《乙ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?》最終話 新たな乙ゲームの幕開け
新生の學式。
新生徒會會長のニコラスに続き、副會長のエドワード殿下が挨拶する。
その最中に、壇上へする者がいた。
第二王子アレクサンダー、その婚約者アンジェリカ、隣國の王子ヤマト。
そして――
「アレク。お腹空いた」
「これでも食ってな、リオ。ちゃんと働けばもっとやるぜ」
「ありがと、アレク。……もぐもぐ」
彼はアレクサンダーの隣に立つと、貰ったクッキーを食べ始めた。
その男子生徒――リオという名前を聞いて、ようやく記憶が蘇った。
ニコラス、アレクサンダー、アンジェリカ、ヤマト、リオ。
それらのピースが繋がったのだ。
そして、私は腰を抜かしそうになる。
(も、もしかして……!?)
いや……間違いない!
彼は――彼らは攻略対象だ!
(『ドララ』の続編……『ドララ2』! その存在を忘れていたわ……!!)
彼らは乙ゲーム『の學園ファンタジー ~ドキドキ・ラブリー・ラブ~』の続編に登場する人達だ。
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俺様キャラの第二王子アレクサンダー。
その婚約者にして、悪役令嬢のアンジェリカ。
隣國の王子にして、剣豪でもあるヤマト。
食いしん坊にして、実は竜族の末裔であるリオ。
この四人の超問題児達が、新生にもかかわらず生徒會を立ち上げようとして王立學園をかきすのだ。
それを迎え撃つのは、新キャラの生徒會長ニコラス。
さらには、前作の攻略対象だったエドワード副會長らも參戦する。
「は、ははっ!」
これは面白いかもしれない。
続編の『ドララ2』では、イザベラの出る幕はない。
前作で死亡しているからだ。
この世界がゲームに基づいて進行するなら、この騒にイザベラは関係ないのである。
今までの私は苦労しっぱなしだったけど、今度は悠々と高みの見をさせてもらおうかしら。
「ふはははは! 愚弟のアレクサンダーよ! それなりの人材を集めたようだが、お前の野が葉うことはない!」
「なにぃ!? どういうことだ、エドワード兄貴!!」
「この學園には、誰もが認める絶対強者がいるからだ! 學園の覇者たる彼がいる限り、お前ら一年が出る幕はないぞ!!」」
「なんだと!? そんな橫暴が通るか!」
「ほう……。では第二王子アレクサンダーよ、彼と勝負するか? お前も噂ぐらいは知っているのだろう?」
エドワード殿下が挑発的な笑みを浮かべる。
第一王子として、生徒會副會長として、実に堂々とした態度だ。
でも、自分じゃなくて『彼』と勝負するの?
彼って誰?
「上等だ! まずは、そのの化けの皮を剝いでやるぜ!!」
「え……、私!?」
エドワード殿下と第二王子のアレクシスが私に熱い視線を向けている。
なんでこうなるんだ!?
「っしゃおらあああぁっ! お前ら、俺様に続けぇ!!」
「おーっほほほ! わたくしの雷魔法をお見せしますわ! ――【ライトニング】!!」
「早速、學園の覇者と手合わせが出來るとは……。儂の剣技を見せてやろう! 【抜刀・居合――」
「……勝ったらまたお菓子くれるんだよね? の子1人ぐらい、適當に倒しちゃおっと……」
アレクサンダー、アンジェリカ、ヤマト、リオがそれぞれ一瞬にして戦闘態勢にる。
そして、私に襲い掛かってきた。
「ああっ! イザベラ様が……」
「姉上に襲いかかるとは……! 危ないですよ!!」
「危険だ! 逃げろーー!!」
「再起不能になってしまいますよ!!」
アリシアさん、フレッド、カイン、オスカーが必死に聲を上げる。
けれど、もう遅い。
もう既にアレクサンダーは壇上に上がってきていて、私の目の前にまで迫っていた。
「ふはは! 俺様が、お前を倒し――ごへっ!」
「ぐはっ!」
「おごっ!」
「あべしっ……!」
襲撃者が一斉に崩れ落ちる。
私は冷や汗を掻きながらも、なんとか余裕の笑みで微笑んだ。
「ふふふ……。今年の新生は、元気があってよろしいですわ」
「か、彼らにいったい、何が起きた……?」
「どういうことだ……?」
「あ、あれが噂に聞くイザベラさんの実力か……」
「実際に見るのは初めてですわ……」
新生達がざわめく。
在校生達も、ポカンとした顔をしていた。
……いや、エドワード殿下は何故かドヤ顔をしているんだけど、どういうこと?
あー、手伝ってほしいって言ってたのは、まさかこのことなの?
騒が起きることを予想していたのか……。
「やはりこうなりましたか……」
「新生が姉上を襲うなんて……。人間がドラゴンに挑むようなものです」
「危険極まりねぇぜ。逃げろって言ったのによぉ」
「優秀な新生のようでした。覇者たるイザベラ殿に慘敗して、再起不能になっていないといいのですが……」
アリシアさん、フレッド、カイン、オスカーがそんなことを口にしている。
私の心配はしてくれないのか……。
まぁ、今さら私が新生に負けたりしないことは事実だけど。
「はーっはっはっは! これが學年の覇者にして、俺の婚約者であるイザベラの実力だ!!」
エドワード殿下が高らかに笑う。
彼も、私が負けるとは微塵も思っていなかったようだ。
……また勝手に婚約者がどうとか言ってるけど。
(うーん……これは後でお説教が必要だね)
この騒を巻き起こしたアレクサンダー達、そして面倒事を押し付けてきたエドワード殿下。
私は彼らに、どうやってお説教するか考え始める。
私の波萬丈な學園ライフはまだまだこれからね!
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