《ウイルター 英雄列伝 英雄の座と神代巫》337.治せない傷
未來から來た『尖兵(スカウト)』たちと遼介がこの場を去ってから、數十分が過ぎた。何も起こらないまま、のぞみたちは柱の間に幽閉されている。
「いつまで待つんでしょう……お腹がぺこぺこになってきました」
「コールちゃん、ポーションで何とか凌ぎましょうヨン」
前戦で戦っていた心苗(コディセミット)たちも、補給陣地に集まってきていた。ティフニーと二人のヒーラーが付きっきりで蛍(ほたる)の手當てを続けている。他のヒーラー二人は、激戦で心ともに疲弊した心苗たち全員が回復できるような章紋をかけた。力の殘っている者は補給アイテムを飲み、空腹を抑えている。
手當ての済んだティム、ラーマ、楓たちは、目を閉じて気を養うようにして時間を過ごしている。柱の間には、聖霊を養えるだけの自然の源気(グラムグラカ)が地脈に流れていた。そのため、周辺の源気を吸収し、に循環させるだけでも力回復が見込める。これは、食事ができない環境下ではありがたかった。
「そういえば、島谷さんは大丈夫なんでしょうか……?」
心配するのぞみに、楓が薄く目を開けて応えた。
「んだな、真人(さなと)ちゃんは大丈夫だべ」
ラーマが目を閉じ、気を安定させたままで続ける。
「ハヴィテュティーさんが、彼の意識がまだあると言いました。おそらく、ダンジョンのどこかに落とされたのでしょう」
「ふん、肝心な時にさっさと離しちまうとはな。修行が足りないぜ」
「京彌(きょうや)ちゃんだって、早々にあの程度の鎖に捕らえられてたべ?そんなふうに言っちゃ駄目だべ」
京彌はばつの悪そうな顔をすると、ティフニーの手當てに協力しているのぞみを遠く眺めた。
「それはたしかに、今後の課題だ。それよりも、神崎さんの許嫁(いいなずけ)ってのが、まさかあの男とはな……意外すぎるぜ」
京彌は彼の顔をはっきりと覚えている。それは、冬休みに地球(アース)界の武大會で負けた相手だ。未來の彼がさらに強くなると知った京彌は、鳥の立つ思いだった。
「神崎さん、ハイニオスに転學してきた理由を、彼への憧れって言ってたッスよね?そりゃ、あのレベルの男がお相手なら、わざわざ闘士(ウォーリア)の修行をけたいってのも……」
「そこまで!の子のバナの詮索はなしだべ?」
「ははっ、悪いッス。でも、あんな強い奴が許嫁なんて、つい々と気になっちまうッスね」
噂話が原因か、のぞみが小さくくしゃみをした。
周囲の心苗が各々のペースで休息を取っているなか、のぞみはしも休まずに、ずっと蛍のそばで、救急処置を見守っている。
「ハヴィー姉さん、森島さんは……?」
「ええ、二人の『章紋(ルーンクレスタ)』のおかげで、出が止まりました。一部の骨と管、臓の損傷も治癒しましたよ」
「『章紋』でも完全には治せないなんて……」
「彼の骨の一部は、人造金屬でできているようなの。『ヒーリング』が効かないのは、きっと普通の素材ではないんでしょうね。モリジマさんのプライバシーに関わる部分ですから、私には何も言えません。できることはただ、生命反応を引きばすことだけ」
のぞみは蛍の深い傷の奧に、金屬の脊髄が覗いているのを見た。それは彼の過去にまつわるだろう。
學校での蛍は、決して模範生ではなかった。だが、実際に戦いが始まれば、誰よりも前に出て、のぞみを庇うことにも一切、躊躇わなかった。のぞみは蛍が、いざという時に強い心を持っているのだということを、改めて知った。
「私にも手伝わせてください。士(ルーラー)と闘士、二つの素質を持つ私の源気は、闘士への手當てに適があると聞いています」
「それは心強いですね」
【書籍化&コミカライズ】私が大聖女ですが、本當に追い出しても後悔しませんか? 姉に全てを奪われたので第二の人生は隣國の王子と幸せになります(原題『追放された聖女は、捨てられた森で訳アリ美青年を拾う~』
