《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》第150話『下獄』
晝食の休み時間のことだった。
「えー!なにこれー?」
椿は教室中に屆くような大きな聲でそう言いながら、キョウカのスクールバッグからそれを取り出した。
それとは、生理用ナプキンである。
「えー?萩澤さん今日生理なの〜?だからこの辺臭いんだ〜」
ヘラヘラと笑いながら、またも大聲でそう言い放つ。
教室の全ての視線が、一點にキョウカへと注がれる。
椅子に腰掛けているにも関わらず、強烈な目眩と吐き気が襲って、思わず視線を自の膝へと落とすが、そんなことで救われるほど世界は優しくない。
「一磨先輩と生でヤったって聞いてたから、てっきり來ないと思ってた〜。良かったね、デキてなくて」
大聲でそう騒ぐ椿と、その隣で半笑いで首肯する仲間たち。
世に地獄があるとすれば、今がまさにそうだ。
「そ、そんなことしてな──」
「えぇー?なにー?聞こえな〜い。もっとおっきな聲で言ってくれる??」
それに反駁しようと、目線を上げた。
眼前にあった椿は表は、口元こそ笑っているものの、その瞳の奧は未だに殺意にも似た害意を持ったままだった。
Advertisement
それに気圧けおされるように、キョウカはまた黙ってしまう。
「………」
「あーあ。また黙っちゃった。言えないなら代わりにみんなに言ってあげようか?『ワタシは援してるヤリマンです』って。ねぇ?ヤリ澤さん?」
「ヤリ澤だって」
侮蔑と冒涜、憎悪と害意のみを凝させたような、低俗な渾名でキョウカをそう呼んだ。
取り巻きの子を含めたクラスメイトに笑いが起こる。
これほど不愉快な笑いが、嘗かつてあっただろうか。
キョウカはその日、耐えきれずに學校を早退した。
だが、自宅に帰っても尚、安息などはなかった。
きっと今頃、椿が教室でも葉もない噂を振り撒いているに違いない。
そうなると、次學校へ行った時、どんな仕打ちを、どんな罵聲を、どんな屈辱を味わされるかなど計り知れない。
瞼を閉じて、目の前が真っ暗になるように、キョウカは今後の學校生活のを見失った。
「ただいま〜」
「……おかえりなさい」
19時。帰宅したのは母だった。
「あら。合が悪くて早退したって聞いたけど、大丈夫そうね。」
片手に買い袋を持ったまま、目も合わせずに母はそう言った。
「その、違うの。お母さん…」
「んー?何かあったの?」
母はそのまま、夕食の準備を始めながらそう聞いた。
「學校で……いじめ……られてて………」
「えっ?何されたの?」
そのキョウカの一言を聞いた途端、包丁を置き、目線を合わせた。
「…その……仲間外れにされたり…イヤなあだ名付けられたりして……だからもう…學校行きたくない………」
それを聞いた母は、しだけ黙った。
そして。
「はぁ。」
と、ため息をひとつついた。
「あのね、いじめなんて、された側は気にしてても、した方はすぐに忘れちゃうのよ。そんなの気にしたら負けよ。それに、あと一年半で卒業だし、弓道の大會だって近いでしょ?キョウカは績が良いんだから、そんなことで欠席したら良い大學行けなくなっちゃうわよ?もうしだけ頑張りなさい。」
サクサクと、長ネギを刻む音と共に母はそう告げた。
視線は今も、手元に落としたままだ。
「…………うん……分かった。」
母のその言葉に、キョウカは嘆した。
この大人は、私の悲痛などどうでも良いのだろう。と。
この大人にとって、私は「守るべき娘」ではなく『価値のある人間』でしかない。だからこんな殘酷なことが言えてしまうのだろう。
最も信頼する大人に、最も言われたくない言葉を突きつけられ、孤獨と絶と悲哀とが、折り重なってを抉る。
今にも泣き出してしまいそうなその心を、そっと腹の底に隠した。
「…………お風呂ってくる…」
「ん」
その晩、キョウカはベッドの上で、明日の教室のことを考えていた。
何か解決策を見つけようとするが、どうにもこうにも見當たらない。
「私は何も悪くないのに……」
小さく呟いたその聲が、暗闇の四畳半で溶け消える。
一どこで何を間違えてしまったのだろうか。もっと我儘に生きていれば、母は私に救いの手を差しべてくれただろうか。
もっとのある人間だったら、いじめの標的になどされなかっただろうか。
どうして、どうして、どうして、どうして…
気がつけば、その目からは涙が溢れていた。
「誰か……助けてよ…………」
うずくまって、またも小さくそう言う。
流した涙を、ベッドシーツが飲み込んだ。
半月の月明かりが、窓からゆらゆらと流れ込む。
淡く燃える月さえも、キョウカを嘲笑っていた。
魔力、愛、君、私
姉を探すリルと戦士のハルマ、 お互い同じ國の出身でありながらリルには小さな身體で殘酷な過去を抱えていた。 メーカーお借りしました() https://picrew.me/share?cd=cljo5XdtOm 亀さんペースですごめんなさい
8 119名探偵の推理日記〜君が消えれば〜
あいつがここにいると面白くない。よし、じゃあ、あいつを殺そーー。 以上(異常)です。 〜登場人物〜 松本圭介 小林祐希 中島徹(被害者) 巖下修二(テストの順位2位) 有村健太(イケメン順位2位) 坂田奏多(テニス部內順位2位) 佐々木香奈美(噂好き)
8 50Astral Beat
ある梅雨明けの頃、家路を急いでいた少年は、巷を騒がせていた殺人鬼に遭遇し、殺されてしまう。 気が付いた時には、異能力が発現し、しかも、美少女になっていた!? 異能力によって日常が砕かれた彼(彼女)は、異能力による數々の事件に巻き込まれていく。偽りの平和と日常の瓦礫の中で何を見るのか。 そんな、現代風シリアス異能バトルコメディ、ここに爆誕。
8 97VRMMOをガチャで生き抜くために
【祝!40000PV突破!】発売前から大反響のVRMMO──ドラゴンズギアを先行予約でゲット出來た高校生がガチャで楽しむ。ただしガチャ要素は少ない...
8 193神様はチートはくれないけど元々俺のステータスはチートだった
女神様から異世界転生することを知った主人公。 しかし主人公は記憶喪失だった。 そんな中、チート能力も貰えず赤ちゃんからやり直すことに・・・ そんなある日、主人公エイトは自分が天才を超えた異才だと知る。 そこから事件や戦爭、學園に入學したりなど、様々な困難が待ち受けていた。 初投稿なので溫かい目で見守ってくださると幸いです。 誤字脫字あるかと思いますがよろしくお願いします。
8 160朝、流れ星を見たんだ
天涯孤獨の少年竜也と、病に身體を蝕まれている少年大翔。 大翔の最期を看取ってやりたい竜也だが、大翔の命の期限が迫った時、竜也は一ヶ月間イギリスに行くことになってしまう。 その一ヶ月間、大翔は病に耐え続けられるのか、それとも竜也のいない間にその目を永遠に閉じてしまうのか――――未來は誰にもわからない。
8 80