《凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ〜TIPS€ 俺だけダンジョン攻略のヒントが聞こえるのに難易度がハードモード過ぎる件について〜【書籍化決定 2023年】》155話 神の天敵
神種。
世界が進んだ事により、バベルの大というフィルターを通じてこの世界に帰還した星の上位種。
人間を喰う食連鎖の上位。
「お、顔が戻ったか。おまけに服も。これどういう仕組みなんだ?」
TIPS€ 神種の形態変化は外皮を変化させたものである、服に見えるものもすべて外皮から形されている
突然の襲撃、固まる神種、くのはこの男だけ。
「服くれ、服」
びりりりりりりり。
踏みつぶした神種、それがまとうローブのような裝を味山が引き千切る。
それを腰に巻く、完全にサウナ後のおっさんスタイル。
「よし、これでマナーは守られたな」
時間にしてわずか數十秒の出來事。
そして、この段階でようやく神種たちはそのにじていた奇妙な違和から抜け出す。
「権――」
スカイ・ルーンの姿をしている神種のきが一番早い。
突き出した手のひらに、金の枝が生える。
味山へ向けて、それが発され――。
「先生」
しゅぼっ。
跳躍。
一瞬でその場からまた味山が掻き消えるように姿を消す。
ぎい、ぎし。
著地先、まだ殘っている建の屋に飛び乗った。
「あら~避けるのは上手なのね~」
「……むざむざ出てきたか、あのまま人類軌跡の異界に閉じこもっていればよかったものを」
「おい、北歐の。糸紡ぎのガキはどうなった?」
「気絶しているな……」
味山を見上げる神種。味山の強襲のショックから立ち直りつつある。
「……今更何をしにきた、人間」
グレンの顔をした神が、味山に問いかける。
「お、お~。やっぱあれだな、グレンの顔でまじめな表って違和しかねえや。変なじだ」
「……何を言っている」
「お前らってさ~人間食うのか、そんなじで」
味山が指さすのは真っ赤な大鍋。
そこには彼らが狩った人間や、とある神種がぐつぐつと煮られている。
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「そうよ~私たちにとってあなたたちは大事な大事な存在なの。でるもよし、食べるのもよし、げるのもすのもよし。奉仕種族として人間はとても優秀だもの~」
「ふーん、なるほどね。あ~これは俺が間違えたな。大戦、とかじゃなかったわ、これ」
「あ? 何言ってやがる」
「中途半端に人間の形をしてやがるからよ~勘違いしちゃったよ、ほんと。人間を喰って人間をなめ腐ってるってお前らあれだな、只の怪種じゃん」
「――あ?」
ぴき。
ソフィの顔をした神が表を固める。
人間であるなら確実に委してしまう圧。
神種特有の力、神がれ出して。
「怪は駆除だ」
味山が息を深く吐く。
TIPS€ 警告・神話攻略不可能、すでに人類は敗北した
TIPS€ 警告・複數の神種に対する戦力が不足している
TIPS€ 警告・複數の神、さらに接近中
「お前、狀況わかってんのか? 人間。そのじ、神を殺した事がある程度でいい気になってねえか?」
「神殺しの人間の香りがするわ。あなたは特に味しそうね~」
「……ノルンは油斷しすぎたな」
ニホンを崩壊させた強大な力そのものが、味山に敵意を向ける。
味方はいない、助けもない。
あるのは――。
「ジャワ」
ぼおう。
右手に燈る火。
送り火、継がれた火葬の火が味山の元に。
「……見下ろしてんじゃねえぞ、下等生」
「踏み潰されて気絶してる蟲ケラの仲間がなんか言ってらァ、夏だからか? 元気だな」
「ーーてめえの魂はいらねえな」
