《モフモフの魔導師》511 外からの刺激も必要

今日はチャチャの住む村ダイホウの穣祭りに參加させてもらう。

チャチャが出店で料理を振る舞っていいか村長に提案して、了承してもらえたとのこと。

「獣人の男の料理…?大丈夫なのかい…?」

…と不安そうだったらしいけど、ダイゴさんやナナさんも援護してくれて、「そこまで言うなら」と納得してくれたらしい。料理の準備も大変だから、正直助かると。

せっかくもらえた機會。一杯ボクが味しいと思う料理を作ろう。穣祭りは晝のに終わってしまうので、午前中から準備を始める。

「兄ちゃん。食材足りそう?」

チャチャも準備を手伝ってくれる。村の人達は、穣祈願を終えてから集まるらしい。

「充分過ぎるよ。ホントに使っていいのかな?」

ダイホウの穣祭りでは、各家庭から持ち寄った食材を、皆で調理して食べるのが通例だという。農家は野菜や穀を、狩人ならを、といった合に。

「もちろん。多分、足りなくなるような気がしてる」

「さすがに大丈夫だと思うけど」

「始まればわかるよ。まずは、煮から仕込みするね」

「そうだね」

ダイホウでは、まずは決まった料理を順番に食べる風習があるらしい。コース料理のようなものだ。事前に作り方と順番を教わっているので、難しくはない。

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「兄ちゃんって、絶対に教えたとおり料理を作らないね」

「つい自分好みにアレンジしてしまうんだ。ダメかな?まだ味は修正できるよ」

教えてもらってる時點で、味の想像ができるから、もっと味しく改良できないか考えてる。ただし、教えられた通り作るのも嫌いじゃない。

「そのままでいいよ。味しいのはわかってるから」

「皆の口に合えば良いんだけどね」

ダメなら作り直そう。

「よし。できた。このくらいで足りるかな?」

「足りないよ。もう1つの鍋一杯にお願い」

「聞いた人數からすると、足りる気がするけど」

「絶対足りない。私が合ってたら、兄ちゃんに添い寢しまくるからね」

「追加で作るよ」

「むぅ…」

真面目なチャチャも、そんな冗談を言ってくるようになった。砕けてくれて嬉しくもあり、でも良くない傾向だとも思う。

ボクだって男なんだ。理を保とうにも限度はある。

その後は、煮の他に焼き、揚げ、蒸し料理と作り上げていく。

「何でも作れるのは知ってるけど、兄ちゃんって好き嫌いはないの?」

質的に食べられないものもあるし、苦手なものもある」

「苦手なものって?」

「一番は酢(ビネグル)だよ。酸っぱい匂いがどうしても苦手で、噎せてしまうんだ」

「鼻がいい兄ちゃんにはキツいかもね」

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話しながらも手は止めず、時間に余裕を持って料理が完した。

