《T.T.S.》File.5 Worthless Road Movie Chapter 3-2

〜2176年12月26日AM10:42

日本國 芝浦埠頭〜

師走の慌ただしさの中にあって、芝浦埠頭の一角は異様な雰囲気に包まれていた。

発端は、骨まで凍るほどの寒波に耐えながら出勤した作業員たちによって発見された。

後ろ手に拘束されてアルミブランケットに包まれた夜勤スタッフたちと、側から発でもしたかのように破壊された40フィートのドライコンテナの數々。まるで映畫の中のような景だが、そこにはゾンビの姿も怪獣の姿もなく、重機の姿すらない。

加えてぐっすりと安眠していた夜勤スタッフたちは誰一人として何が起こっていたかの記憶がなく、破壊されたコンテナの中にあったも見つからず、何がっていたかも判然としなかった。データが書き換えられて復元すらも葉わない。

記録からも記憶からも奪われたが、一誰から誰に向けた何だったのか、そんな奇怪な事件に埠頭は大混だ。

弓削田ロサもその混に呑まれた一人だった。

「それじゃあ、本當に一切の損傷がないの?あのクレーンには」

「はい。スプレッダの傷は基本的に海風で錆びついているんで、新しい傷は錆が禿げてるはずなんですが、どこにも見當たらないんです」

小柄なロサからすれば、見上げるだけで首が痛くなるほど巨大なガントリークレーンは、自らの潔白を主張するかのように、コンテナを摑むスプレッダ部分を揺らしていた。

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