《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》

「センパイ……本當だったんですね。ミハイルくんとの関係……」

と俺の隣りを指さすひなた。

パンパンに腫れた顔で、靜かに話すから恐怖をじる。

ただならぬ気配をじたのか、ミハイルが俺の背中に隠れてしまった。

「なんか、今日のひなた。怖いよ……」

そりゃそうだろな。

俺がんだの告白は、博多中に響き渡った。

福岡市に留まらず、インターネットを通じて日本中に……いや、世界中でバズっているらしい。

赤坂 ひなたというサブヒロインは、俺が一ツ橋高校へ學したと同時に、登場した現役の子高生だ。

んな場所で、たくさん取材してくれた。

時にはキスする寸前まで至った関係……。

好意をじていないと言えば、噓になる。

「なあ、ひなた。ちょっと話をしないか?」

「はい……私も、センパイと二人で話がしたかったんです」

こんなに憔悴しきったひなたは、初めて見た。

だが優しくしてはダメだ。ミハイルのために。

ピーチと別れて、ひなたと二人きりになれる場所を探す。

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思いつくのは人気のない3階だ。

休日だから、三ツ橋高校の生徒はいない。

誰もいない教室にって、ゆっくり話してもいいが。

ミハイルが後ろから、こっそりとこちらを眺めているので、廊下で話すことにした。

「ひなた……その、もう畫は見たんだよな?」

「はい、見ました。アップロードされてから、何度も何度も見ています。あんなに男らしい新宮センパイは、初めてだと思いました。でも、フラッシュモブよりダサいともじました。相手に斷られたら、地獄絵図だなって」

なんか、めっちゃディスってない!?

人生最大の告白を……。

「そ、そうか。なら話は早い……俺はアンナ、いやミハイルと一生を共にすることを選んだ。だから、もうこれ以上、ひなたと取材できない。今まで書いていたラブコメも、打ち切りになってしまったし」

「わかってます……そこまで言わなくても」

「え?」

瞼が腫れているから、瞳は確認できないが。

ポロポロと涙を流している。

「信じたくなかった! 新宮センパイが、ゲイだなんて!」

ん? どういうことだ?

の話し方からすると、俺がノンケじゃないとづいていたのか。

「ひなた。一なにを言って……」

「最初から全部知ってましたよっ! 新宮センパイがミハイルくんに夢中だってこと!」

ファッ!?

「ま、待て。ひなた……ミハイルじゃなくて、役のアンナだろ?」

「そんなウソは、すぐにバレてますっ!」

「えぇ……」

「私だって、最初は信じられなかった。センパイにアンナちゃんっていう、可の子が現れて。確かに寫真を見た時は、ミハイルくんのいとこだと勘違いしましたよ? でも実際に會ったら、どう考えても男でしたよっ!」

アンナちゃんという設定。

最初から正がバレていたようです……。

「じゃあ、なぜ……の子のアンナとして、接してくれたんだ?」

「だって……かわいそうだなって、思ったからですよ。それに今の世の中、LGBTQとか々あるじゃないですか? 新宮センパイだって、未経験の男子だから。一過の気持ちだと思ってました」

全部、見かされていた!

超恥ずかしい!

「そ、それなのに、どうして俺のことを?」

「だって! 私だってセンパイを想う、気持ちは本だからですよ! 初めての子として優しく扱ってくれて、好きだって思ったんです! 負けたくなかった……」

「悪い、ひなた。傷つけてしまって」

頭を下げる余裕も無かった。

ずっと泣き続ける彼を見ていたら……。

10分以上は経っただろうか?

ようやく涙が枯れてきた頃、俺はあることを思い出した。

リュックサックから、大きな紙袋を取り出し、ひなたに差し出す。

「そ、その……今までありがとう、ひなた。お前がんな所へ取材に連れて行ってくれたから。良い作品に仕上がったんだと思う。報酬……というか、気持ちだ。これをけ取ってくれないか?」

そう言って、彼に紙袋を手渡す。

膨れ上がった目だから、ちゃんと瞼が開いているか分からないが。

じーっと紙袋の中を見ているようだ。

「……なんです、これ?」

「あ、あの……俺の好きなお菓子だ。博多銘菓『白うさぎ』だよ」

「それはわかってます。私が聞いているのは、もう一つの方。パパが経営している『赤坂饅頭』が3つもってるんですけど?」

「いっ!?」

ヤベッ!

