《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》455 男同士の膝枕があっても良いじゃない
アンナと仲良く育を、けられると思ったが……。
俺の考えが甘かった。
彼は今、子として高校に通っている。
ということは、當然みんなから、ひとりのとして扱われるのだ。
今日は珍しく、武道館を利用することが許された。
広々と運が出來ると知った宗像先生は、男別々になって、バレーボールの試合を行うと発表した。
俺たちは黙って従うしかない。
最初こそ、仲良く並んで立っていたが……。
アンナも寂しそうに「じゃあ、またね」と子のコートへ去っていく。
彼を見かけたここあが、聲をかける。
「ねぇ、あーしたちと組もうよ。絶対勝てるから♪」
以前會った時、その正を疑われたので、アンナはたじろいでしまう。
「べ、別に組まなくても……ひとりでやれるよ?」
そんな言い訳が、通用するわけもなく。
「な~に、言ってんの♪ バレーは一人じゃ無理っしょ。それにね、オタッキーからアンナちゃんのことを、守るように頼まれてんの♪」
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「タッくんが!?」
さすが、ここあだ。
これなら、彼の警戒心を解ける。
「だから、二人でオタッキーに頑張ってるところを見せてあげようよ♪」
「うん☆ ありがとう、ここあちゃん☆」
どうやら、仲良くやれそうだな。
※
男子もそれぞれグループを作って、早速試合をすることに。
やる気のない俺は、日田兄弟の片割れに混ぜてもらった。
相手チームには、やる気満々のリキがいる。
それを見てすぐに負けると思った。
こちらは、気な真面目グループだし……。
育の時だけ、超やる気が出るヤンキーたちに勝てるわけがない。
さっさと負けて終わらせよう。
そう思っていたが。
どうしても、隣りのコートが気になる……。
「えいっ!」
フリフリのミニスカートを履いたの子とは思えない、豪速球が相手コートに投げ込まれる。
対戦していた子生徒が、恐怖から固まってしまうほどの。
だが、それより心配なのは……。
彼のファッションだ。
ジャンプする度に、見せパンとはいえ。
白いフリルがひらひらと、目立ってしょうがない。
武道館の隅で筋トレをしていた、全日制コースの男子生徒たちから歓聲があがる。
「見ろよ、あのハーフ。パンツ丸見えだぜ」
「マジかよ……可いじゃん。あんな子、一ツ橋にいたっけ?」
「とりあえず、ローアングルで撮影してきます」
最後のふざんけんな。
撮るにしても、ちゃんと顔も撮ってやれ。
俺なら、そうする。
試合そっちのけで、アンナばかり眺めていたら。
隣りに立っていた日田が、び聲を上げる。
「新宮殿! 危ないでござる!」
「へ?」
視線を正面に戻すと、目の前にはぐるんぐるん回転しているバレーボールがあった。
避けようと思った時は、すでに遅く。
顔面に直撃した俺はそのまま、床に倒れてしまった。
※
「大丈夫? タッくん、ねぇ。起きてよ!」
誰かが、俺を呼んでいる。
頬にぷにんと、らかいが伝わってくる。
これは、太ももか?
つまり膝枕をしてくれている……アンナに違いない。
瞼をパチッと開くと、そこにいたのは。
「おう! 起きたじゃねーか、タクオ!」
「……」
スキンヘッドの老け顔。リキくんでした。
なんで、こいつが膝枕をしてんだよ!
一刻も早く離れたかったので、を起こそうとしたが。
リキに止められる。
「おい! かなり鼻も出てたし、まだ寢とけよ!」
「わ、わかった……」
仕方なく、リキ先輩の膝で休むことにした。
武道館の隅で、男二人が仲良く膝枕。
非常に誤解されやすい風景だが……。
リキは気にする様子もなく、子のコートで活躍するアンナを見て笑っていた。
「良かったな、タクオ」
「え? なんのことだ?」
「アンナちゃんだよ。お前、ミハイルがいなくなって、元気なかったじゃん。でもあの子が代わりにってくれかたら。これからも、タクオは學校に來られるだろ?」
「そ、それは……」
「俺が言うのもなんだけどさ……二人とも好き同士なんだろ? 付き合ったらどうだ?」
「いやぁ……」
返す言葉が見つからなかった。
リキに悪意はない。
彼はの子として、アンナを見ている。
元となるミハイルのことを知らないから、言えることだ。
でも、仮に俺がその選択肢から選んだとして。
本當に彼……いや、彼はけれてくれるのだろうか?
※
結局、育の授業は2時間ずっと、リキの膝の上で休んでいた。
鼻も止まらなかったし。
まあアンナが楽しそうに、バレーボールをしていたから、良かったか。
著替えを済ませ、校舎に戻る。
帰りのホームルームが始まる前、隣りに座っていたアンナが聲をかけてきた。
「タッくん。大丈夫だった? なんかリキくんのボールが當たったって聞いたけど」
「ああ……問題ない。ちゃんとリキが、休ませてくれたからな」
「ごめんねぇ~ アンナ、試合に夢中で……」
「気にするな。俺がよそ見をしていたせいだ。誰が悪いわけでもない」
試合中にあなたのパンチラが、気になっていたとは言えんからな。
「そっか。あのね、ホームルームが終わったら一緒に帰ろうよ☆ 二人で☆」
「え……?」
當たり前のように言われたので、驚いてしまう。
「もしかして、アンナと一緒は嫌かな?」
「そんなことないぞ! 嬉しいさ。帰ろう、二人で!」
「フフッ、嬉しい☆」
そうか。今日からの子と一緒に帰るんだ。
夢にまで見たシチュエーション。
學校帰りに、可い彼と制服デート。
あ、うちの高校は私服だ……。
それでも、男なら誰しもステータスをじて良い場面だろう。
こんな金髪のハーフから、われるなんてさ。
でも……なんで、こんなに寂しいんだ?
アンナによって埋められたのが、徐々に広がっていく気がする。
心臓に針が刺さっているような……痛みをじる。
帰りのホームルームを終えると、アンナが言った通り、二人で仲良く駅まで歩く。
彼は終始、ご機嫌だった。
「次のスクリーングが楽しみだなぁ☆ 今度はお洋服、何にしよう? 私服だから、選べるのが良いよね☆」
「まあな……」
「あ、そうだ。明日、タッくん家へご飯を持っていくね☆」
「え?」
「約束したでしょ? これからタッくんが食べられるまで、ずっとアンナがご飯を作るって☆」
とウインクしてみせる。
非常に嬉しい提案だったが、どうしても俺には……気になることがある。
それは、アイツがいつ帰ってくるかだ。
「あ、アンナ……その引っ越したんだろ? ミハイルは……」
「うん。なんかやりたいことがあるらしくて。遠くへ行っちゃったの」
「そうか。あいつ……ミハイルは、いつ帰って來るのか、分かるか?」
俺の質問に、彼はとても困っていた。
だって、本人は目の前にいるのだから……。
「え、えっとね……かなり遠いから、なかなか帰って來られないと思うよ? たぶん1年……ひょっとしたら、2年ぐらい戻ってこないかも」
「2年!? そんなにか?」
「多分、だけどね……」
引きつった笑顔のアンナを見ていて、辛くなる。
1年以上、戻らないということは……自分を消す覚悟でアンナに変したのか。
もう二度と一緒に、學校へ通うことは無いのか?
これも、俺のせいなんだな……ミハイル。
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