味山の軽口に、ソフィの顔をした神種がキレる。
ふっと、その姿が掻き消え、次の瞬間には味山の真上へ。
構えた大鎌、雑な一撃。
だが、それでも彼らは神種。
彼らは本能で知っている。
人間は自分たちの持つ神にひれ伏すことを。
「あら〜あの人、本気ね」
「……遊ぶ気もないな」
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人が小さな蟲を見て気持ち悪いと思いこそすれ、殺されるとは思わないように。
ひと踏みすれば簡単に殺せる存在だと子でも知っている本能のように。
神を纏った神が、人へ攻撃を。
TIPS€ 神話攻略不可能ーー
ルールはすでに決まっている。
人が神に立ち向かうには條件をそろえる必要がある。
それを知り、それを暴き、それを貶める。
人間のみが行える神への対抗。だが、人類が敗北した世界ではそれはもう――。
「じゃあな」
ソフィの顔をした神が勝利を確信して。
TIPS€ 前提條件変更
TIPS€ 人類の數が極端に減した為、"人の認知"による神への畏れの母數低減
TIPS€ 技能"完された自我"、"大いなる罪よ、神を嗤え"、特"ニホン人"によりシナジー発生
TIPS€ 新技能・凡そ(おおよそ)の人”
「化けが、神様ぶってんじゃねえよ」
「ーーあ?」
TIPS€ 味山只人の認知による"神"の陳腐化開始
ぎょろり。
味山の白目がちな目が、神を捉える。
神による人類への絶対優位はしかしーー
「素人が」
「あ? ーーギャッッッッッ!?」
頭突き。
振り下ろされた大鎌の一撃が味山の脳天を刺すよりも先に。
耳の大力による真上への大跳躍、がこん!!
ソフィの顔をした神の顎に、味山の頭がクリーンヒット。
「うそ」
「……これは」
「げほ――あ、ああ、やばい、アイツ、マジでやばい……僕たちの神が……」
味山にぐるみはがされた年神が目を覚ます。
「さ、最初に気づくべきだった……そうだ、僕が首を折られた時から……あいつ、なんで普通に僕たちに攻撃できる――は? なん、これ」
運命をつかさどる神の視界に移るのは
「が、は――」
「おい、おいおいおいおいおいおい、クラークの顔のくせに喧嘩弱いとかねえよな? アイツ、あの顔でめちゃくちゃ力強いんだぜ」
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ごっ、ごっ、ごん!!
神の襟をつかみ、そのまま頭突きを食らわせ続ける半の男。
運命をつかさどる糸紡ぎの神が、その男に備わる力を覗き見て。
TIPS€ 神話攻略省略
TIPS€ 人類全の數が減した事により、味山只人個人の認知の影響力が増加
TIPS€ 技能”凡その人”により、人類総の”認知”が味山只人の認知へ変化
TIPS€ 世界の認知へ、味山只人の認知が浸食を開始
TIPS€ ニホン神話以外の神の強度が大幅に低減
「――殺さなきゃ……」
「ノルン、どうした……?」
「ば、バルドル様、やばい……マジでやばい!! こ、殺さなきゃ! 今、殺さなきゃまずい!!」
ごっ、ごっ。
ソフィの顔をした神は、もはや意識はない。
鼻をたらし、白目を剝き、それでも味山の頭突きは止まらない。
「意味がない……人類の數を減らしても、文明を滅ぼしても、あの男が生き殘ってたら、意味がない……!!」
「ど、どうしたの~、ノルン君も、あの人も変よ~、遊んでるだけでしょ? いつもみたいに……」
「違う、違うんだよ、ペルさん!! あ、あいつ、1人で、たった1人で世界を狂わせてる……! ぼ、僕らが消される……神話の戦爭とか神代とか言ってる場合じゃない! ああ、ああああああああ、これか、これの事か……!! 滅ぼすもの……!! 最強の人間――」