ひなたパパから貰った現金300萬円も、一緒に紙袋の中にってた……。

「箱の中にお金が見えるんですけど。これも私への報酬ですか?」

「ち、違うぞ! それはひなたのパパさんが、前に俺へくれたんだ……仲良くしてくれって。だから返そうと」

「つまり、パパがセンパイを、お金で買おうとしたってことですか?」

「まあ……親だから、ひなたに何かをしたかったんじゃないか」

「最低っ!」

重たい空気が流れる。

どう、別れを告げたらいいものか……と困っていたら。

沈黙を破ったのは、ひなただった。

「報酬って……そんなのいらないです。私がしかったのは、新宮センパイだけでしたから」

「悪いがそれは無理だ……。でもひなたなら、きっといい人がすぐ見つかると思うぞ? 可いし、が好きだろ? ちょっとガサツな所もあるが、ショートカットも似合ってるし……」

と喋っている途中で、急にひなたが距離を詰めて、俺をじっと見つめる。

「ひなた?」

「センパイ……最後まで口が悪いですね」

気がつけば、俺の視線は窓の向こうだ。

青い空が見える。キレイだなぁとしている場合ではない。

なぜなら、頬に激痛が走っているからだ。

咄嗟に左手で押さえると、熱をじる。

相変わらず、素早いビンタ。

ひなたとの出會いも、これが始まりだった。

何かと彼は、俺の頬を叩く人間……。

視線を戻すとひなたが、涙を浮かべてんでいた。

「そんなに報酬をあげたいなら、これぐらい準備してくださいよっ!」

「え?」

何を思ったのか、ひなたは俺のTシャツの首元を摑んで、引っ張る。

一瞬、バランスを崩して、倒れそうになったが……。

がそうさせなかった。

小さなで、俺をキャッチしたから。

叩いてない頬に、ひなたがキッスしたのだ。

「……え?」

「もう、これでおしまいです! いいでしょ? 思い出なんだから!」

「あ、その……」

「さよならっ! ミハイルくんとお幸せに!」

そう言うと、彼は背中を向けて走り去って行く。

「これで良かったのか……あっ!」

足元に殘された、紙袋に気がつく。

ひなたのやつ、お菓子と現金を忘れてやがる。

今からでも追いかけようと、紙袋を手に持つと、足音が近づいてきた。

「あのっ! そのお金はご祝儀なんで、お二人の結婚に使ってください! どうせパパはあげるつもりでしたからっ! それじゃ!」

「えぇ……」

マジで貰っていいのか?

一人、廊下に取り殘された俺は、放心狀態に陥っていた。

の子をあんなになるまで、傷つけてしまった……と後悔している。

それならもっと早くに、ミハイルを選べば良かった。

と考えているうちに、その本人がご登場。

顔を真っ赤にして、涙を浮かべている。

「タクトぉ~! やっぱり、優しくしたじゃん! ほっぺチューぐらい避けてよ!」

うわっ、めっちゃ怒ってる。

どうしよう……。

「いや、ひなたも泣いてたしさ。これぐらいなら……良いかなって」

「良くない! すぐにタクトの汚れを落としてやるっ!」

したミハイルは、俺でも手がつけられない。

馬鹿力で俺を床に押し倒し、馬乗りになると……。

「オレがキスマークつけて、タクトのほっぺをキレイにするんだ!」

び、ひなたがキスした頬に、自の小さなを押しつける。

確か年末もマリアにされたからと、アンナモードで同じことを試みていたが……。

は一緒だ。

「ちゅっ、んちゅ……ちゅっ! あれ? つかない」

今までの俺だったら、このまま彼が満足するまで黙って我慢していただろう。

しかし、一度『あの味』を知った男ならば、もう理を保っていらない。

「ミハイル。悪いが、そこからどいてくれ……」

「なんでっ!? 逃げる気なの? オレ、怒ってるんだよ!」

「いや……逃げる気など無い。逆に俺の方がキスしたくてたまらないんだ」

どストレートな告白に、顔を真っ赤にするミハイル。

「なっ!?」

力が緩んだことを確認すると、すぐさま立ち上がり、彼をお姫様抱っこする。

そして、近くにあった誰もいない教室へとって、ドアの鍵をかける。

互いの長差を考慮して、教室の後ろにある棚の上にミハイルを座らせると。

彼の両手を背後の黒板に叩きつけ、強引にを奪う。

「んんっ……」

その後、理を取り戻したのは、一時間目が終了するチャイムの音を聞いた頃だ。

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