「今のこの世界の狀況についてはわかったよ……で、さっきの條件っていうのは何なんだ？」

『この二つの世界は、ある仕組みによって繋がれています』

二つの世界は一本の糸のような者でつながっていると、ラファエルは説明をする。

その繋がりは壊れやすく、今でも不安定な狀態だという。その上に二つの世界がそれぞれが保有する資源を奪い合うことにより、その繋がりも途切れてしまう可能もあるということだった。

『ですから……このつながりの部分が、安定した時期であればあちらの世界へと行くことは可能です』

「ねぇ……ラファエルさん。もし……もしも、その繋がりが壊れてしまった場合には、どうなるんですか？」

『”このようになる”……ということは、はっきりと申し上げることは出來ませんが、考えられることとしては……世界が崩壊してしまうかと』

「それは……さっきの”呼吸”の話しと繋がってるのですか？」

ハルナの質問に、ラファエルは肯定の意を示した。

『まず、この二つの世界は本來ではありえない狀況のようです。それはあの盾の創造者様が、本來の世界を救うために準備された能力でした。オスロガルムが崩壊したことにより、この世界の容量を超える資源が一気に解放されました。それを剣の創造者は、もう一つの世界を創ることによって崩壊を回避させました。その時にその世界の報をこの世界を基に複製させたため、”繋がり”から大量に送っていったのです』

サヤは、何かどこかで聞いたような構造をしているとじているが、全く何の話をしているのかわからないエレーナやステイビルは、本當は人間が知ってはいけない報を、ただただラファエルの言葉を聞き逃さないようにしているだけだった。

『その時つくられた繋がりの強度は、あらかじめ予測していた通りだったのでしょう。世界の複製に関しては何の問題もなかったのですが、それ以降にとった行によって問題が起きていました』

「もしかして、それはこの世界を”行き來”したってことか？」

『はい。ハルナ様とサヤ様、それと一緒に行していた二人の創造者……それらが保有している資源の量は複製したとき以上の量がやり取りされていました』

「それで……壊れかけたってことなの？」

ハルナは自分が行ってきた行が、どちらの世界も危うい狀況にしてしまったことに、無知な行によって起こした罪の重さに押しつぶされそうになっていた。

「……そんな顔をすんなって、結局アタシたちが何もしなかったら、あの盾のやつに消されてたんだ。今の狀況は、その問題となる存在を排除できた行の結果なんだ。まずは”それはよくやった”と褒められることだろ？それはアンタ一人じゃできなかったんだから、協力したアタシにも責任があるんだろうよ。だから、アンタ一人がそんなことで潰される必要はないんだよ」

「サヤちゃん……ありがとう」

ハルナは、サヤの言葉に救われた気がした。

本當はハルナの方がサヤを救いたいと思っていたが、これまでのことも含めてサヤには隨分と助けられていた。

だが、”いまはそのことは考えるべきではない”と、ハルナは再びラファエルの顔をみた。