《チート能力を持った高校生の生き殘りをかけた長く短い七日間》第十一話 現狀の確認(3)
ローザスの提案は、ハーコムレイが卻下していた。
そもそも、街道を俺に渡すのは不可能なのだと、ハーコムレイが俺に説明をしてくれた。丁寧なのだけど、別に必要だと思えない謝罪まで含まれていた。
俺が第二のアゾレムになってしまう可能がある。現狀でも、戦力だけを考えても、王都に攻め込める場所に、俺に忠実な者たちが固まっているのを、ハーコムレイは問題視している。ローザスを擁する派閥とは、親に出來ていると思う。それに、ルアリーナやアデレードが、神殿にいる。
ローザスも、ハーコムレイも、神殿の様子を知りたいようだ。
アデレードやルアリーナの様子を知りたいと言っている。
「それは、俺ではなく、ミトナルに聞いてくれ・・・。俺は、ナナの村や森の村に集中していて、神殿の中での話は、ルナたちに任せている。ミトナルがサポートしているから、神殿の様子は知っていると思う」
ハーコムレイは驚いた表をしている。
そんなに、俺が他人に神殿を任せているのが不思議なのか?
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「そうなの?」
信頼しているのはミトナルとマヤだが、他の者たちも、信用はしている。
神殿の表層部分は教えてある。核となる部分は、ミトナルとマヤにも教えていない。二人とも、聞きたいとは言ってきていない。マヤは、ロルフから聞いている可能はあるが、マヤが俺を裏切る狀況は考えられない。ミトナルも同じだ。
「あぁミトナルは、別室に居るから呼ぶか?」
「後でいい」
ハーコムレイの表から、ミトナルをいきなり呼び出すことはないだろうとは思っていた。
実際に、”後でいい”と言ってくれている。話を聞きたいが、俺からの話を聞いた後でいいのだろう。
神殿の様子と言いながら、アデレードやルアリーナの狀況を知るのがメインなのだろう。
だから、”後”でいいのだろう。差し迫って神殿が脅威に曬されてはいない。ハーコムレイやローザスの握っている報でも、神殿に関する報は出てきていないのだろう。だから、神殿は”現狀では”安全と判斷しているのだろう。
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「リン君。アッシュの所に來たのは、人を探しているのだよね?」
ローザスが本題を切り出してくる。
「あぁ奴隷でもいいとは思ったが、正直な話として、買うのは予算が許す限りは・・・。だが、その後が、放置になってしまう可能がある」
「うんうん。話を聞いてみれば、子爵領の運営と変わらない規模になっている。ハーレイ?」
神殿の規模が子爵領と同じ?
広さは確かに広いが、村は二つ?いや三つしかない。確かに、マガラ渓谷を越えるための機能を有しているが、現狀のマガラ渓谷は越える必要がある者はない。経済活規模では、男爵か準男爵程度ではないのか?
「わかった。リン=フリークス。まだ決定ではないが、けてくれると嬉しい」
ハーコムレイが、俺に何かをけてしいようだ。
「ん?」
「簡単に言えば、ローザス派閥の貴族家が協力して、違法奴隷を扱っている奴隷商を潰した」
「??」
「違法奴隷に落とされた者たちを保護した。しかし、どの貴族家も余裕があるわけではない」
「!!わかった。審査は必要だろうが、違法奴隷をけれる。人數は?」
俺にメリットがある話だ。
違法奴隷になってしまった者たちを保護すればいい。人數次第では全てをけれられる。
「1,000人には屆かない」
多いが、2つの村に振り分けると考えれば、多いけど、けれられない數ではない。
「そうか・・・。森の村か、アロイ近くの村だ。了承した人だけ送ってくれ、審査は任せていいのだよな?」
「大丈夫だ。ある程度の支援も行う」
ある程度の紐は飲み込むつもりだけど、敵対派閥や犯罪奴隷は拒否させてもらう。
ハーコムレイとローザスを見れば、俺が言っている容で問題はなさそうだ。
場所は最初に伝えておいて、了承したものにしておけば、話が違うと言い出す者もないだろう。