頭を掻きむしりながらその場に這いつくばる年神。
他者の運命を紡ぎ、それを観測する運命神が見たのは恐るべき神の末路。
「また……消される、忘れられる……人類が20萬年懸けて消した神の時代、あいつ1人でまた同じように――」
「何を、言ってる……!? ノルン、どういう事だ!?」
「あいつ、あいつだよ、僕らが滅ぼすべきは人類なんかじゃなかった。人類を滅ぼしても、”味山只人”が生き殘ったら意味がない……あいつがいる限り、人類の時代は終わらない……踏みつぶしても、踏みつぶしても這い出てくる……」
「の、ノルン君、に、人間1人に怯えすぎよ~、奉仕種族ごときが、たった1人でそんな――」
「じゃあ、なんで!? 今、僕たちはいてないんだよ、ペルさん!」
「え」
「あなたらしくない!! 今、クリさんが、人間に痛めつけられてる! なのに、貴も僕もバルドル様も、それを眺めてるだけじゃん! おかしいでしょ! いつもの僕らなら、とっくにもういてる!!」
「そ、れは、あの人が、遊んでるから……でしょ?」
ごっ、ごっ。
鈍い音、神の口論。
人類は敗北し、神が勝利した。
すでにこの星の行く末は確定した。
なのに、この場所では神たちに勝者の余裕など一切なく。
「違う!! ペルさん! 見てよ、僕を! 見なよ、自分の手を!! 震えてるんだよ!!」
「――」
神の口數がなく。
「……ァ」
ごつん、ごつん。
頭突きは止まらない。
「あなた!」
冥界の主人が、冥界の王へ聲を――。
「……もう、やめて……くれぇ」
「……ぇ?」
信じられないほどのか細い聲。
ここにきてようやく神たちはその異常に気付いた。
もう遅いけど。
「無理」
ぐちゃ!!
振りかぶった味山の頭突きが、神の顔面を砕いた。
そのまま地面に投げ捨てられる神。
ソフィの顔が溶けて、もともとの青年の顔に戻る。
「……神が、意味をなしていない……」
「あ、あいつにとって、僕らは神じゃないんだ……あ、あいつが、あいつが僕たちを神と思っていない、それだけで、僕らの神が力を失ってる……」
「う、うそでしょ……? そんなの、おかしいわよ……」
「お前らには心底イライラさせられた」
「「「――」」」
その男の聲が響く。
廃墟の上、赤く染まった空の下。
男が1人、神を見下ろす。
「神種、いや、怪ども。お前たちは神様なんかじゃない。只の化けだ」
TIPS€ ”凡その人”の効果により、世界の認知が歪曲。”神種”の神、大幅に弱化。人類に対する絶対優位喪失
味山只人が言葉を紡ぐたびに、神種の容姿に異変が起きる。
ぴき……
わずかに彼らの顔が、見た目が壊れ始めている。
「話はもうシンプルだ。俺が探索者で、お前らが怪な以上、やる事なんて決まってる」
味山が話すたびに、神種たちに決定的なバグが生じていく。
神種は順番を間違えた。
人類を滅ぼしてしまったゆえに、この男を人類という枷から解き放ってしまった。
「……ラグナロク」
北歐の神。
本來の神話の中で、彼自は相まみえることはなかった滅びを、その男に幻視した。
「でもよ、お前らには逆に謝もしてる。――ずっと、やってみたい事があったんだ」
風が吹く。
人が神を見下ろす。
TIPS€ ””の発まで殘り900秒
「時間もねえ、仕事を始めよう」
「こ、殺さなきゃ、殺さないと――」
運命をつかさどる神が、本気で慄いて――。
ずぶ……
味山のから生えたのは、黒い靄。
「……あ?」
「冥界の棘だ。誇っていいぜ。定命のものよ。余にこの力を使わせた事を」
兇暴な容姿をした青年が、鼻をたらしつつも立ち上がる。
「あなた……!」
