《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》441 一年ぶりの決闘

気がついた時には、ミハイルはもう校舎から出て行ってしまった。

その場に立ち盡くす俺。

しく長い髪を、ショートカットにばっさりと切っていた……。

彼と言えば、ポニーテールが象徴みたいなものだったから。

その変貌ぶりに、衝撃をける。

だが、それよりも……。

俺が聲をかけたのに、振り返ることなく、走り去ってしまったことだ。

そんなに、俺が嫌いになったのかよ。

「おい、新宮! なにをやっておるか! 早く古賀を追いかけろ!」

宗像先生に肩を摑まれるまで、我を忘れていた。

「え……追いかける?」

「當たり前だ! 古賀がこのまま、退學してもいいのか!?」

「た、退學!?」

その言葉に、驚きを隠せない。

「ああ、古賀のやつ。いきなり事務所に現れたと思ったら、こんなもんを私に突きつけたんだ!」

そう言うと、先生は1枚の封筒を差し出す。

『たい學とどけ 古賀 ミハイル』

なんて、アホな退學屆だ。

しかも封筒は、スタジオデブリのボニョがプリントされた可らしいもの。

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「先生……これって」

「そうだ。古賀のやつ。いきなり私に退學を申し出て。止めようとしたら、逃げやがったんだ!」

「ミハイルが退學。そ、そんな……」

俺がけない聲を出すと、宗像先生は鬼のような形相で睨みつける。

「バカ野郎! 新宮、お前はダチなんだろ!? 早く追いかけて、止めてやれ!」

先生がそう言ってくれなかったら、俺は彼を追いかけることは出來なかっただろう。

「は、はい。俺、行ってきます!」

絶対に止めてみせる。

俺は上靴を履いたまま、校舎を飛び出た。

しでも、アイツに追いつくように。

全力で、長い下り坂を駆け下りる。

高校から出ても、まだミハイルの姿を見つけることは出來なかった。

國道に出ると、あとは近くの駅。赤井駅まで一直線の道だ。

この道を走っていれば、必ず彼がいるはず。

呼吸はれ、汗が吹き出る。全が燃え上がるように熱い。

普段からスポーツなんて、やってないから、筋が悲鳴をあげる。

どれぐらい走っただろう。

數時間、フルマラソンを走ったような覚だ。

もうすぐ、終點の赤井駅が見えてきたころ。

ようやくその姿が、目に映る。

信號が赤だったから、アイツも青に変わるのを待っていた。

どことなく、寂しそうな背中だとじる。

ぜーはー言いながら、その肩にれる。

「み、ミハイル……ま、待ってくれ」

俺がそう言うと、ようやく振り返ってくれた。

しかし、いつものような優しい笑顔はない。

鋭い目つきで俺を睨む。

「……っ! オレにるな!」

そうぶと、俺の手を振り払う。

「なっ、どうして……?」

「タクトには関係ないだろ!」

心底、俺を憎んでいるような気がした。

沈黙が続く中、目の前の信號が青に変わる。

すれ違う人々が、俺たちを不思議そうに見つめていた。

信號が変わっても、その場で固まっていたから、悪目立ちしている。

お互いの顔をじっと見つめあう。

彼の方は、睨んでいるが……。

だが、俺も屈してはいられない。

ここでミハイルを、引き留めることができなければ。一生、後悔するだろう。

しているようだから、とりあえず、場所を変えようと提案してみる。

「なあ……退學の話って本當か? ちょっと話をしないか?」

「タクトには、関係ないじゃん!」

「でも、理由ぐらい聞かせてくれても良いだろ?」

「……」

沈黙を同意と見なした俺は、信號を渡った先にある小さな公園へ行こうとった。

ミハイルは、その提案に渋々のってくれた。

公園と言っても小さなところで、砂場やブランコがあるぐらいの低年齢向け。

そんな場所に、10代後半の年が二人で立っている。

向かい合って、今から毆り合いの喧嘩でも始めそうな……そんな険悪なムードだった。

まずは、俺から話を切り出す。

「退學って、いつ決めたんだ?」

「この前」

俺とは視線を合わせず、ずっと地面を見つめるミハイル。

「どうしてなんだ? 俺と一緒に、一ツ橋高校を卒業したいんじゃなかったのか?」

その問いに、彼が答えることはなく。

顔を上げると、俺を睨みつけた。

「それはこっちのセリフだよっ!」

瞳に涙をいっぱい浮かべて、ぶ。

「え……」

「タクトが悪いんじゃん! マリアと……ラブホテルへ行って、アンナを泣かせたからっ!」

やはり、あの報道を知って傷ついたのか。

それで……髪を切ったというのか?

「ち、違うんだ! 確かにホテルへは行ったが何もしてない!」

言っていて、自分でもかなり苦しい言い訳だとじる。

「そういうところだよ! タクトがアンナを苦しめているの!」

火に油を注ぐ行為だったようだ。

「……」

「アンナは今まで、ずっとずっと我慢してきたんだよ! でも大好きなタクトのために、目をつぶってきたけど。もう限界なの! 無理なんだよ!」

気がつけば、ミハイルの顔はぐしゃぐしゃに歪んでいた。

子供のように泣きぶ。

よっぽど、辛かったのだろう。

彼の言うように、限界に達したのかもしれない。

「俺が……俺のせいで、アンナは苦しんでいるのか?」

目の前に本人がいるが、設定なので、遠回しに聞いてみる。

「そうだよ! 全部タクトが悪いんだ! アンナを泣かせたからっ!」

が泣いたかどうかは、ミハイルの顔を見ればわかる。

「もう修復は、不可能なのか?」

僅かな希だった。

「無理だよ! だって、タクトが裏切ったじゃん! 去年、アンナじゃなくて、男のオレを選んだからっ!」

耳を疑った。

「え? 男の……? 俺がお前を?」

「そうだよ! 去年の誕生日に、お、オレを抱きしめたり……。キッスまで、しようとしたじゃないかっ!?」

あれ? そっちに怒ってたの……?

「つまり、男のミハイルを抱きしめたことが嫌だったのか? き、キッスも含めて……」

「嫌だったんじゃない! アンナを選ばなかったことに怒っているの!」

「どういうことだ?」

「オレがこ、告白した時。タクトは『男のお前とは関係にはなれない』『ミハイルがだったのなら、絶対に付き合っている』って言ったから、のアンナを紹介したんじゃん!」

「ああ……」

今になって巨大なブーメランが返ってきた。

そうか、のアンナではなく。男のミハイルを選んだのが、ショックだったのか。

自業自得だが、々とややこしい話だ……。

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