《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》448 さえあれば、別なんてね……。

もうYUIKAちゃんのことでさえ、興味を持てない。

常に頭の中は、泣き顔のミハイルでいっぱい。

早くアイツに會いたい……でも會えない。

俺は、捨てられたから。

「……」

アニメ化の話を聞いても、全く盛り上がらない俺に、白金はうろたえてしまう。

「ちょ、本當にどうしたんですか? DOセンセイの推しでしょ? 以前は『YUIKAちゃんの犬になりたい』とか、ほざいてたのに……」

「今は別に……」

「おかしいですよ。貞のくせして、なに格好つけてんですか? 似合わないですよ」

普段なら、口ゲンカを始めるところだが、そんな元気はない。

「いいよ。なんでも」

「センセイ……」

落ち込んでいる俺を見て、白金は話題を変えようと必死だ。

とりあえず原稿を見せてしいと言われ、リュックサックからノートパソコンを取り出す。

デスクの上にパソコンを置いて起すると、テキストファイルを開く。

そして、白金にモニターを向けると。

別に頼んでもないのに、俺が書いた原稿を、聲に出して読み上げる。

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「……その時、ミハイルはんだ。『オレの白うさぎを食べたな! 許さないぞ!』しかし俺も引けない。『ミハイルがおてんてんを見せたから悪いんだ。もうお前の白うさぎしか食べられないんだ!』……って、これ。誰の話ですか?」

ヤベッ。白うさぎばかり食べていたから、作品にまで影響を及ぼしている。

でも、これ以上偽るのにも、疲れてきた……。

空腹で頭がしっかり回っていないこともあったが。

「そいつ、ミハイルは……俺のダチで。そして、アンナだ」

気がついた時には、白金に真実を話していた。

ちゃんと、相手の目をしっかりと見て……。

「なっ!? み、ミハイルくんって……確か一ツ橋高校の?」

「白金も一回、會ったことがあるだろう。ほら、お前が高校に來て、宗像先生と事務所で“気にヤン”の設定を4人で話し合ったとき」

「あの時の、ハーフの男の子……?」

「そうだ。ミハイルが、裝した姿がアンナだ」

アンナの正を聞いた白金は、驚きのあまり口を大きく開き、固まってしまう。

「……」

數分間の沈黙のあと、ようやく白金のいた。

小さな手で拳を作り、デスクを思い切りブッ叩く。

「なんてことをしてくれたんですか! 今や“気にヤン”は、年たちの間で大人気のラノベであり、マンガなのです!」

俺の顔面めがけて、大量の唾を吐き出す白金。

どんどんヒートアップしていく。

「前にも言いましたよね!? ラノベの読者は、大半が貞のティーンエイジャーで。汚れを知らないピュアな年です! そのヒロインが裝男子でしたとか……かなり偏ったラブコメですよっ! なんでそんな子をメインヒロインにしたんですか?」

その問いに、俺はまっすぐ答えた。

「一番、可かったからだ……」

「可かったって……DOセンセイはゲイだったんですか? だとすると、読者の癖を大きく歪めることになってしまいますよ。それこそ、アンナちゃんというキャラは、既に二次創作まで作られています。使っちゃった編集部の社員はどうなるんですか? ファンがそっち界隈に旅立っちゃいますよ!?」

人ので、使うなよ……。

でも謝っておくか。

「悪い……」

「センセイ。私はノンケ向けのラブコメを書いてしくて、一ツ橋高校を勧めたんですよ?」

「俺も最初は、そのつもりだったさ……」

ていうか。俺ってゲイとして扱われてる?

ついにアンナの正がミハイルであることを、編集の白金にバラしてしまった。

アニメ化も決まっている人気作品だったので……。

それを聞いた白金は、顔を真っ赤にして怒っていた。

「もう~! なんで、そんな大事なことを黙っていたんですか!? せめて小説の発売前に、教えてくださいよっ!」

「……言いたくても、言えなかったんだ。俺が可いと思った子が、男だなんて」

ミハイルに絶された今となっては。こうやって彼のことを、話すことに恥などない。

むしろ後悔している。

もっと、俺が素直になれていたら……と。

白金は首を橫に振りながら、ため息をつく。

「はぁ……ま、DOセンセイは経験が皆無だし。若いから一過の気持ちもあるでしょう。しかしですね、読者に対して噓をつくのは、良くないですよ!」

「すまん。今からアンナは、男だと発表すべきか?」

「ダメですっ! 噓に噓を重ねるようなものです。こうしましょう……とりあえず、連載が終了するまでは、アンナちゃんはメスってことで♪」

「……本當に、それで良いのか?」

「大丈夫ですよ♪ 読者は貞ですから、気がつきませんよ♪」

こいつが一番、読者をバカにしているような……。

「ところで、アンナちゃんが男だと分かった以上。私からDOセンセイに聞きたいことがあります!」

「え?」

「他のヒロイン達ですが……野郎ばかりってことは、ないでしょうね!?」

これには、俺も唾を吹き出す。

「な、ないに決まっているだろ……アンナだけだ」

「本當ですか? おをちゃんと確認してます?」

「出來るわけないだろ……」

「怪しいですねぇ。DOセンセイは貞ですから、ちょっと可いければ騙せそうですよ?」

「……」

なんとも失禮な疑を持たれたものだ。

結局、白金がアンナのことは、今まで通りという設定で貫けと言うので。

黙って従うことに。

またこの事は、二人の間でにしましょうと言われたから……。

俺は既に何人か、事を知っている人間がいると答えた。

妹のかなでと宗像先生。それにミハイルの親友、花鶴 ここあだ。

そう説明すると、白金は一瞬険しい顔をしたが……。

「じゃあ、その人達まで! しっかり話を留めてください!」

と久しぶりに業務命令を出してきた。

「了解した」

「お願いしますよ! 私の昇格とボーナスが、かかっているんですから!」

こいつは金のためなら、何でもするな。

最後に、今の狀態を伝える。

小説を書けなくなった理由を。

俺がミハイルを抱きしめたことから、始まったケンカ。

宣言。

裝したアンナとは、もう取材が困難であること。

「だから俺は、もう小説を。ラブコメを書けなくなってしまったんだ。アンナと取材なんて出來ないし。最近じゃ、食事も取れない有り様だ」

「……DOセンセイ。あの、それって癡話げんかですよね?」

「へ?」

「男同士だから、私にはよくわからないのですが……。とりあえず、今起きている出來事を忘れないうちに、文字にしてください。倦怠期みたいなもんでしょ? あ~、聞いていてイライラするわぁ。早く付き合えよ、クソがっ!」

「……」

なんか宗像先生と、同じ反応なんだが?

じゃあ俺は、どうしたら……。

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