《シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜》12月20日:拳で騙る、盾が語る

AC6楽しすぎる、バズーカ!バズーカ!バズーカ!!

あとクリアしました

ガル之瀬。今のところ分かっているのは武、そしてパリィの腕前が相當(・・)であるということだけ。あるいはあのタワーシールドはパリィという戦法を隠すためのカモフラージュなのかもしれない。

とはいえ、だ。全ステータスカンスト、全スキル全魔法使用可能、最強裝備! みたいなオフゲーの最終裝備ってわけじゃあないだろう。

どこかをばせばどこかが凹む、そういうゲームだぜシャンフロは。

だから、俺がなすべきはガル之瀬の凹み……奴が不得手とする「弱點」を見つけ出すことだ。

「…………」

仮にあのタワーシールドが完全にブラフだったとしても、手持ちの銃じゃ貫けそうにはないな。第一、明らかにリソース込めてますといったじの盾にあの立ち振る舞い……パリィ「も」出來ると考えて間違いないだろう。

そうなるとあのタワーシールドと、そのから繰り出されるパリィにどう対処するか、だ………てかそもそも肘でパリィってできるもんなのか? いや、頭で出來るのは自分で実証済みだったな……

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下手に武で毆りかかって弾かれたらたまったものじゃない。ここは……

「素手喧嘩(ステゴロ)でいくぜ……!!」

いざ前進。

を使わないのは様子見の面もあるが……何より、実証(・・)するなら全部試さないとな!

そも、「俺《サンラク》」のメインウェポンは拳と剣。それ以外はついで(・・・)かオマケ(・・・)だ。銃だとか槍だとか……當たるだろうが、通る気がしない。効く気がしない。

通すにしてもキッカケがいる、元手がいる。正面から割るのは……理論上は可能かもしれないが、理論値だ。ガル之瀬相手に大盾を突破することに専念するのがリスキーなことくらいは分かる。

一気に薄しつつ、しかし距離は一つ分離す。そう、丁度ガル之瀬は手持ちの斧でしか俺に干渉できない距離……!!

「っ!!」

毎秒事に駆け引きなんて現実的じゃあない。程よく雑に、程よく繊細にが強いプレイヤーの最低條件だ。上手いタイミングで雑にぶっぱされる強い手札こそがこの世で最も恐ろしい。

インファイト、引くことのワンステップ! ここを基準にする。そしてここからが実証の時間だ。

ワンステップ、拳の屆く圏に踏み込んだ俺はを深く沈める。

対するガル之瀬はタワーシールドを構え、こちらの攻勢を正面から塞ぐ狙いのようだ。奴のの大半を隠すタワーシールド……だが視線だけは通っている、自分の盾で相手を見失うようなヘマはしないと。上等!!

「っ!!」

を深く屈め、アッパーカット……と思わせて、右にステップをれる。この時にスキルエフェクトをわざとらしく見せつければ───!

「く……!」

「ブラフだぜ」

「!?」

偽裝多重的円周運《オービット・ムーブメント》。散々見せてきたからこそ、回り込むきに敵はわされる。そして奴の視線と勢が背後に向けられんとするその瞬間に……一撃!!

ギャギギッ!! と金屬音を立てて、ガル之瀬の肩に拳が當たる。すかさずバックステップをれつつ見れば、ヒットポイントには四本の引っ掻き傷(・・・・・)。

大振りながらも、隙のない……否、隙を潰したハンドアックスによる橫薙ぎを避けつつ今の一打の結果を考える。

今の攻撃……パリィされなかった。肩では出來ないのか、あるいは出來なかったのか。考えてみれば俺がウェザエモン戦でやった頭パリィも裝備ありきのものだった。となればガル之瀬の肘パリィも防……あるいは何かしらのスキルやアクセサリーによる外部補強によるものなんじゃないか?

「………妙な話だ」

「ん?」

「握り拳で切り傷が出來る……グーがチョキの役目も擔うのは反則じゃないか? 先ほどもそうだ、手刀(パー)で斧と鍔迫り合い……はその爪か?」

「どう思う?」

當たりだ。

両手に裝備されたアクセサリー……恐・竜王裝(レクセスク):振起なる爪(クリムゾンレッド)はブレス系攻撃を火炎化する樞機なる顎(カーディナルレッド)と同じ素材から作られたものだ。

その効果は至ってシンプル。「素手の攻撃全てに斬撃判定を付與する」というものだ。つまり俺のチョキは本當に紙が切れるし、ビンタで頬が裂ける。

ただ、あくまでも付與されるのはあくまでも斬撃判定だけ。手の材質……耐久やダメージ倍率は素手毆り、素手けと変わらない。

つまりさっき奴の斧をけ止めた「手刀」は───

───先ほど、自分のハンドアックスをけ止めた「手刀」は、何かしらのスキルと見て間違いない。ガル之瀬はそう結論づけた。

(あれがアクセサリーの力だけで使えるなら今使わなかった理由がない。なくとも常時付與される強化タイプではなく、一定時間の攻撃……いや、ワンアクション付與型のスキルと見ていいはず)

ガル之瀬の脳裏に過ぎるは、暗殺者ロールプレイの対戦者を追い詰めた黃金のラリアット。シャンフロは様々なスキルエフェクトが存在するが、黃でも橙でもなく「黃金」の輝きがラリアットと手刀で一致していた事を既に見抜いていた。

(ジャブであることを踏まえてもダメージは無視していいレベル、火力方面は外付け依存ってのは間違いないらしい……だが、攻めに転じるのは悪手だな)

シャングリラ・フロンティアに一幾つのスキルがあり、魔法があるのか。それはあのライブラリをして「無理」と白旗を振る程度には膨大だ。

そも、小柄なが巖を砕く一撃を放ってもおかしくないのが「ゲーム」というものだ。であるならば、サンラクというキャラクタービルド(・・・・・・・・・)の全てを把握しない限り……あらゆる杞憂は正當な警戒となる。

「それに、この距離は……俺の得意距離でもある」

インファイト、"足すことの"ワンステップ。

対策として一歩分離したサンラクとは違う、インファイトに一歩分の空白を足したこの距離こそが……ガル之瀬の最も得意とする距離なのだと、彼は口には出さない。

だが、

「ふんっ!!」

「ぐおっ!?」

二歩分を急加速(・・)したタワーシールドによる突撃は、千の言葉よりもなお雄弁に「この距離は俺の時間だ」と語るようであった。

百里を駆け抜ける神速は要らない。一歩で二歩分を突き進む、それだけあれば盾は全てを打ち砕く

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