「ああ、心配をかけたな、ペルセポネ。この通りだ。――油斷した、人間をし、甘く見積もりすぎていた、こういう奴もいるんだったな」
ぷらん、ぷらん。
地面からまっすぐ突き出た巨大なとげ、それに刺し貫かれてぶら下がり揺れる味山。
「冥界の。……生きていたのか、ひどくやられたものだな」
「北歐の。今回は余の落ち度だ。人間の姿を借りた余興などもう二度とやらぬ。勘違いしていた。人間の中には、中途半端に手を出しては行けない者もいるのだ」
ぱんっ。
青年が、手を叩く。
ず、ずず、ず。
味山を刺し貫いた棘が、そのまま地面に沈み始める。
「不死殺しの武でも滅ぼせぬ事は知っている。このまま、冥界に送って――」
冥界の王たる神と。
「あっ、うそ」
運命を紡ぐ神。
その2つの神が同じタイミングで言葉を失って。
「……どうした、ノルン」
「ど、どうしたの、あなた」
「「死んで、ない……?」」
「ギャハハ」
ばき。ばきばき。
棘が崩れる。
定命の者の命を無條件で刈り取り、生命そのものを破壊する冥界の概念、死そのものの兵裝が壊れた。
「あ……なに、これ……定命のものなのに……、壽命……なんだ、これ」
「だめだ、これは。存在してはならぬ……不死では、ない……?」
「ずっと、考えてた事があるんだ」
どちゃ。
棘から解放されて、地面に落ちた男が立ち上がる。
ぐりゅ。ずちゅ。
落下の衝撃で折れた腕や足が、巻き戻るように再生する。
「クソ耳の力の本質だ。ずっと考えていた。これにはまだ先があるんじゃないかって」
ぺた、ぺた。
神がつけた傷も、その生きの命を奪う事が出來ない。
「……あなた、アレ、なに……何かが、おかしいわ、おかしいわよ……なんで、貴方のとげで刺したのに、死なないの……?」
「ハルパー、ヤドリギ……不死殺しの武が通用しないのは――そういう事か」
「そうだよ……バルドル様……あいつ、違う、別にあいつは”生き返ってる訳じゃない"」
TIPS€ "耳の" 使用制限なし。ただし、使えば使うほど使用者ののうち、"耳の"が占(・)め(・)る(・)割(・)合(・)が(・)多(・)く(・)な(・)っ(・)て(・)い(・)く(・)用は、避けた方がいいだろう、殺されたら死ぬ、それが最低限の人間の條件なのだから。
TIPS€ 耳の規定使用回數突破
TIPS€ トロフィー條件達"神種を同時に3以上敵に回し、神に恐慌狀態を付與する
TIPS€ 報酬獲得"神の天敵"
「死んでも死なない、死んでも死なない。ああ、そうだ、クソ耳はそうだった。殺しても殺しても、殺しても決して死なない」
TIPS€ 報酬により、耳のの技能が進化
「ーーあいつは、死なない!! 死んで生き返るんじゃなくて! 真っ二つにされるのも、心臓を抉られるのも、あいつの、いや、にしたら全部かすり傷なんだ!! 不死どころじゃない……! 死なないんじゃなくて、殺せない……!!」
運命の糸をつむぐ神がその男の真実を見る。
TIPS€ 耳の→NEW!!耳の
TIPS€ お前は最低限の人間の條件を放棄した。殺されても、最早お前は死ぬ事すら出來ない
じゅわ。
に空いたが塞がる。
砕かれた心臓も肺も骨も全部再生される。
生きとしての當たり前、傷を負い、の許容を超えれば死に至る。
味山のはその法則を突き抜けた。
「ジャワ……いや、違うな」
ぼおう。
右手に火を蓄えて、味山が自らに火を點けようとしてきを止める。
「ずっと、思ってたんだ。使ってみたいって」
一言、一言。
味山がぼそりと呟くたびに神たちの顔が悪くなっていく。
「九千坊、鬼裂、ジャワ。悪い、でも、最期まで付き合ってくれよ」
ぞわ。
味山の首、腕。
そのに宿る神の殘り滓たちが返事をするように、エラや骨、火が一瞬だけ顕現して、収まった。
