「バレリオン」

「戦槍せんそう！」

シンの持つ短剣の刃が薄ネズミから赫へと変わる。

ダの持つ槍の穂ほが一枚刃の素槍型から両刃が増え、三枚刃である上下鎌十文字槍へと変わる。

シンの固有能力『バレリオン』。刀に込めた魔力分、熱を帯びさせるだけ。

魔力量によって熱が変するが込め過ぎると剣が熱に耐えられず溶ける。

そのため高火力で叩く場合は一回切り。

それににしか熱を宿らせられず、生にも熱を帯びさせられない。

故にその熱に耐えれるは融點の高いでないとならない。

そんな使い勝手の悪い能力。

それを支えるのが今、あいつが持っている短剣。

五核ゴーレムの外殻を加工しただ。

魔道ではないが魔力の伝導率も良く頑丈。何よりその核の近くは熱や冷気に強い特を持っている。

しかしだからと言って最初から使えてはいなかった。

シンは魔力量がないのが欠點だ。

カレメローンの鱗を維持しているだけでほとんどの魔力を持っていかれるそうなので、それもあって高火力は一回。

赫い刃が子供の首に迫る。

その攻撃に合わせて掌程の大きさな氷が、シンの柄の位置を狙って地面からびる。

しかしそんな小細工は空を切る結果となる。

柄が橫へ僅かにズレ、一瞬短剣のきが止まる。そして落下したかと思えば再びき出す。

持ち手を変えたな。

そしてダの固有能力『戦槍』。こちらはかなり単純な能力。

手にした武を自分が知る槍に変える。

今回は一枚刃から三枚刃にしているが、同じだと三叉槍にもなる。

おまけにハルバートやランスにさえ変わるのだが、毎度ながらあれは槍の部類にるのかと思う。

三枚刃が子供の左しんぞう目がけて槍を突き出す。

そして二つの攻撃が子供に當たる直前で、彼はその攻撃を躱わす。

そのまま子供は地面に仰向けの狀態で倒れる。

すぐさま二人が追撃を加えようとく。が、その行がダメだった。

子供が倒れた事で彼の背後から現れたアイスネークと同じ赤黒いの水球。

それに彼らは接近する形となってしまった。

「逃げ──」

私が言うよりも先に二人はく。

しかしその水球から大小様々の鋭利な氷柱のびの方が早い。