《異世界でもプログラム》第二話 電撃作戦
「ユリウス!」
「アル。俺は、お前にも文句を言いたい。共和國に行くのは、お前の自由だ。だが、困ったことがあれば、なぜ俺を俺たちに連絡をれない!」
「ん?なんの事を言っている?」
「お前!」
ユリウスが、何故か怒り出した。
昔から変わらない。何か、説明が抜けている。俺が持っている報と、ユリウスが持っている報に差異が生じているのだろう。
「ユリウス様。アルノルト様には、それでは伝わりません」
頼りになるクリスティーネがユリウスの怒りを抑えるように嗜める。
「アルノルト様」
クリスティーネは、ユリウスが落ち著いたのを確認して、俺の方を向いた。
「おぉ」
「アルノルト様は、アルトワ町でしたか?町の近くにあったダンジョンを攻略なさいました」
「あぁ」
「そのダンジョンの周りに集落を作って、実効支配を行っています。相違ないですか?」
「実効支配というか、まぁそうだな」
言い訳は無駄だ。
カルラから報が渡っているのだろう。それと、ウーレンフートから大量の資が移していれば、クリスティーネが調べないわけがない。
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他の面子はニヤニヤしている。
學校での様子を思い出しているのだろう。
「ユリウス様は、その事をおっしゃっているのです」
「え?実効支配した場所を、ユリウスに任せる?」
「違います。なぜ、そういう話になるのか・・・。ユリウス様は、アルノルト様が、ご自分の資産で実効支配する集落を作ったのを言っているのです」
「すまん。クリス。解りやすく説明してくれ」
「はぁ・・・。ユリウス様も悪いのですが・・・」
ユリウスが、クリスティーネの言い方に文句を言っているが、無視して話を続けた。
資材の提供や、人材をウーレンフートからではなく、ライムバッハ家からも出す準備をしていた。準備をしている最中に、ウーレンフートから大量の資と人材がアルトワ町に移を開始してしまった。
ユリウスは領主代行の権限で、止めようと思ったが、周りから反対された。
その為に、俺がユリウスを頼っていれば、違う形での支援が出來たと考えているようだ。
「それは悪かった。ライムバッハ家にも余裕があるとは考えていなかった」
「アル!」
「アルノルト様。勘違いされては困ります。ライムバッハ領は、ユリウス様がお預かりしていますが、領主は違います」
「そうだな」
「本來なら、アルノルト様」「クリス!」
クリスティーネが口を抑えて自分の発言が失言だったと気が付いた。
「ユリウス。それに、クリスも、一つだけ俺の考えを聞いてしい」
「なんだ」「はい」
クリスティーネは、俺が何を言いたいのか解っているのだろう。
だから、ユリウスの後ろに下がった。
あとは、ユリウスが納得してくれれば・・・。
「ユリウス。俺は、ライムバッハ領で療養をしている」
「・・・」
「その俺が、アルノルト・フォン・ライムバッハとして、ライムバッハ家に救援を出せるか?」
「・・・」
「その顔が答えだ。俺は、ライムバッハ家の人間ではない。だから、救援を出すのは、おかしいよな?マナベが行えるのは、ウーレンフートからの支援資の輸送だ」
「しかし・・・」
「”しかし”はない。”マナベ”が資の輸送を頼めるのは、ウーレンフートだ。それか、商會として付き合いがある。ギルだけだ」
「それなら、ギルを頼れば」
「ユリウス。解っているのだろう?」
「・・・」
「ユリウス様。完全に、アルノルト様が正しいです」
「・・・。だが、今回は、ダメだ」
「そうだな」
収まりが付かない狀況だというのは間違いない。
それに、皇太孫が國境を越えたのは記憶されている。それも、ウーレンフートに屬している商會が襲われたという報と一緒に伝わってしまっている。
実効支配は別にして、アルトワ町を陥落させなければ、裁が整わない。
「アルノルト様。アルトワ町の近くにあったダンジョンの狀況を教えてください」
「ん?狀況?」
「はい。脅威度や、現在の狀況です」