「耳男は、ブレーキだった」
火が、消えた。骨が消えた、エラが消えた。
ふっと。
「アクセルとブレーキの話だ。この力はアクセルとブレーキを同時に全力で踏み続けていた」
神の殘り滓の力なく、味山は自分のをただ見つめる。
TIPS€ ””の起まで殘り777秒
「だから、今からやるのは実験だ。やり直し前提のお試しプレイ。ああ。ちょうどいい練習相手もいらっしゃるわけだしよお」
TIPS€ 警告 ”耳の”による浸食が開始
「アサマん時もそうだった、アシュフィールドの時もそうだった、クソ脳みそ竜の時もそうだった」
ず、ず、ずずずっずず。
味山の顔に、異変が。
「これを、ずっと使ってみたかった」
痣だ。
黒い痣が、頬を染めていく。
「ーー約定を、ここに」
脳にいつのまにか満ちていた酔いが、舌を踴らせる。
「某の耳はただ、聴く為にあった。某の耳は聞き逃さず、ただ彼の言葉をーー」
ぞわわわ、
広がる痣、黒目や白目にすらびる頬の痣が、止まる。
「いや、違うな、こんなんじゃねえ。アイツと俺は約定なんぞ、結んじゃいねえ」
同じく踴っていた味山のも、止まる。
離れない、消えない。
あの強烈なイメージ。
「殺しても死なない、意味の分からねえクソーー最強の化けの姿」
耳を塞いでも。
耳を抑えても。
耳を閉じても。
消えないあの笑い聲。
ギャハハ。
ギャハハハハハハ。
「約定は、ない」
ぐにり。
痣が、味山の顔を覆う。
耳の形の痣。
「あるのは、ただ、ただ、最悪で最強なイメージ
TIPS€ 警告 耳のの侵食がテロメアを侵食。、臓、骨格の置換開始
TIPS€ 耳のへの対抗技能、はじまりの火葬ーー。
「火は、なしだ」
もはや、そのを、を食い止めるブレーキはない。
痣。
いつのまにか、それがのように流れ出す。
が崩れ、人の形が崩れていく。
「……これ、なに……なに、これ?」
「神話戦爭の前に……これだけは処分の必要がある」
「おい、おい……笑えねえってこれ……」
なのに、止まらない。
なのに、滅ばない。
味山只人だった何かが、ぐにゃりと笑って。
「いってみようか」
TIPS€ やり直しまで、殘り650秒
TIPS€ 警告 耳のの暴走
TIPS€ 警告ーー使(・)用(・)條(・)件(・)達(・)(・)
TIPS€ もう人には戻れない、もう人ともにはーー
「もぉんだいないねええええ!!」
神は明らかに自らの失敗を自覚した。
「あは、あは、ぎゃは!! ぎゃははハハハハハ!! もうどうでもいい!! 人間だとか人だとか、どうでもいい!! 貴崎が死んだァ、グレンも死んだァ、クラークも! 他の奴も皆死んだ!! 俺の世界はぶっ壊れた!! だからァ!! もう俺ぇ人間じゃなくてもいい!!」
予言はされていた。
ニホン、引き金,最期の王が放つ弾丸。
だが、本気でそれを脅威にじる神はいなかった。
うまくいきすぎたのだ、人類を滅ぼすのが、楽しすぎて神は皆、忘れていた。
この生きは數百萬年の間、この星を支配してきた長たる生きだという事を。
人類の強さとはすなわち、そのおぞましいほどの懐の広さ。
「俺は人間じゃない、河でも、鬼でも、原人でもない」
泥、人、泥、人。
壊れた映寫機が映し出す映像のように、味山の形が代わり続ける。
ぎゃははははは。ぎゃはははははは。
笑い聲だけが止まらない。
神達の指先が震えだす。
その生きは揺らがない。
その男は止まらない。
神が、味山から人間でいる理由を、この男の首を壊してしまった。
TIPS€ 警告……いや――もういいか。行け、殺してこい
「俺は、耳男、でもない」
ぴたっ。
黒い泥、それはが崩壊と再生を繰り返したゆえの滓。
「俺は――」
