《ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~》第三百四十九話 イザークの苦悩⑥
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第三百四十九話
イザークは天幕の前に立ち、歩哨として警備についていた。天幕の周囲には柵が築かれ、警備するライオネル王國の兵士の姿が見えた。
同じく歩哨として立ち続ける彼らは、じろぎ一つせず直立不の姿勢を崩さない。
兵士を指揮する者であれば、激する士気と練度の高さだ。
それに引き換えと、イザークは天幕の中を覗き見た。
天幕の中ではユカリを前にしたサーゴがデレデレと鼻の下をばし、ゴノーがミモザの後を忠犬の様について回っている。敵地の中にいるという張がまるでない。
親しい仲ということで、サーゴとゴノーに來てもらった。だが選ぶ相手を間違えたかと、イザークは後悔した。
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せめて自分だけはしっかりしなければと、イザークは気合をれて歩哨に立つ。
しばらくすると日が暮れ、ライオネル王國の陣地では篝火が焚かれ、あちこちで松明のが燈る。天幕のり口には篝火を焚く臺が置かれているので、そろそろ火をつけるべきだろう。
イザークが考えていると、食事を終えたサーゴが戻ってくる。
「イザーク、代するよ。ギャミ様がお呼びだ」
「分かった。篝火を焚いておいてくれるか?」
イザークはサーゴに頼み、天幕の奧へと向かう。衝立で遮られた奧では機があり、周囲に三つの椅子が置かれていた。そして椅子にギャミとアザレアがそれぞれ座っている。
「お呼びでしょうか、ギャミ様」
「ええ。晝間に見たライオネル王國の分析を行おうと思っておりまして、ぜひイザーク様のご意見もお聞きしたく」
ギャミは手をばして椅子をすすめる。イザークは頷きながら椅子に座った。
「ではイザーク様。敵陣をどう見ましたか?」
「はい。ライオネル王國の陣営は、なかなか侮れぬかと」
イザークは晝間に見た敵陣の様子を思い出した。食糧庫と思しき天幕には木箱や袋が高く積み上げられ、行進する兵士達は規則正しく、訓練や武の整備にも余念がない。
「食料と資は満ち溢れ、兵士達は腹を空かせておらず、士気と練度も高い」
イザークの言葉に、ギャミが頷く。そして首を返し、銀の仮面をつけたアザレアを見た。
「ではアザレア様。あなたはどう見られたか?」
「はい、ライオネル王國のはかなり厳しいかと」
アザレアは銀の仮面の下から、イザークと正反対のことを述べた。
「確かに天幕の中には木箱や袋が積み上げられていました。しかしおそらくあの中は空でしょう」
「中を見ていないのに、どうしてわかるのですか?」
アザレアの言葉に、イザークはつい反論してしまった。
「鼠です。食料を備蓄すれば必ず鼠の被害に遭います。しかし天幕の周囲には鼠が掘ったや糞などは見られませんでした。中に何もっていないからです」
「し、しかし、食事の風景も見ましたが、不足している様には見えませんでしたよ?」
イザークの脳裏には、山盛りの料理を振る舞う食事風景が思い出された。
「確かに山盛りで兵士に提供していましたが、問題は食事の容です。単一の食材ばかりが目立っていました。資の不足が原因と考えられます」
アザレアの分析に、イザークは息を呑む。同じものを見たはずなのに、まるで気づかなかった。
「また、周囲にいた兵士ですが、同じ顔を三度見ました。同じ兵士を何度も行き來させることで、數を多く見せたかったのでしょう。兵員不足、怪我をしている者も多いのでしょう」
続くアザレアの言葉に、イザークは自らの不明を恥じた。敵地を視察するという絶好の機會にもかかわらず、自分は何も見ていなかったのだ。
「ですが、注意しなければならぬこともあります。翼竜の飼育ですが、ギャミ様が卵の溫度を高く保つ様に言われた時、ロメリアは笑っておりました。竜の卵は孵化の段階で溫度が高すぎると、雌ばかりが産まれる様になります。おそらくロメリアはそのことを知っていたのでしょう。人間達の竜に対する知識は高いと考えるべきかも知れません」
長いアザレアの説明に、イザークはただただ驚いた。何気ない會話の中にもギャミは虛実をえ、敵に誤った報を與えようとしていたのだ。
そこまで思考が至った時、イザークは自分の失態に気づいた。イザークはロメリアの裝甲竜のことを尋ねられた時に、何も考えず事実を述べてしまった。敵に余計な報を與えたのだ。
もちろんあの程度の會話では、大きな優劣は生まれないだろう。しかし噓を言わないまでも、真実を隠すべきだった。
あの時の自分は報戦という戦場にいながら、何も考えず突っ立っていたのだ。
失態に気づいたイザークを見て、ギャミは笑みを浮かべて許した。
イザークいろいろやらかしてた
経験が足りない
最果ての世界で見る景色
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