☆2022/11/4 スターツ出版様 ベリーズファンタジーより発売予定です☆ 改題「私が大聖女ですが、本當に追い出しても後悔しませんか? 姉に全てを奪われたので第二の人生は隣國の王子と幸せになります」 ☆2022/6/12 白泉社マンガpark様にてコミカライズです☆ 原題「聖女は、捨てられた森で訳アリ美青年を拾う~今の生活が楽しいので、迎えに來られても帰りたくありません!~」でコミカライズ中です。 リアは九歳のとき、十二歳になる姉プリシラについて神殿に行く。そこで、姉妹ともども聖女と認定されてしまう。 この國ではひと家庭で二人以上聖女認定された場合、一人を差し出さなければならない。両親は聡明で美しく魔法を使えるプリシラを手放すのが嫌で、迷わず妹のリアを差し出した。 神殿に召し上げられたリアは聖女候補として厳しい修行を積み、六年後晴れて聖女となる。神殿の聖女の中でも、最も強い神聖力をもつリアは、神託により王太子の婚約者となった。 リアは金髪で美しく優しい王太子に淡い戀心を抱く。しかし、順風満帆に見えた將來に陰りが生じはじめた。 アリエデ王國の最北にある黒の森で魔物が大量発生したのだ。リアはこの國の聖女として討伐隊に參加しなければならない。王都と愛しい王太子に別れを告げ討伐隊とともに旅立った。 そして二年にわたる戦いののち、魔物の封印をなしとげ、王都に凱旋するはずだった。 だが王都に帰ったリアを待ち受けていたのは同僚聖女と戦友のうらぎり。 王太子との婚約もいつの間にか破棄されていて、新たに姉のプリシラが護國聖女の名を冠し、王太子の婚約者におさまっていた。 魔物討伐を長引かせた責をおわされ、役立たずの聖女として國を追放されたリアは、西側の隣國との緩衝地帯である惑い森へ捨てられる。そこにたくさんの魔物が巣食っていて……。 森をさまよううちに彼女は、魔獣に襲われた瀕死の金髪美青年を拾う。 ≪全51話予約投稿済み! 毎日18時ごろ更新予定≫ 流行りの追放聖女テンプレのつもり。聖女は無自覚でざまぁ(予定)します。題そのものがあらすじです。足の不自由な人が出てきます。タグ注意、地雷のある方はお逃げください。 誤字脫字報告ありがとうございます!!
8 95嫌われ者金田
こんな人いたら嫌だって人を書きます! これ実話です!というか現在進行形です! 是非共感してください! なろうとアルファポリスでも投稿してます! 是非読みに來てください
8 133俺の右手には力が宿っているのだが廚二病だと思われる件
高校一年生の俺、佐藤泉は右手にある闇の力を封印しているのだが自己紹介のときに俺が「この包帯は俺の右手にある闇の力を封印しており組織との闘いにみんなを巻き込んでしまうかもしれないが仲良くさせてくれ」と言ったら....大爆笑!?勘違い學園ラブコメスタート??
8 135スクールクエスト!
主人公、延永守恒が通う學園には変わった部活が存在する。 その名も、人事部。 この部活は県內入りたい部活ランキング20年連続第1位であり、入部條件はただ一つ、人を助ける覚悟を持った人。 そんな人事部に『姉の七光り』でうっかり副部長に抜擢された守恒は絶え間なく続くスクールクエストの中で何を想うのか!? 王道學園ラブコメディー!! バトルもあるよ!
8 83こんなの望んでない!
仲違いしている谷中香織と中谷翔。香織は極度の腐女子でその中でも聲優syoの出ている作品が大好きだった。そのsyoは皆さんご察しの通り中谷であり中谷はこれを死んでもバレたくないのである。
8 133破滅の未來を知ってしまった悪役令嬢は必死に回避しようと奮闘するが、なんか破滅が先制攻撃してくる……
突如襲い掛かる衝撃に私は前世の記憶を思い出して、今いる世界が『戀愛は破滅の後で』というゲームの世界であることを知る。 しかもそのゲームは悪役令嬢を500人破滅に追いやらないと攻略対象と結ばれないという乙女ゲームとは名ばかりのバカゲーだった。 悪役令嬢とはいったい……。 そんなゲームのラスボス的悪役令嬢のヘンリーである私は、前世の記憶を頼りに破滅を全力で回避しようと奮闘する。 が、原作ゲームをプレイしたことがないのでゲーム知識に頼って破滅回避することはできない。 でもまあ、破滅イベントまで時間はたっぷりあるんだからしっかり準備しておけば大丈夫。 そう思っていた矢先に起こった事件。その犯人に仕立て上げられてしまった。 しかも濡れ衣を晴らさなければ破滅の運命が待ち構えている。 ちょっと待ってっ! ゲームの破滅イベントが起こる前に破滅イベントが起こったんですけどっ。 ヘンリーは次々に襲い掛かる破滅イベントを乗り越えて、幸せな未來をつかみ取ることができるのか。 これは破滅回避に奮闘する悪役令嬢の物語。
8 83