味山が何度も、何度もれ、しかし手を離したその力。
一度使ってしまえばもう戻れない、アレフチームと共にいる事は出來ない。
だから、使わなかった力。
耳男(全てを臺無し)の原點にして原。
腑分けされた部位、耳をも滅ぼしうる唯一の力。
「耳だ――」
TIPS€ 耳の化、使用開始
「えっ?」
最初に、1つの神が死んだ。
その球からびた手がを貫いた。
グレンの顔をした神だ。
「……しくじった」
最期の言葉はそれだった。
掃除機に吸い込まれるごみのように一気に手に引き込まれ、ごくり。
球が、神を――。
「た、べた……?」
「……バルドル様?」
北歐の神、その無敵のギミックすら無視して。
「ぎゃは……あああああ……あああああああああああ……あは、アハっ!!!」
ぱきり、ぱきり、ぱきり。
卵の殻が割れるように、球が割れていく。
繭が割れていく。
もう戻れない、戻る必要はない。
やり直しは確定した、ならばもう今の味山ができる事は、今の味山がする事は――。
「はじめまして」
にっこり。
顔が繭からはみ出た。
満面の笑みの味山。
ぷちゅ。
その首が勝手に吹き飛ぶ。
「……は?」
「違う、……誰も、何もしておらぬ……」
「なに、なんなの……私たち、どうなっちゃうの……?」
ぷちゅ。
首無しの半のが直立している。
ず。
一瞬で痣が広がり、真っ黒に染まる。
そしてひとりでにはじけ飛んだその首、頭が。
ふよ、ふよ。
浮いている。真っ黒の首なしのにし上を浮かぶように。
満面の笑みの味山の生首が、にいいっとを引きつって。
「おれ、みみ」
ぐるん。ぐるん、ぐるんぐるん、ぐるぐるぐるぐる。
回転する生首、その姿を変える。
片耳、三日月のような形の黒いお耳が、ぷかり、ぷかり。
ヒトを嗤い、ヒトを食う神達は思い知るだろう。
自分たちが勝負を挑んだ生きがどんな生きなのか。
「なに、それ……」
神よ。これが最期の試練だ。
自らの時代をむのなら、人間にとって代わるなら、お前たちはこれを超えなければならない。
半の首なしの、首なしに浮かぶ耳の頭部。
神をすら無意味に喰らう化けの名前。
耳と共に。
腕をひざまずかせ、爪を、腸を、歯を、脳みそを終わらせた存在。
「ちょう、つよい」
部位戦爭、最大最強勢力。
――耳の化(味山只人)、生誕。
読んで頂きありがとうございます!ブクマして是非続きをご覧ください!
明日8月25日、凡人探索者2巻が発売されます。
すでに予兆はあるものの、まだギリ人間バトルをしている味山の探索になります。
書き下ろし9割でWEBをここまで読んでくれてる方ほど刺さる容になっています。是非本屋さんやネットでお選び頂ければ幸いです!
耳が超強いぜ。
【書籍化決定】愛読家、日々是好日〜慎ましく、天衣無縫に後宮を駆け抜けます〜
何よりも本を愛する明渓は、後宮で侍女をしていた叔母から、後宮には珍しく本がずらりと並ぶ蔵書宮があると聞く。そして、本を読む為だけに後宮入りを決意する。 しかし、事件に巻きこまれ、好奇心に負け、どんどん本を読む時間は減っていく。 さらに、小柄な醫官見習いの僑月に興味をもたれたり、剣術にも長けている事が皇族の目に留まり、東宮やその弟も何かと関わってくる始末。 持ち前の博識を駆使して、後宮生活を満喫しているだけなのに、何故か理想としていた日々からは遠ざかるばかり。 皇族との三角関係と、様々な謎に、振り回されたり、振り回したりしながら、明渓が望む本に囲まれた生活はやってくるのか。 R15は念のためです。 3/4他複數日、日間推理ランキングで一位になりました!ありがとうございます。 誤字報告ありがとうございます。第10回ネット小説大賞ニ次選考通過しました!