「出來た。間に合った」

「お疲れさま。早すぎるくらいだよ」

「『保存』しておくから大丈夫」

「サマラさんやウイカさん達も、後で手伝いに來てくれるって」

「そっか」

丁度、村の人達が歩いてくる。祈願が終わったのかな。

「ウォルト兄ちゃんだ!」

「久しぶり!」

「おつ~!」

「久しぶり。みんな逞しくなったね」

駆けてきてくれたカズもニイヤもサンも、みんな長してる。狩りの勉強や手伝いをして、家計にも貢獻してるとチャチャから聞いてたけど、長が早いなぁ。

「ウォルト、元気だったか」

「今日は村祭りのためにありがとう」

「ダイゴさんとナナさんもお元気そうで」

「あぅ~!!あ~ぅ!!」

「はいはい。行きたいのね。ウォルト、ララを抱いてあげて」

「はい」

ララちゃんも大きくなってる。目がくりくりして、相変わらず可いなぁ。

「あ~!う~!」

「ララちゃん、久しぶりだね」

「あぅっ!!」

ヒゲを摑まれて痛い。でも、可いから気にならない。

「ララ。今から兄ちゃんは忙しくなるの。お母さん達と待ってて」

「やっ!」

「ワガママはダメだよ」

「うぅ~…!」

「もし良かったら、ナナさんの抱っこ紐を貸してもらえませんか?」

「いいけど」

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お願いしてチャチャに手伝ってもらう。

「ララちゃん。これでいい?」

「あぅっ!」

紐でおんぶして、子連れ貓になってみた。前で向かい合わせに抱きたいけど、火を使う調理中は危ない。

「もし、ララちゃんが嫌がったらお願いします」

「わかったわ。ワガママな娘で悪いわね」

「兄ちゃん、似合ってるぞ」

「俺達よりララに好かれてる」

「さるねこ!」

…と、老齢の杖をついたが話しかけてきた。

「ウォルトと言ったかね?アタシは、村長のナッキだ。今日はアタシらのために、わざわざ料理を作ってもらって悪いねぇ」

「いえ。こちらこそ、作らせてもらってありがとうございます」

「楽しみにしてるよ。何もない村だけど、アンタも楽しんで帰っておくれ」

「はい」

祭りの會場は、ダイホウ村唯一の広場。ペニーとシーダと遊んだこの場所に、茣蓙やテーブルを持ち込んでいる。

「じゃあ、みんなに料理を配るね。みんな~!準備できてるから、取りに來て~!」

チャチャが手際よく煮をよそって渡す。ボクも隣でよそって渡す。

先ずは全員に行き渡った。

「また良い実がなるように、獲も獲れるように祈りは済んだよ。さぁ、恵みを頂こうかね!」

ナッキさんの音頭で皆が食べ始める。

「こりゃあうめぇ!!」

「すっごく味しい!」

「いつもの煮と違うけど、味いな!」

口に合ったみたいで良かった。

「チャチャ!お代わりくれ!」

「ウォルト兄ちゃん!ルリにも!」

「久しぶりだね、ルリ。はい、どうぞ」

どんどんお代わりに來てくれる。あっという間に鍋1つ分が無くなった。2つ目も直ぐに食べ盡くしてしまいそうだ。

「ねっ?足りなかったでしょ?」

「そうだね。凄く嬉しいな」

「あ~っ!う~っ!」

「ララちゃんも食べる?はい」

らかいと野菜を匙で掬って、肩越しにララちゃんに食べさせる。

「…ぅ~…まっ!」

「ふふっ。味いって言いたかったのかもね」

「ララちゃん、ありがとう」

作り置きしていた料理をどんどん食べてもらう。

「みんな凄い勢いで食べてくれてる。良かったね」

「ホッとしたよ」

「ウォルト~!チャチャ~!」

「ん?」

サマラとアニカとウイカが走ってくるのが見える。足が速い。

「仕事終わった~!でも元気!」

「私達も冒険終わりました」

「お腹ぺこぺこです!」

「お疲れさま」

「お疲れさまでした。みんなも先ずは食べてください。これから忙しくなりますよ」

サマラ達は茣蓙を広げて、一心不に食べてる。ちょうどお晝時だし、お腹空いてたんだな。

5分と経たないに…。

「食べ終わった!」

「はやっ…!ゆっくり食べていいのに」

「手伝いに來たのに、悠長に食べてられません」

「働きますよ~!」

働き者だなぁ。皆が食べ終わるとほぼ同時に、村の皆が押し寄せてくる。