「あぁ」
簡単に狀況の説明を行った。
エイダに任せようかと思ったが、エイダの説明をしていなかったことや、いきなり全部を説明するのも面倒にじてしまった。
特に、まだユリウスが怒りのが勝っている狀況では、説明を聞かないで質問をしてくる可能が高い。
「わかりました。順番をれ替えましょう」
「ん?」
クリスティーネの考えでは、このままアルトワ町や近隣の町を占拠しても、共和國は切り捨てる可能が高い。
ダンジョンが絡むと、資源の問題があるので、面倒な渉になる可能が高いようだ。
俺たちを襲ってきた、アルトワ町の住人たちを、連れてアルトワ町を占拠する。そのあとで、アルトワ町の近くに野盜たちが集まる場所があり、その場所を占拠したらダンジョンが近くにあって、拠點の構築を行うことになる。
同時に、近隣の町を占拠する。
これは、ライムバッハ領から連れてきた兵を使う。
正規軍による電撃のゲリラ戦だ。
相手が攻められると解る前に、戦闘を終わらせる。
それに、俺が行った共和國のダンジョンの調整が効いている。
ライムバッハ領に訪れる共和國からの商隊が求めるが、食料が多くなっているようだ。
それらを提供する代わりに、領土の割譲を求めるのは、無理な話ではないと考えているようだ。
領土を貰っても、ライムバッハ領としては、メリットはない。デメリットの方が多いかもしれないが、國へのプロパガンダの意味が強い作戦になっているようだ。
皇太孫であるユリウスの実績に繋がる作戦だ。
クリスティーネが多の無理筋を通すのも、実績を重ねる意味が強い。皇太子が、そのまま即位して、ユリウスに王位が譲られるとは思うが、それでも煩い貴族は居る。そんな奴らを黙らせる必要がある。
今回の電撃作戦は、そんな連中を黙らせるのに丁度いいのだろう。
「ユリウスは、アルトワ・ダンジョンに向かうのか?それとも、アルトワ町の占拠に向うのか?」
「俺たちは、アルトワ町に向う」
「わかった。捕虜の數名を・・・。前村長の妻が居たはずだ。そいつを連れて行ってくれ、他の連中は、アルトワ・ダンジョンで・・・。使いつぶす」
「他に、何人か連れて行きたい」
「わかった。適當に、選んでくれ、俺は、アルトワ・ダンジョンで指示を出してから、ライムバッハの領都に向う」
「そうだな。ギル!」
「わかった。俺は、アルに著いて行く」
「頼む。アル。アルトワ・ダンジョンから、アルトワ町に人を向わせてほしい」
「ん?」
「俺たちは、アルトワ・ダンジョンの場所を知らない。道案を・・・。ちがった、野盜の野営地を落とすための道案がしい」
「ははは。わかった。誰か向かわせる」
この場所で、ギルと俺が殘って、他のメンバーは、アルトワ町に向う。
ユリウスが連れてきた兵から數名を借りて、アルバンとカルラのを運んでもらう。どこで眠るのが適當なのか解らないが、共和國ではない。悪いけど、ライムバッハ家の墓で眠ってもらうことになると思う。アルバンは面白がるだろうが、カルラは恐するだろう。だが、俺を殘して死んだ罰としてけれてもらう。
「ギル!」
ユリウスたちが、アルトワ町に向った。
「あぁ悪い。さて、アル。あの熊と執事とメイドと馬?はなんだ?」
皆がチラチラ気にしていた。
ユリウスは説明を求めようとしたが、クリスティーネに止められていた。ライムバッハの領都で合流した時に、説明を求められるだろう。
クリスティーネは、報告を聞いているから知っていると思ったのだけど・・・。どうやら、カルラは、言葉を濁していたようだ。
ギルベルトは、これから一緒に移するので、質問してきたのだろう。
隠すような事でもないので、正直に説明はするが、間違いなくしがるよな?
しがっても、やらない。これは、俺以外が使ってはダメな技にしておこうと思う。そうしないと、際限なく必要とされてしまう。
そういえば、クラーラが傀儡とか言っていたのが気になる。帝國でも同じような技を開発したのか?
帝國の報がしい。
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