「これ……は……なかなか……」

サヤの額と背中には、うっすらと汗が滲み出ている。

向かい合わせた掌の側にある、闇の球の制にサヤの意識……いや、全を使いその制を行っていた。だが、それは今までやってきたことよりも難易度が高く、この狀態を保つことも容易ではなかった。

（……ったく、こんなもの平気な顔して扱ってるアイツらは化けか！？）

そういう思いもあるが、いまはそれを口にすることすらできない程、サヤは全てをかけてエネルギーの塊であるこの球を制していた。

「……サヤちゃん！？」

集中している中、ハルナの聲が意識をそうとした。

だが、れそうな意識を抑えつつも、サヤはハルナが自分の名を呼んだ理由も理解した。

すぐそこに、小さな人型が迫ってきているのが視界にった。

今手の中にある闇の線を撃つことを考えたが、この距離では制が安定していなくても當てることは出來るだろう。

しかし、先ほど盾の創造者が見せた結果では、この線で貫くと発させてしまうため、自分自にも被害が及んでしまうことになる。

「……ハルナ！」

その聲にハルナも気付いた様子で、の球を創り始めた。

『無駄なことを……それは先ほど見せたでしょ？それはもう役に立たないのよ、もっと違うことを見せて頂戴？』

そして、盾の創造者は先ほどと同じようにハルナの行を阻止するために黒いを放った。

「んんン……はぁっ！！」

その聲と同時に、サヤの掌の中に挾まれていた球から二本の闇の線が放たれた。

――バシュっ！

サヤの放った線は、盾の創造者が放った線にぶつかってを放つ。そしてその軌道はずれて、ハルナのの球は被害は免れた。

ハルナは、このタイミングを見計らい準備して準備をしていた線を無造作に放つ。

慌てて放ったハルナの線は、あらぬ方向へと飛び出していく。

だが、その線は自らの意思を持つかのように予め指定された目標へと方向を変え、そちらに向かって進んでいく。

――ドン！　ドン！

二つの線は、小さな人型の霊の核を貫き、嬉しそうな表を浮かべながら元素へと還っていく。

「やったね、やればできるじゃない！」

「サヤちゃんだって！……でも、大丈夫？すごく辛そうに見えるけど……」

「アタシのことなんかどうでもいいんだよ！？それよりそのはもう半分にして數を増やせない？アタシがやったように一つの球から二つの線を……っと！？」

サヤはハルナに追加の指示を出していたが、二人を狙った闇の線が目の前をかすめていく。

それは新たな報をハルナに與えないようにとする、盾の創造者からの妨害だった。

「ハルナ……わかったね！？」

「うん！やってみる！」

そうして二人は距離を取り、盾の創造者から同じ視界に収まらないようにした。

それと同時に、ハルナとサヤは再び自分が扱える線を放つための準備を始めた。

『……あなた達……この私が……負けるはずがないわ！！』

そうんだ盾の創造者も、ハルナたちと同じタイミングで闇の球を創り出した。