「支援?」
「ハーレイ。リン君には、それでは伝わらないよ」
ローザスがハーコムレイに”ダメだし”をしている。不思議な狀況だ。
確かに、”支援”だけでは意味が解らない。
「ん?」
「リン君。貴族家としては、違法奴隷をリン君に押し付ける形になる」
ローザスが”ダメだし”を出したけど、ローザスはハーコムレイよりも説明が”下手”だ。
「え?俺としては、人がしいから、むしろ歓迎だけど?」
俺の立場としては、人がしいからアッシュの所にきた。
違法奴隷と言うのは、奴隷制度から外れた者たちで、強制的に奴隷になってしまったり、騙されたり、襲われて奴隷になった者たちという認識だ。その者たちが保護されているのなら、既に奴隷分ではないのだろう。
支援が必要なのは、俺ではなく、違法奴隷になってしまった者たちだ。
「うん。それは解っている。でも、他の派閥や、違法奴隷商から奴隷を調達していた者たちは、派閥の者たちが違法奴隷を集めてリン君の所に押し付けたように見える。それに、アッシュも神殿に移するよね?」
「あぁ」
「そうなると、アッシュが違法奴隷を手にれて、商売をするように見えない?リン君は、建前としてのけ皿だね。貴族家は、そういう細かい部分で足の引っ張り合いをする」
そうか、アッシュの存在が話を複雑にしているのだな。
「へぇ。でも、支援には繋がらないよな?」
話はわかるが、それが貴族家からの支援には繋がらない。
まだ何か俺の知らないピースがあるのか?
「それが、そうでもない。神殿は、正式にリン君の持ちで、魔の森やアロイ側の場所も、リン君の領地として登録されている。しかし、流れを見れば、王家の直轄領をリン君に任せた形に見えてしまう」
ローザスの説明でなんとなく解ってきた。
「あぁ・・・」
「解ってくれたようだね」
「違法奴隷を扱っている奴隷商は、ローザス派閥が潰した。その時に、保護された違法奴隷たちは、ローザス派閥からの支援をけて、生活を立て直した。その為に、直轄領に新たな村を作った。その村で、違法奴隷を保護した貴族家が支援をした形にしておきたい。そういうことか?」
「そうだね。それに、貴族家のメンツが関わってくるから、厄介だよね」
厄介だが、筋は通る。
俺が知らないことがまだ何か隠されているようには思えるが、表面から見た狀況が整理されるだけでいいのだろう。
「メンツ?」
「面倒なことだけど、違法奴隷をリン君に押し付けたと見られるのは、狹量だと思われかねない。その為にも、違法奴隷の支援を行ったという形にしなければならない」
「わかった。支援へのお返しは、神殿の通行で優遇する。他には何か必要か?」
俺に出せるで、喜ばれる可能があるのは、神殿の通行に関する優遇処置だ。俺にも不利益にならない。もちろん、神殿にいる者たちの負擔にもならない。
「それは、嬉しい。いいよな。ハーレイ?」
「リン=フリークス。こちらとしては助かるが、いいのか?神殿はやって行けるのか?」
「あぁ。神殿の通行料で、儲けようとは思っていない」
「リン君。皆の生活があるだろう?」
生活を俺が保証しているわけではないが、ローザスやハーコムレイが心配するのも理解ができる。
それに、生活と言うのなら、神殿に作った訓練施設で・・・。
ローザスとハーコムレイに、訓練施設の説明を忘れていた。
「そうか・・・。神殿には、訓練に使える様に、魔が湧き出す場所がある」
「え?」「お!」
疑問符がハーコムレイで、喜んだ聲を出したのがローザスだ。なんとなく想像通りで嬉しい。
「そこで、魔を狩って、素材を手すれば、換金ができるだろう?それに、フィールドもいろいろあるから、採取ができる」
「採取?」
「全部は調べていないけど、鉄や銅は採掘ができる。他にも、薬草の何種類か確認している」
ダンジョンの説明をしなければならなくなった。
ローザスはなんとなく解るけど、ハーコムレイも興味を持ったようだ。
神殿が、通行するだけの場所ではなくて、都市としての役割を持っていると説明ができる狀況だ、
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