《ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~》第二百四十二話 人質換③

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第二百四十二話

人質として魔王軍に赴いたゼファー達一行は、一禮してガリオスの前を辭した。すると一の魔族が進み出る。その魔族は鎧をに著けておらず、ローブのようなを纏っていた。おそらく外を専門とする文であろう。渉に當たり、ローバーンから渉に長じた外や文が派遣されているのだ。

「こちらに天幕のご用意があります」

風の魔族は流暢に人間の言葉をった。

魔族はエノルク語という言葉を話すが、人間の言葉を勉強し話せる魔族も多いらしい。そしてその魔族を先頭に、用意されているという天幕を目指した。

魔王軍の陣地を歩くと、當然だが行く先々にいるのは鱗を持つ魔族ばかりだ。彼らは爬蟲類特有の縦に割れた瞳孔をゼファー達に向ける。

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マイスをはじめ、護衛の兵士達は張に息を呑んでいる。しかし魔族は珍しそうな視線を向けるも、襲ってくることはなかった。

の兵士は、柵に囲われた二つの天幕の前で止まった。柵の周囲には魔族が歩哨に立ち警備している。

「この二つが、ご用意させていただいたお部屋です。どう使っていただいても構いませんが、一応左が用、右が男用でご用意してあります」

「重ね重ねのご厚意、謝します」

ゼファーが頭を下げると、案の魔族も頭を下げる。さすが外は禮儀正しい。敵だからと言って無禮な態度はとらない。

「この天幕の周囲には、兵士が警備についております。何かご用がありましたら彼らに聲をかけ、私をお呼びください」

「わかりました、よろしくお願いします」

ゼファーは再度頭を下げる。

「ではレーリア様、中でし休みましょう」

ゼファーは振り返ってレーリアを見ながら、左の天幕を手で示した。用の天幕に男がるのは抵抗があるが、まずは安全を確認する必要がある。それに今後の打ち合わせもしておきたい。

レーリアは何でもいいから、早く天幕にりたいといった顔をして頷いた。

用の天幕にると、部は思った以上に綺麗だった。地面には敷布が引かれ、砂粒一つ落ちていない。衝立で半分隠れた寢臺には、清潔なシーツが置かれている。椅子が備えられたテーブルには果が置かれ、花まで飾られていた。

武張った魔族が用意したとは思えぬ、品の良い部屋であった。

「どうやら、ガリオスはかなり気を遣ってくれているようですね」

ゼファーは天幕の中を見て頷いた。

先ほど話をした時も、ガリオスは聲を抑えて話していたように思う。おそらく張しているレーリアを見て、怖がらせないようにしてくれたのだ。

ガリオスといえば戦鬼の如く恐れられている魔族である。だがには意外に甘いのかもしれない。

ゼファーは兵士の一人を天幕の外に立たせ、殘り一人とマイスには室に異常がないかを調べさせる。侍二人は持ってきた荷を解きはじめた。

ゼファーがレーリアを見ると、彼は天幕にあった椅子に腰を下ろして深く息をついた。

「大丈夫ですか?」

ゼファーはレーリアの前に片膝を突いた。目の前にある彼の手は、かわいそうなほど震えている。

に許可もなくれるのは無禮であったが、ゼファーはを無くした手を取らずにはいられなかった。

手に取ったレーリアの手は、石のように冷たい。レーリアは突然手をれたゼファーに対し、一瞬だけ目を向けた。しかしその手を払わず、軽く握り返した。

ゼファーの手から熱が伝わり、レーリアの手がゆっくりと溫かくなっていく。

見上げるゼファーの視線と、レーリアの視線が絡み合う。ゼファーはずっとこうしていたかったが、天幕の外から聞こえた慌てた聲が月の時間を中斷させた。

「ゼ、ゼファー様。お客が來られています」

「客だと?」

ゼファーは咳払いをしたのち、尋ね返した。

ちなみに、の天幕の相を用意したのはアザレアたちだったりする

花飾るなんて男の兵士にはない発想

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