《聖が來るから君をすることはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖が5歳?なぜか陛下の態度も変わってません?【書籍化&コミカライズ決定】》第94話 頑張れば頑張るほど
その日から、私はなんとかユーリ様を捕まえようと、あちこち奔走した。
けれど皮なことに、私が頑張れば頑張るほど、事態はどんどん悪化していったのよ。
いつもユーリ様にくっついている護衛騎士ふたりに阻まれるのはまだいい方で、なんとかその網をかいくぐって――というよりもユーリ様がみずから會いに來てくれるのだけれど、しでも核心に踏み込もうとすると、必ずユーリ様の発作が起きるようになっていた。
さすがの私でも、病人に問い詰めるのは心苦しいし、調が心配だ。
宮廷醫師たちに狀況はどうなのか毎日確かめているうちに、ある日、リリアンが私の護衛騎士から外れ、ユーリ様の護衛騎士になるという通達が一方的に來たの。
『ねぇ、聞いた? ユーリ國王陛下は、最近リリアンという騎士とべったりらしいわよ』
『そうそう。どこに行くにもふたり一緒なんでしょう? しかも腕を組んでるらしいわ』
『エデリーン王妃陛下は會ってすらもらえないって話だぜ。大丈夫なのかね、ありゃあ』
ざわざわ、ひそひそ。
その頃には王宮中を、あらぬ噂が駆け巡っていた。
「おい。あのふたりを放っておいていいのかよ」
だから両手を組み、ぶすりとしたハロルドがやってきても、まったく驚かなかった。
「奇遇ね。私もそう思っていたところです」
「冗談を言っている場合じゃないだろう! 知らないのか? 今みんなが――」
そのまま勢いづこうとしたハロルドを、私は手で止めた。ちらりとそばにいるアイの方を見れば、ハロルドも察したらしい。
「……大きな聲を出して悪かったな」
「気づいてくれて嬉しいわ。それに、私も何もしなかったわけじゃないのよ。むしろ散々試みたけれど、そのたびに発作が生じてそれどころじゃなかったの」
「発作か……。ユーリは一、どうしちまったんだ。全くの病知らずというわけじゃなかったが、それでもこんなおかしな病とは無縁だったのに」
そこまで言って、ハロルドはトーンの聲を落とした。
「それに……リリアンのやつも様子がおかしい。ユーリのそばにいるのは嬉しいはずなのに、目が全然笑っていない」
それはあまりに小さな聲だったので、危うく聞き逃すところだった。
「そういえばあなた、リリアンと仲がよかったものね」
リリアンに関しては正直、私はどう思えばいいのか測りかねていた。
私たちと一緒にドーナツを食べたり、料理をするリリアンは真面目で、寡黙で、そして何でもかんでも一生懸命だった。
周りが見えなくなるほど食べに夢中になり、禮儀を忘れるほど熱中してしまう。
それは家臣としてはよくないのかもしれないけれど、私やアイはそんなリリアンが好きだったの。ハロルドに対してだけ手厳しい姿も、彼が打ち解けた証だと思って微笑ましく見ていたのよ。
なのに……リリアンは変わってしまった。
いえ、正確にはマキウス王國にやってきた當初の姿に戻ったという方が正しいわね。
艶っぽい笑みでユーリ様を見つめ、びを売るリリアンを見て、王宮の人たちは「あれがリリアンの本だったんだ」と口々に言っている。
でも、本當にそうなのかしら?
わき目もふらずにドーナツを食べていたリリアンは、本當のリリアンではないの?
そういう思いもあって、私はリリアンに対して未だ何も言えずにいたの。
私がじっと考え込んでいると、はあと大きなため息が聞こえた。ハロルドだ。
「考えててもしょうがねぇな。よし、俺はリリアンに聞いてみる」
「そうね。ぜひ、お願いできるかしら」
リリアンもハロルドには気を許しているようだったし、もしかしたら、何か聞けるのかもしれない。
けれどそんな淡い期待を抱いた私をあざ笑うように――その日以降、ハロルドまでもがおかしくなることを、その時の私はまだ知らなかった。
***
なかなかしんどいパートが続いていますが、我々にはアイちゃんがついています(合言葉)
そして\\\書籍が本日発売///です!(明日も更新します!)
書店で購される皆様はくれぐれも臺風にお気を付けください……!
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