8 58チート能力を持った高校生の生き殘りをかけた長く短い七日間
バスの事故で異世界に転生する事になってしまった高校生21名。 神から告げられたのは「異世界で一番有名になった人が死ぬ人を決めていいよ」と・・・・。 徐々に明らかになっていく神々の思惑、そして明かされる悲しい現実。 それら巻き込まれながら、必死(??)に贖い、仲間たちと手を取り合って、勇敢(??)に立ち向かっていく物語。 主人公の嘆き 「僕がチートって訳じゃない。眷屬がチートなだけ!僕は一般人!常識人です。本當です。信じて下さい。」 「ご主人様。伝言です。『はいはい。自分でも信じていない事を言っていないで、早くやることやってくださいね。』だそうです。僕行きますね。怒らちゃうんで....」 「・・・・。僕は、チートじゃないんだよ。本當だよ。」 「そうだ、ご主人様。ハーレムってなんですか?」 「誰がそんな言葉を教えたんだ?」 「え”ご主人様の為に、皆で作ったって言っていましたよ。」 「・・・・。うん。よし。いろいろ忘れて頑張ろう。」 転生先でチート能力を授かった高校生達が地球時間7日間を過ごす。 異世界バトルロイヤル。のはずが、チート能力を武器に、好き放題やり始める。 思いつくまま作りたい物。やりたい事をやっている。全部は、自分と仲間が安心して過ごせる場所を作る。もう何も奪われない。殺させはしない。 日本で紡がれた因果の終著點は、復讐なのかそれとも、..... 7日間×1440の中で生き殘るのは誰なのか?そして、最後に笑える狀態になっているのか? 作者が楽しむ為に書いています。 注意)2017.02.06 誤字脫字は後日修正致します。 読みにくいかもしれませんが申し訳ありません。 小説のストックが切れて毎日新しい話を書いています。 予定としては、8章終了時點に修正を行うつもりで居ます。 今暫くは、続きを書く事を優先しています。 空いた時間で隨時修正を行っています。 5月末位には、終わらせたいと思っています。 記 2017.04.22 修正開始 2017.02.06 注意書き記載。
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日本有數の財閥に生まれた月之宮八重は、先祖代々伝わる月之宮家の陰陽師後継者。 人には言えない秘密を抱えた彼女は、高校の入學をきっかけにとある前世の記憶が蘇る。 それは、この世界が乙女ゲームであり、自分はヒロインである主人公を妨害する役目を擔った悪役令嬢であるという不幸な真実だった。 この學校にいる攻略対象者は五名。そのどれもが美しい容姿を持つ人外のアヤカシであったのだ。 ヒロインとアヤカシの戀模様を邪魔すれば自分の命がないことを悟った八重は、その死亡フラグを折ることに専念しつつ、陰陽師の役目を放棄して高みの見物を決め込み、平和に學園生活を送ることを決意するのだが……。 そう易々とは問屋が卸さない! 和風學園戦闘系悪役令嬢風ファンタジー、開幕! ※最終章突入しました! ※この素敵な表紙は作者が個人的に依頼して描いていただきました!
8 99ぼくには孤獨に死ぬ権利がある――世界の果ての咎人の星
1990年の春、地方都市の片隅で鬱屈した日々を送る普通の女子中學生、永田香名子の前に現れたのは、ハヤタと名乗る宇宙人の家政夫だった。奇妙な同居生活の中で二人は惹かれ合うが、異星の罪人であるハヤタが、科せられた〈情緒回復計畫〉を達成し、罪を贖う時、彼は殘酷な刑へ処せられる運命だった――。リアリズム、ファンタジー、SFが交差する作風で、ひとりの女性の數奇な人生を1990年から2020年まで追い続けた、異色のゴシック・ロマンス小説、決定版にして〈完全版〉!
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