであるが故に放たれる速度を合わせられないのだ。結果として不意の一斉攻撃は決まったものの、直撃したのは真っ先に到達した高速の魔と矢だけで殘りは差させた腕でほとんど防がれてしまった。

それでも大洋類人猿(オーシャンエイプ)は防などをに著けていないので、防がれたと言ってもダメージはっている。私達が自分達に枷を嵌めているせいで、そのダメージが微々たるモノでしかないのだが。

「ウゥ…ウゴホォォォォォ!!!」

「防げぇぇっ!」

微小とは言えダメージはダメージ。大洋類人猿(オーシャンエイプ)の標的はこちらに移ったらしい。奴は私達を、正確には最も近い位置にいる盾隊を睨み付けると、雄びと共に飛び掛かった。

大洋類人猿(オーシャンエイプ)はその丸太よりも太い腕を橫薙ぎに振るう。盾隊はその一撃を何とか防ぎきってみせた。しかし流石に実質的に20レベルも格上の相手の攻撃をけては防特化の盾隊と言えども厳しいらしい。普段ならば小揺るぎもしないであろう打撃で踏ん張るだけでも一杯であるようだった。

「遊撃隊、仕掛けろ!一撃離を忘れるな!」

「行くぞォ、野郎共ォ!」

「アニキに続けぇ!」

「「「ウオオオオオオオッ!!!」」」

大洋類人猿(オーシャンエイプ)による連続攻撃を許してはならない。私は遊撃隊に出撃を指示する。待ってましたと言わんばかりにジゴロウ率いる遊撃隊が飛び出していった。

この遊撃隊はクラン問わずジゴロウの下に集まった者達で構されている。それ故にあの遊撃隊のリーダーはジゴロウ以外に有り得ない。しかし、ジゴロウは一人で暴れてこそ輝く戦力だ。指揮など任せたとしてもすぐに目の前の戦いに夢中になるのは目に見えていた。

そうなると指揮を代替する人が必要になったのだが、任せられるうってつけの人が一人いた。そう、チンピラである。彼はジゴロウの第一の子分を自稱する、『怒鬼ヶ夢涅夢涅(ドキがムネムネ)』という數だが腕利きが集まったクランのリーダーだ。

自然と指揮もに著けており、ジゴロウの扱いも心得ている。ジゴロウの手綱を握る重要な役割は、彼以外には任せられないのだ。

遊撃隊はジゴロウを先頭に大洋類人猿(オーシャンエイプ)に向かって突撃していく。奴もジゴロウ達に気付いていたようだが、気付くまでにかかった短い時間が致命的であった。ステータスを下げているのが噓のような速度で飛び蹴りを顎に叩き込んだのである。

「グッオォ!?」

「今だっ!左腳を徹底的に攻めやがれぇっ!」

顎に強力な打撃をけたことで大洋類人猿(オーシャンエイプ)は明確によろめいた。半分不意打ちとは言え、一撃で怯ませられるのは飛び蹴りで正確に顎を揺さぶったからだろう。この辺りの技は流石はジゴロウだとしか言えない神業であった。

それに続くチンピラ達は左腳を重點的に狙って一撃を叩き込んで行く。左腳狙いなのは単純に彼らが大洋類人猿(オーシャンエイプ)の左側から襲い掛かったからで左腳でなければならない理由はなかった。

全員が一撃を叩き込んだ後、彼らは予定通りに離していく。顎を正確に打ち抜いたジゴロウもその流れに逆らうつもりはないようだが、同時に全員が離するまで大洋類人猿(オーシャンエイプ)の近くで待機していた。きっと逃げ遅れる者がいたら殿になるつもりだったようだ。

「盾隊、前へ!注意を引け!撃隊、攻撃準備!もう一度一斉攻撃するぞ!」

私が言うまでもなく、盾隊は盾を構えながら前に出る。そして彼らは最後尾を走るジゴロウと大洋類人猿(オーシャンエイプ)の間に割り込んだ。

遊撃隊を追いかけようとしていた大洋類人猿(オーシャンエイプ)だったが、それを目の前の盾隊が邪魔をしている。さらに彼らは雄びを上げたり盾を叩いたりして挑発していた。

「ウゴアアアアッ!!!」

「よし!撃隊、頭を狙って撃て!遊撃隊!」

「おうよォ!」

この挑発に激怒した大洋類人猿(オーシャンエイプ)は再び太い腕を盾隊に振り下ろす。振り下ろす瞬間を狙って私達が再び一斉撃を行い、そこへ今度は右側からジゴロウ達が襲い掛かった。

チンピラを真似て一斉攻撃で的に狙う場所を指定したのは効果的だったらしく、今回も弾速を揃えることは出來なかったが我々の攻撃は顔面に炸裂した。それが目潰しにもなったようで接近するジゴロウ達が見えてすらいないようだった。

ここまでは上手くことが運んでいる。このまま勝てれば良いのだが…そう上手くはいかないようだ。

「ウホオォォォッ!!!」

「おっとォ!」

「ぐはああっ!?」

「負傷者は下げろ!治療可能な者は準備急げ!」

一斉攻撃をけて目潰し狀態の大洋類人猿(オーシャンエイプ)だったが、奴は咆哮を上げながらメチャクチャに腕を振り回す。目が見えないのなら、とにかく暴れれば良い。そんな脳筋極まる反撃をされたのだ。

こんな形での反撃を予想していなかったことで、腕によって數人が薙ぎ払われた。盾隊の者は無事だったが、巻き込まれた者の中には遊撃隊の者もいる。その者は大ダメージをけてしまった。

當然ながら誰かがダメージを負った時にも備えている。この戦いは一人ですらも攻め手が欠けるのは厳しく、それはエリステル戦でもきっと同じであろう。すぐにでも戦線復帰してもらわなければ、味方にまた損害が出てしまう。素早く治療しなければ!

次回は7月13日に投稿予定です。

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