《【書籍化】左遷された無能王子は実力を隠したい~二度転生した最強賢者、今世では楽したいので手を抜いてたら、王家を追放された。今更帰ってこいと言われても遅い、領民に実力がバレて、実家に帰してくれないから…》119.第七王子は幕を引く

《ノアSide》

リスタの神の中へり、彼の説得に功した。

『ノア様!』

「ロウリィ、戻ってきたぜぇ」

月面にて、白貓姿のロウリィが、ぴょんっと飛び込んでくる。

俺の隣には、翼を失い、元のメイド姿に戻ったリスタがいる。

『リスタ、大丈夫なんすか?』

「はい! ご心配をおかけいたしました。ごめんなさい、ロウリィさん」

ロウリィがほっと安堵の息をついて、『無事で何よりっす』っていう。

ロリエモンのやつ、リスタのこと化だなんだいっておいて、これですよ。

ツンデレってやつ?

『そりゃあんただろうが……んで、リスタを回収したから、ハッピーエンド?』

そのときだった。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!!!

『つ、月が揺れてるっす!』

出すんぞ……!」

俺がふわりと浮く。

ロウリィと、黒子犬のナベリウスが俺の肩に乗っかる。

俺はリスタの腰に手を回し、月面から飛び上がる。

し距離を取ることで……俺は気づいた。

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「月が……青き星(ブルー・アース)に向かって墜ちてる!?」

『えええ!? 大変じゃあないっすか!』

『このままだと月と青き星(ブルー・アース)がぶつかって、とんでもないことになるぞ!』

チクショウ、いったいどうして月が墜ちてるんだ……?

【もういい】

リスタルテの聲がどこからかした。

『うげえ、月に人の顔が浮かんでるっす!』

『この聲……まさかリスタルテの魂が、月に宿ったってことか!?』

どうやら、ナベの言う通りだ。

俺の目には、あの月からリスタルテの魂があると、見抜いていた。

【計畫は潰えた。もはやこの星をいかしておく価値はない。よって、あの星を滅ぼし、新たに星と、あの星に住まう人間を作り直す……!!!!!!】

何つー勝手なやつだ。

ったく……。

「じ~」

「あ? んだよリスタ」

リスタが俺に期待のまなざしを向けてくる。

ちっ……。

「わーったよ、おいアニマルズ。リスタを頼む」

ろりえもんとナベが、リスタの肩に乗っかる。

リスタに衝撃が加わらないよう、やつらは結界を張った。

「んじゃ……アレをどうにかしてくる」

「はい! いってらっしゃいませ!」

リスタは、晴れやか笑顔を浮かべていた。

神世界で見せたような、暗い表の彼はもういない。

はっ、やっぱり、あのは笑ってねえとな。

ぎゅんっ、と俺は一瞬で月の前までやってくる。

月面に浮かぶのは、神リスタルテの憤怒と憎悪の表

【矮小な人間がぁあああああああああ! くたばれぇえええええええええええええええええええ!】

俺は両腕をばす。

「こいよ、神様! こんなちっけえ月くらい、俺がけ止めてやんよぉ!」

超巨大な月が、超高速で、俺に襲いかかる。

俺は両腕をばし、墜落する月をけ止める。

腕に衝撃が走る。痛え……! 腕の骨がバキバキ壊れていくのがわかる。

だが……骨はすぐに再生される。今の俺の中には、神の力が宿っている。

俺を神だと信じるあほども応援が聞こえる……!

『さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ! さーノ!』

信者の聲が神《おれ》に力を與える。

もう一方の神の名前を呼ぶは誰もいない。

次第に、月の勢いは墜ちていく。

【なぜだぁ……!? なぜ人間ごときに、神《わたくし》の力が通じぬのだぁ……!?】

「殘念だったな神様よぉ……」

ぴたり、と落下する月が、止まる。

片手で月をけ止め、もう片方の手で、握りこぶしを作る。

「神ってやつは、結局のところ、それを神だと信じるやつがいてこそなんだよ」

神がいるから人間がいるのではない。

人が、神を信じるからこそ、神が存在できる。

俺の右腕に、黃金のエネルギーが凝していく。

「おまえの敗因はただ1つだ。人間を馬鹿にしたこと」

俺は振りかぶった拳を、思い切り突き出す。

「人間……なめてんじゃねぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」

ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

突き出した黃金のエネルギーは、巨大な月を吹っ飛ばす。

月を破壊することは、ない。ただ、宇宙の彼方へと吹っ飛ばしただけだ。

【いやだ……いやだぁ……! わたしは……死にたい! 死なせてください! おねがいしまぁすぅううううううううううううううう!】

「いやだね、馬鹿。永久に宇宙を一人さまよってやがれ」

ぎゅぅうん! と恐ろしい速度で、リスタルテを宿した月が、どこかへと飛んでいった。

あとには俺が殘る。

「さてっと」

ぱちんっ、と指をならす。

新しい月を用意して……うん、これで終わりだ。

「『『ノア様ぁあああああああああああああああ!』』」

そこへ、リスタ、ロウリィ、ナベのやつが、こっちへと飛んでくる。

ばっ、と全員が俺にだきついてきた。

「あの生意気神、ぶっとばしてやったぜ」

「はい! 見てました!」

あー……なんだ、あれだな。

『どしたんすか~? んんぅ~?』

しいものがあるならいえよぉう』

ニタニタするアニマルズ。

ええい、うっざいどもだ。

「うぉっほん。あー……リスタ君。何か、足りないんじゃあないかい?」

リスタは一瞬首をかしげたものの、我が意を得たとばかりにうなずいて……言う。

「最高神すら、倒してしまうなんて……すごいです! さすが……ノア様です!」

ああ……くそ。認めざるを得ないな。

俺は……このさノって言葉に、どこか……心地よさを覚えるようになっちまった。

「帰るか、おまえら」

「『『はい!』』」

ロウリィが竜の姿になる。

俺たちはロウリィの背中に乗って、地上へと降りていく。

大気圏を抜けて、地上が見えてくると。

「「「のあさまああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」」」

この星を揺らすほどの、大きな聲で、帝國民どもが俺の名前を呼んでいる。

みんな笑顔で、俺を出迎えてくれた。

「ノアさまー!」「おかえりだぞー!」「よくぞ倒した、我が眷屬!」

「さすがでございますノア様!」「ノアぁ……! やるじゃあねえかぁ!」

「のあどのぉ!」「のあどのぉ!」「のあさまぁあああああああああああああ!」

今まで俺が出會って、関わってきた連中がみんな、笑っている。

俺は、はぁ……とため息をらしてしまう。

「まーったく、帰ってきちまったぜえ。帰る気なんて、全然なかったんだがよぉ……」

俺が地上へと到著する。

帝國の民どもが、今までに無い笑顔で俺に言う。

「「「「さすがですノア様……!!!!!!!!!!!」」」

「いやそこは、お帰りなさいだろ……ってくよぉ……! 帰ってきたぜぇ、馬鹿野郎どもぉ!」

「「「わーーーーーーーーーーーーー!」」」

かくして、神リスタルテが騒は無事、収束したのだった。

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