《【書籍化】宮廷魔導師、追放される ~無能だと追い出された最巧の魔導師は、部下を引き連れて冒険者クランを始めるようです~【コミカライズ】》狼煙

それから準備をすること半月ほど。

俺はデザントの奴らの目につかないように、ミンディの中で暮らす者たちに接を繰り返していった。

彼らはみな、デザントの持つ戦闘力に屈して言うことを聞かされているだけで、デザントそのものに忠誠を繰り返している者はほとんどいない。

俺が話をし、そこから更にザンギに説得をさせれば、彼らをこちら側に寢返らせることはわけのないことだった。

どうやらデザントのやつら、ミンディで相當好き放題していたらしい。

やり返すことができるというだけで暗い笑顔を浮かべる者や目が走って今すぐにでも行こうとび出す者たちも多かった。

俺が奔走していたのは、どちらかと言えば彼らを押さえるためだったほどだ。

いやホント、何やったらこんな嫌われるんだよってくらいだよ。

元母國として恥ずかしいやらなんとやら。

なんにせよ、準備は整った。

あとは作った仕掛けに、火をつけてやるだけでいい。

以前の『ゾンビあたっく!』を再利用する形で、俺たちのミンディ攻略戦の最終章が幕を開ける――。

あれからそれほど月日が経っていないが、セリアは未だ本調子にはほど遠い。

『無道ノ零』をかなり無理して使った疲労が抜けきっていないのだ。

アルティメット・ゾンビを召喚し再封印するのは、今の彼にはまだ厳しかったらしい。

今後のことを考えても、アルティメット・ゾンビの使用はしばらくの間は止だな。

だがセリアなしで俺が単騎でやろうとすると、いたずらに被害がデカくなってしまう。

正直なところ彼頼みな部分に思うところもあるが、今回ばかりは頑張ってもラなわなくちゃならない。

俺がやるとどうしても、市街戦をするか大規模殲滅魔法でありったけの兵士を絶やしにするやり方になっちゃうからな……。

『アルノード、き出したぞ!』

『通信』の魔道からサクラの聲が屆く。

どうやらあちらがき出したようだ。

俺はミンディの側から報告を聞き、何かあったら伝えるよう言伝を殘して魔道を切る。 今から行う最後の作戦は、による敵兵力の分散、そしてそこから先に行うミンディの民衆を使った反だ。

まず最初に、セリアが呼び出した『葬送の五騎士』に統率されたスケルトン軍団をミンディへ近付かせる。

わかりやすいようにガシャガシャと音を立てながら、隠れることなく行進するアンデッドに、デザント軍は大きな反応を見せた

『隊長、南門から軍が出ます。規模三千』

『思っていたよりないな、了解した』

現在ミンディにいる兵士達の數は一萬千ほど。

そのうち予備兵力以外の全てを討伐に向けてくることはなかった。

むしろ警戒をしてから、人員の數は前回よりない。

以前のアルティメット・ゾンビの時のことを考え、籠城戦を視野にれているのだろうか。

『隊長、城壁に兵士が集まってきております』

『なるほど、あちらはゾンビを削っていく方針ということか。堅実な判斷だな』

俺の予想が正しかったようで、ミンディの城壁に続々と兵士達が姿を見せているという。 城壁に張り付いていたり、後詰めとして控えている兵士の數を合わせるとその數は千や二千では聞かないという。

ゾンビ相手に投や魔法は有効だ。

ゾンビの奴らに城壁をよじ登るだけの知はないだろうから、有効な手だろう。

恐らく出て行った三千は、挾撃をして撃ちらすことを防ぐための人員に違いない。

だがこれで、対ゾンビにデザント兵のかなりのリソースが割かれたことになる。

報を集めるが、既に街中にはほとんど兵の姿はないという。

ここで更に市民たちによる反を起こせば……そこに対応するだけの人員はいない。

「さて、仕上げと行くか……」

俺は空目掛けて、ブラストファイアボールを打ち上げる。

炸裂する炎の弾が、デザントへと下す反撃の狼煙だ――。

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