《聖が來るから君をすることはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖が5歳?なぜか陛下の態度も変わってません?【書籍化&コミカライズ決定】》第86話 最も大事で守りたい、自分の命よりも尊い存在
「ねえママ! アイ、どーなつじぶんでつくりたい!」
アイがそう言ったのは、ドーナツパーティーから數日経ったある日のこと。
ユーリ様と私と、それからアイで朝ごはんを食べている時だった。
私に聞いたアイのつぶらな瞳は好奇心と期待でキラキラ輝いており、そこには「斷られるかも」という怯えや、ためらいはしもない。
「自分で作りたいの? そんなにドーナツが気にったなんて」
今まであれが食べたい、これが食べたい、とリクエストしてくることはあれど、「作りたい」と言ったのは初めてだ。私が聞くとアイが答えた。
「あのね、りりあんおねえちゃんがどーなつだいすきなんだって! だからアイ、つくってあげたいの!」
リリアンのために……!? アイったら、あいかわらずなんて優しい子なのかしら!
……でも。
「そう、ね……」
――そこで珍しく私は表を暗くし、言い淀んだ。
昔、三つ編みと同様、料理もやってみたいと家庭教師(ガヴァネス)に言ったことがあったの。
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けれど……。
『エデリーン様、よく覚えてください。料理は、貴族がしていいことではありません』
いつも厳しい家庭教師の、さらに真剣で、深刻な口調。
『仮に侯爵令嬢であるあなたが料理をしていると知られたら、ご両親やホーリー侯爵家がどう思われるかご存じですか? 社界の方々は口を揃えてこういうでしょう。"ホーリー侯爵家は、娘が料理を作らねばいけないほど貧しい"と。同時にあなたの評判も落ちます。それぐらい料理というのは、貴族社會では忌避される行なんです』
そう言った家庭教師の顔は、もう覚えていない。
けれどその表と口調から、料理は貴族令嬢として本當にしてはいけないことだという認識が、い私の心に刷り込まれたの。
絵を描いたり貓を洗ったり、令嬢としては破天荒なことをたくさんしてきた私だけれど、唯一料理だけは、してこなかった。
でも今、私がアイに料理をさせたら……年頃になった時、他の令嬢たちに「あの子は自分で料理をする」と笑われてしまわないかしら? 大人になってから來た歴代聖と違い、アイは令嬢たちに混じって長することになるんだもの。
「ママ?」
いつもならすぐに返ってくる返事がないことに気付いたアイが、不思議そうに私を見つめてくる。私はなんて答えたらいいのか迷い、とぎれとぎれに言った。
「あのね、アイ……。アイが料理を作ったら……もしかしたら將來、皆に笑われてしまうことになるかもしれないわ……」
その言葉に、アイがきょとんと目を丸くする。
「わらわれるの? なんで? なべのおじちゃんもつくってるよ?」
……そうよね。
私はぎゅっと眉を寄せた。
アイの言うことは、すごくまっとうだ。
生活していく上で欠かせない料理を、貴族だから行ったら恥だというのは、正直私も変だと思っていたんだもの。
だから本當ならアイの好奇心の赴くまま、料理だって経験させてあげたい。
そう思うのに……い頃に聞いたあの言葉が、私をしばりつける。
自分が笑われるだけならいい。
けれどアイは……私が最も大事で守りたい、自分の命よりも尊い存在なんだもの。
親としてどうするのが正解なのか、私は測りかねていた。
「……珍しいな、君がそんな風に言うなんて」
そこにぽつりと聞こえてきたのは、隣に座っていたユーリ様の聲だ。
「貴族たるもの料理は恥、と聞いたことあるが、まさか君の口から出るとは思っていなかった。君はどちらかというと、誰よりも先にその慣習を飛びこえていきそうなのに」
その口ぶりに、私はしだけ顔を赤くした。
「わ、私にだって多の慎みはありますわ。それに、アイの將來にもかかわることなんですもの。子どもは可いけれど、同時に正直で、殘酷でもあります。料理を覚えさせたことでもしあの子が笑われ、傷つくことを考えたら、申し訳なくて……」
私がぎゅっと手を握ると、なぜかユーリ様は笑った。細められた瞳には、包み込むような優しいが浮かんでいる。
「エデリーン。私は思うんだ。時代は変わる、と」
ユーリ様がゆっくりと、私に語りかける。
「父が亡くなり、私は國王になった。けれど君も知っての通り、私は黒髪黒瞳ではない、青目の王だ」
「そう……ですわね」
聖の子ら――つまり歴代國王は、皆黒髪と黒い瞳を持っている。
けれど聖の子ではないユーリ様は、黒髪こそ持っていても、その瞳は深い青だ。
「そして王妃となった君も、聖ではない」
私は靜かにうなずく。
「何より、今世の聖は今までとは違い、たった五歳のアイだ。すべてが異例のことづくしだが、同時にそれが今のマキウス王國であり、新しい時代の象徴だと私は思っている」
言いながら、ユーリ様の大きな手がくしゃりとアイの頭をなでた。じっと私たちの話に耳を傾けていたアイが、くすぐったそうに目を細める。
「先人が築いてきた良き風習はけ継がれていくべきだが、不必要な、悪しき価値観までけ継ぐ必要はないのではないか?」
その言葉に、私はハッとした。
……そうだわ。どうして気付かなかったんだろう。
い頃に問答無用で叩き込まれた考え方に対して、私は疑問を抱きつつもけれて生きてきた。
けれどユーリ様の言う通り、今後もそれをけれる必要は、どこにもないのだ。
「……ユーリ様のおっしゃる通りですわ」
私は顔を上げた。
ハロルドはユーリ様の臣下であり友だけれど、同時にアイにとっても、年齢の離れた良き友だと思っている。そんな友が心からする料理という行為を、アイにとって"恥ずべきもの"にはしたくない。
私はぐっと両手を握った。
「アイを守り育てるのはもちろん、アイだけではなく、今いる子どもたちが過ごしやすい未來を創る。それも、私たち大人の役割なのかもしれません」
「ああ。さいわいにも私は國王。君は王妃だ。この國で私たち以上に権力を持っている大人はそういないだろう?」
そう言っていたずらっぽく笑うユーリ様を見て、私は目を輝かせた。
「そうですわね! こうなったら、ガンガン職権用していかなければ! ねっ、アイ!」
「しょっけんらんよー!」
「にゃおん」
おー! と私の真似をしてアイも拳を突き出す。……あと気のせいかしら、ショコラも拳を突き出していない?
「その言葉選びはなんだか違う気がするよ、エデリーン……」
隣ではそんな私たちを見ながら、ユーリ様が苦笑いしていた。
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