《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》449 青春時代

ヒロインであるアンナが、男だと分かった以上。

このままアニメ化するには、不安要素が多すぎると白金は頭を抱える。

とりあえず、原作は売れているので、設定はの子のまま……。

またアンナ役にYUIKAちゃんを、起用することも保留にするらしい。

の子としてオファーしたのに。正裝男子だとバレたら、役とは言え、炎上しかねない。

俺を元気にするため、博多社まで呼んだ白金だったが。

結局、何の解決にも至らず。

アニメの話さえ、ボツになりそうだ。

なんだったら白金の方が、ダメージが大きく見える。

「ま、まあ……DOセンセイ。どうにか、ミハイルくん。いや、アンナちゃんとしっかり仲直りしてください」

青ざめた顔で、視線は床に落ちている。

「善処してみる……」

覇気のない聲で呟くと、その場を去った。

何度かミハイルに、連絡を取ろうと電話をかけてはみた。

しかし電源を切っているようで、出てくれない。

メールも同様だ。

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仕方がないので、今度はアンナのL●NEに、メッセージを送ってみたが。

既読マークすらつかない。

完全に、心を塞いでいるようだ。

最初こそ、宗像先生に言われた通り、SNSを使い。

楽しんでいる自分を演じ、発信していたが……。

俺自が耐えられなくなり、今は放置している。

毎日、あの日を思い出す。

ミハイルに、絶された日のことを……。

俺があの時、ちゃんとアイツの想いに答えることが出來たら。

今でも二人仲良く學校へ、行けたのだろうか?

後悔だけが殘り、何もやる気が出ない。

前回の試験が実質、最後のスクリーングだった。

あとは、終業式のみ。

一ツ橋高校は単位制の高校だ。編して、半年で卒業する生徒も多い。

だから終業式と合同で、卒業旅行を行う。

去年、みんなで別府溫泉へ旅行に行ったのは、そのためだ。

ある日、宗像先生から電話がかかってきて。

『新宮。終業式に必ず來るんや! 今回は大阪に行くんやで! 食いだおれやで!』

われたが……。

ミハイルが來ないなら、意味がない。

俺は初めて、高校をサボってしまった。

~それから時は経ち~

もう俺には、限界だった。

この終わらない毎日が……。

白うさぎを食べられるとは言え、重は下がる一方だ。

空腹により、思考が上手くまとまらない。

小説を書く以前に、日常生活に支障をきたすレベル。

気がつけば、俺もミハイルと同じ行を取っていた。

退學屆……。

これを宗像先生に渡して、終わりにしよう。

そう決斷したのは、季節が変わり、春になったころ。

2年生になったばかり。

今期、1回目のスクリーングの日。

本當なら、教科書や服で、リュックサックはパンパンに膨れ上がるはずだ。

しかし、俺が中にれたのは、一枚の封筒のみ。

軽くなったリュックサックを背負うと、リビングへ向かう。

「あら、おにーさま。おはようございます♪」

妹のかなでが、テーブルに並べられた朝食を、味そうに食べていた。

玉子焼きに鮭。納豆と味噌。大盛りの白飯。

実に健康的な食事。最後にこんなご飯を食べたのは、何時だろう……。

俺とは対照的で顔も良く、新しいセーラー服は持ち前の袋で破れそうだ。

高校生になって、更にが巨大化したような。

猛勉強の末、かなでは見事、國立の名門校に合格した。

福岡県では、トップレベル。

いつも男の娘ゲーで興している変態だが、偏差値が70越えという結果が出ているので。

実力なんだろうな……。

「か、かなで……。お前、今日は高校、休みじゃないのか?」

「そうですけど。高校の友達と天神で待ち合わせしてますの♪」

日曜日に天神で、級友と遊ぶだと?

こいつが? 高校デビューってやつか。

「な、なるほど……。気をつけてな」

「気をつけるも、なにも。インテリぶったJKを沼に落とすだけですから♪ “オタだらけ”で薄い本を買い漁るのですわ!」

「……」

うちの妹のせいで、優等生が腐ってしまうのか。

かわいそうに……。

「それより、おにーさま。最近ご飯を食べませんのね? 一どうしてです?」

「ちょっと々あって……」

ミハイルに振られたから、ショックでとは言えん。

「何か悩み事のようですね。でも、ご安心くださいな。今日あたり必ず良いことが、起こりそうですよ♪」

「え?」

妙に自信たっぷりのかなでを見て、まさか……とは思ったが。

ミハイルは今、攜帯電話の電源を切っているし。

地元の真島駅から、小倉行きの列車に乗り込み。

一ツ橋高校がある赤井駅へと向かう。

本當なら、2駅離れた席駅で。

「おっはよ~☆ タクト☆」

と一人のショーパンの年が、駆け込んでくるのだが。

なにも起こらない。

ため息をらして、赤井駅にたどり著くまで、待つことに。

駅から15分ほど歩いた先に、名である心臓破りの地獄ロードが見えてきた。

もう慣れたと思っていたが、久しぶりにこの坂道を歩くと。

足が鉛のように重くじた。

リュックサックには、何もれてないのに。

誰かが俺の肩を引っ張っているような……。

息遣いも荒くなる。

「はぁ……はぁ……」

今日で終わりだ。

もうこの坂道とも、お別れ。

俺にはやっぱりガッコウなんて、居場所は似合わない。

宗像先生に怒られても良いから、退學屆を出して。

さよならだ。

自分にそう言い聞かせて、坂道を登る。

登り切ったところで、強い風が吹きつけた。

今のやせ細ったでは、立っていることさえ困難だった。

ふらつくとバランスを崩し、俺はそのまま坂道へ転げ落ちる……。

そう思った瞬間、誰かが優しく背中を押してくれた。

「危ないよ☆」

この聲は、まさか。

そんなことは……ありえない。

だって、俺を捨てたはずだ。

「タクトはやっぱり、オレがいないとダメだな☆」

そう言って、エメラルドグリーンを輝かせるアイツ。

に空いた大きなが、やっと塞がった気がする。

彼の顔を確認しようと、振り返る。

「み、ミハ……?」

後ろに立っていたのは、俺が待っていたアイツじゃなかった。

桜の花びらが舞い散る坂道で、優しく微笑むのは。

元に大きなピンクのリボン、フリルのワンピースをまとったの子。

カチューシャにも、同系のリボンがついている。

しい金の長い髪を、肩から流していた。

「タッくん。おはよう☆ こんなところから落ちたら大変だよ☆」

「あ……アンナ? なぜ、お前がここに?」

「ふふっ。なんでだろね☆」

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