「何でも作れるんだって?酒に合う肴を頼んでいいか?胡椒とを使った料理がいいな」

「儂と婆さんは、らかく煮込んだがいいのぅ。歯が弱いもんで」

「私は野菜を沢山使った炒めしで!」

「はいはい。焦らないで。し時間をもらうからね」

チャチャが注文を纏めてくれる。

さて、楽しい時間が始まる。

「はい!野菜切ったよ!」

「皮を剝きました」

「できたのを持って行ってきます!」

「兄ちゃん。次は串焼き2つね」

四姉妹が手伝ってくれる。お願いしたとおりに食材を切ってくれるだけでも大助かり。味付けと調理に専念できて、かなり早く出せる。

「ララは可いね!ウォルトの背中が好きなの?」

「あぅっ!!あ~うっ!」

背負われてるだけでつまらないだろうに、靜かにしてくれてる。可いなぁ。

「貓のお兄ちゃん!甘いものが食べたい!」

「餡子じゃないお菓子がいいな!」

「うん。待っててね」

果実を載せて焼き菓子にしようか。クレープも作ろう。生地は事前に作ってきてる。

いやぁ、やる気が漲る。休んでる暇なんてない。どんどん作ろう。

味すぎだ!こりゃ酒がすすむ!家から持ってくる!」

「凄い獣人じゃ。こんな飯は、街でも食えんぞ」

人が揃って、お酌までしてもらって最高だな!」

「お菓子が甘くて味しい~!食べたことないけど、凄く味しいよ!」

「作り方を教えてもらおうかしら?」

サマラやウイカ達は、料理を運ぶついでに酒を注いで會話したりもしてる。みんな人だから、男陣は鼻の下がびてるな。

「げへへ………いたたたっ!!」

「むふふ………あぢぢぢぃっ!?」

「酔ってるからっておりはだめだよ!次やったら、腕をへし折るからね!」

「私は魔法で燃やしますよ」

「晝間っから元気で結構ですけど、我が家でお願いします♪」

サマラ達は、酔ってろうとしてきた男達の腕を捻り上げたり、軽く『炎』で炙ってる…。

氷の微笑…。

「こらぁ~!!3人は私のお姉ちゃんで、手伝ってくれてるんだから変なことするなっ!次やったら、弓で脳天打ち抜くからね!」

「すまん、チャチャ!つい!」

「つい、じゃない!酔ったら何してもいいわけじゃないでしょ!酒を取り上げるよ!!」

チャチャは激怒して、ろうとしたオジさん達は、奧さんらしき人にも怒られ踏んだり蹴ったり。でも、完全な自業自得。

「騒がしいねぇ。けど、アンタ達のおかげで、いつもより賑わって楽しいよ。大変だろうけど、ありがとうね」

ナッキさんが笑いかけてくれる。

「ボクは楽しんでます。料理を作るのが好きなので、気分はお祭り狀態です」

「あ~ぅっ!!」

「はっはっは!ララも懐いてるねぇ。チャチャもそうだ。何かをもらえるかい?青野菜をれて、塩味は薄めがいいね」

「わかりました」

を効かせたを作ってナッキさんに渡す。

「…うん。良い味だ。優しい味で味いよ」

「ありがとうございます」

さて、食材もかなり減ってきた。もう七割方食べきってる。でも、食べるペースも落ちてきて、この辺りで小休止かな。

「サマラ、ウイカ、アニカ、チャチャ。一休みして甘味でもどうだい?」

柑橘を載せたタルトを作ってみた。生地は作ってきてるから楽。

「もらう!…うまぁ~い!」

味しいです」

「甘酸っぱくて、最高ですね!」

「生地も味しい」

「それは良かった。ちょっと席を外すよ」

「ん?どしたの?」

「ララちゃんのオムツを替えてくる。多分おしっこしてるから」

ちょっと前から背中が生溫かい。

「えっ?!ララ、凄く普通にしてるけど?ホントに?」

「自分では見えないけど、こんなじなんだ」

後ろを向いて背中を見せると、「確かに…」と全員からお墨付きをもらった。

「濡れて気持ち悪くないのかな?がっつりらしてるけど」

「むしろ、『何か?』みたいな顔してますね」

「ドヤ顔になってます!ふてぶてしくて可いです!」

「肝が據わってて、じないんですよ。泣かないから助かるんですけど、わかりにくくて。ゴメンね、兄ちゃん」

「全然だよ。ローブに付いても洗えば良いし」

赤ちゃんはそういうものだ。ローブは師匠の魔法で加工されていて、汚れは直ぐに落ちるし、匂いも気にならない。

