ハルナとサヤは、別々に地面を駆けながら、盾の創造者の的を絞らせないようにした。

しかしその行は、盾の創造者にとって、非常に不愉快な行だった。

そしてハルナは、準備した線を放つために目標を定めた。

「――いっけえぇ！！！」

ハルナが放った線は、一つの線が二つに分かれて合計四つの線が放たれた。その線の行きつく先は、狙いを定めた四の小さな存在に目掛けて飛んでいった。

それぞれがばらばらの位置にいたが、ハルナの線はそれらを追いかけるようにして、自らの意思で向かっていくようにも見えた。

――ドン！

がそれぞれの小さな存在を貫いた貫くと、サヤの言った通りに元素へと還っていく。

「やった！！サヤちゃん、これなら！！！」

「――バカ！！油斷すんな！？」

立ち止まったハルナに、盾の創造者から放たれた闇の線が真っすぐに向かってくる。サヤは慌てて掌の中から、攻撃を弾くために線を放つ。

だが、狙いがずれていたせいもあり、先程のようにサヤの攻撃がハルナを襲う線を防ぐことは出來なかった。

「――ハルナ！！」

サヤは、いまだに退避行を取っていないハルナに大聲でんだ。

「――っ！？」

ハルナの視界が、一瞬にしてきをみせる。橫から急激に與えられた速度によって、ハルナのには軋みが生じて痛む。

そしてようやく自分がいま、背中を摑まれた狀態になり助けられたのだと知ったのは、さっきまでいた中庭が真下に広がる景が視界にってきたからだった。

「モイスさん！」

『危ないところでした……すこし失禮いたします』

「きゃぁっ！？」

ハルナは摑まれていたモイスからに投げ出され、空中にそのが浮かんでいる。

放り出され上昇が終ると、ここからは下っていくだけになる。が、その最高地點でモイスはハルナを背中に乗せ換えることができた。

「ありがとうございます」

『暴に扱ってしまい、申し訳ございません。お怪我は……おつかまりください！』

その言葉にハルナは、モイスの背中の鱗にしがみつく。併せてモイスは背中とハルナの間に氷のを創り離れないようにする。それと同時に、モイスは進行方向を軸にして、羽を畳み大きなをひねるように一回転する。

羽があった場所には、二本の闇の線がモイスのを掠めていった。

「ハルナ！あんた、その場所から狙える！？」

「まかせて！！……モイスさん、お願いします！！」

『承知しました！回避はおまかせください！』

『厄介なこと……うっ！？』

盾の創造者は、背中から攻撃をけてがよろめいた。

「さて、これでこちらが有利になったわけだけど……そろそろこいつらを解放する気はない？」

『そんなことするわけないでしょ！？』

盾の創造者が近くにいた小さな人型を、サヤに投げつけるために摑もうとする。

――ドン！

しかし、どこからともなく飛んできた線によって貫かれ、摑んだ存在は元素へと還っていった。

そして、ハルナは次々と人型の存在を解放していき、その數は殘り一となっていた。