「直ぐに戻るよ」と告げて、チャチャの家に移する。

「ララちゃん。今からオムツを洗うよ」

「あうっ!!」

玄関でローブをいで軽く畳み、濡れてない部分にララちゃんを寢かせ、おや濡れてる部分を綺麗に拭き取る。

「せっかくだから、洗うのは魔法でやろうか。見ててね」

竜巻狀に発現した『水撃』の中に布オムツをれて、激しく踴らせるように洗う。

「ふおぉぉお!!」

水の形を変化させて楽しませる。『隠蔽』で消してみせたり、水を球にして生きてるように水中でかすと、楽しんでくれてるっぽい。

「もういいかな」

充分洗ったあと『速乾』で乾かして、再度オムツを著けてあげる。

「あ~うっ!!」

「ちょっと待っててね。ローブも洗うから」

ローブも同様に魔法で洗うと、楽しんでくれてるっぽい。水ので覆って、明な何者かが服を著て踴ってるように見せる。

「きゃっ!きゃっ!」

「楽しんでもらえた?」

「うぁ~っ!!」

また抱っこ紐で背負って、玄関を出ようとしたら…。

「兄ちゃん!言うの忘れてたけど、さてはまたやったでしょ?」

チャチャがってきて問い詰められる。

「な、何もやってないよ!」

ララちゃんにあまり魔法を見せるな、と口酸っぱく言われてる。でも、ボクは懲りずにやる。

今回は犯行現場を見られてないから、何とか言い逃れできるはずだ…。

「ふおぉぉお!!」

「やっぱり興してる。毎回こうなるから、直ぐにバレるんだからね。しばらく寢なくなるんだよ?寢せるのに、どれだけ苦労するかわかってるの?」

「ごめん…。反省してます…」

ボクは魔法を見せるだけで、実際に苦労するのはチャチャやナナさん。反省しなくちゃ…。でも、見せたくなるんだよなぁ…。

「とりあえず、料理が足りなくなってきたからお願い。早く戻ろう」

「それは大変だ。行こう」

會場に戻って追加を作る。時間が経つと、作るのは肴と甘味だけに絞られてきた。あとは、酒を飲んだ後のシメの料理。

「みんな盛り上がってるね」

完全に出來上がって、飲めや歌えやどんちゃん騒ぎ。サマラやアニカ達も、われたのか村人と一緒になって飲み始めてる。

……。

「こんな盛り上がってるの、初めて見るよ。いつもは、結構靜かに飲んでる。やっぱり陣が料理しなくて済むのは大きい。一緒になって凄く楽しそう」

「あうっ!」

「ふふ。ララは知らないでしょ」

「う~あっ!」

…と、一人のオジさんが立ち上がる。

「ひっく…!よぉ~し!ノッてきた!一丁、若い頃に鍛えた俺の踴りを見せちゃる!隠すとこなんて無い、一貫の産まれた姿を見せてや……ぐぇっ…!」

調子に乗ったオジさんは、笑顔のサマラに背後からクイ!っと締め落とされた…。

只今、破廉恥取締強化中。

「アンタ、強いねぇ」

「見たくないもの見せられてもね。男だけの時にやればいいのに」

「はっはっ!逞しいね。チャチャにも教えてやりな」

隣でチャチャが呟く。

「知らない人がいると、刺激になって良いみたい。來てもらって良かった」

「そう言ってもらえるなら、またやりたい」

「夜はゆっくり休んでね。初対面の人ばかりだから、気疲れしたでしょ?」

「さほど話してないから、そこまで気疲れしてないけど…」

「してないけど?どうしたの?」

「なんでもないよ」

「兄ちゃん…?」

ジト目で見てくる。隠そうとしても無駄か。

「今、ちょっと気分が悪いんだ」

「えっ?!村の人に何か言われたの…?」

「違うよ。何かされたり言われたわけじゃない」

「じゃあなんで…?何かあった…?」

「………」

「兄ちゃん?」

「もう料理も殆ど作らなくていいし、チャチャも祭りを楽しんできたらどうかな?」

「そんなのいいから、何で気分が悪いのか教えてよ」

「チャチャなら言わなくてもわかるだろう?」

水を差すようなことを口にしたくないんだ。

せっかく楽しい時間を過ごしてるんだから。

「皆さん…。私は、やってしまったかもしれません…」

穣祭りの夜、アニカさんとウイカさんのお宅にお邪魔して、急四姉妹會議を開催してもらうことに。オーレンさんはミーリャのところへ退避。

心のを正直に吐する。

「どうしたの?」

「やってしまったって何を?」

「ウォルトさんと何かあったの?」

穣祭りの終盤で、兄ちゃんから「気分が悪い」と言われたことを伝える。

いつものように、表から心のを読んでみたけど、いきなりすぎて理由がわからなかったし、結局最後まで教えてくれなかった。

「知らない間に、兄ちゃんの気に障ることをしたのかも…」

ずっと気になっている。兄ちゃんは、訊いて答えなかったことがない。

ララに魔法を見せたことを責めたのが嫌だったのかな…。よかれと思ってやってるのに、口うるさくてしつこいな、って…。

「私も帰る前に話したけど、怒ってはなかった。ウォルトは、私達が相手でも気にらなければ直ぐ顔に出る。でも、それはなかったよ」

「私もじなかった。でも、しだけ違和はあったかも」

「私もちょっとだけ変なじがした!でも、怒ったりしてるサインは出てなかったなぁ~」

お姉ちゃん達もわかってない…。

「みんなで今日の出來事を振り返ってみようか。なにかヒントがあるかも」

「ずっとご機嫌そうでしたよね」

「確かに!『楽しいニャ!』って顔して料理を作ってました!オムツ換に行くところまでしか見てないですけど」

「私もそう思ってたんです…。だから、いきなり過ぎて理由が…。気分が悪そうには見えなかったから、多分ですけど最後の最後に何か気に障ることがあったんじゃないかって…」

みんなで頭を捻る。

「ウォルトが言ったのって、どのタイミング?」

「サマラさんが踴りを阻止したあとくらいです」

「私とアニカは、村の人達と飲みながら話してた時だね」

「うん。ダイホウは面白い人が多かった!もっと陣と話したかったな!」

「…………あぁぁぁぁぁ~~!!」

サマラさんが大きな聲を上げた。

「何か気付いたんですか?!教えて下さい!」

「ちなみに、ウォルトの心境ってイライラでしょ?」

「はい。ヒゲと耳がイライラを表してました。でも、怒ってはいないじで」

「わかったかも!」

「サマラさん!勿ぶらないで!」

「チャチャ、落ち著いて。私達にとって悪い話じゃないから」

「…どういうことですか?」

「私の予想が正しいか、本人に確認しよう!」

サマラさんが魔伝送で兄ちゃんを呼び出す。

『サマラ?どうしたの?』

「あのさ、今日気分悪いってチャチャに言ったんでしょ?」

『言ったよ』

「それって…私達が知らない男の人と仲良さそうに話してたからじゃない?」

えぇぇぇっ!!?

『…実はそうなんだ。何でかわからないけど、皆を見ててイライラした。楽しそうな場で言うことじゃないから言わなかったけど。ボクも理由がわかってないし』

それって…。

「なるほどね。でも、こっそりでも教えてよ。チャチャは、ウォルトを怒らせるようなことを言ったんじゃないか、って落ち込んでるんだよ」

『えっ!?それは…謝らないと…。直ぐに連絡する』

「今、一緒にいるから代わるよ」

魔伝送を渡される。

「兄ちゃん?」

『チャチャ、ゴメン。ボクの気持ちは、言わなくてもわかると思ってて』

「私がしょっちゅう心を読むせいだから、兄ちゃんは悪くないよ。理由はわかった。言いたくなかったのにゴメンね」

『黙っておくつもりだったんだ。気付かれたから、隠せないと思ったけど』

「それも私のせいだよ」

『ボクの気持ちの問題だから、気にしないでしい』

「うん。ありがと」

し話して魔伝送を切った。

「……兄ちゃんは、村の男陣と話してる私達を見て、妬いてくれた…ってことでいいんですよね?」

「そうだよ。意味不明って思ってることが意味不明だけどね。困った馴染みだよ。まぁ、初めてのなのかもね!」

「でも嬉しいですね。ウォルトさんは、平然としてそうな人なんで」

「私達のことを、特別だと思ってくれてるってことだよ!友人としてでも嬉しい!」

「兄ちゃんにも獨占みたいなものがあって、私達をそういう目で見てる、って思うだけで…いいですね」

暗い気持ちから一転、ワイワイ楽しくお酒を飲む。

理由が判明して、のつかえが取れた。

兄ちゃんにも、たまには刺激が必要なんだと學んだ。村の皆にも謝しなくちゃね。

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