《やり込んだ乙ゲームの悪役モブですが、斷罪は嫌なので真っ當に生きます【書籍大好評発売中&コミカライズ進行中】》リッドの怒り
「・・・・・・ライナー様からは以上です。それから、最悪のことを想定して、明日にはバルディア領に向けて帝都を立つとのことです」
「わかった。こっちも何かあれば、すぐに連絡するよ」
通信が終わると、傍にあった椅子に力なく腰掛け項垂れる。
なんてことだ。
まさか、過去の親書と照らし合わせて検品したラヴレス公爵家の親書が偽とは、想像もしていなかった。
類似品を何者かが製作したのか? いや、その可能は低い。
カペラが行った検品には、僕も立ち會ったけど、過去の親書と今回の親書は、も筆跡も全く同じだった・・・・・・ということは、ラヴレス公爵家が黒幕。
もしくは、『獅子中の蟲』。
裏切り者か敵の工作員が公爵家の部にいるということだろう。
「あの、リッド様。よろしいでしょうか?」
ビスケットが恐しながら、恐る恐る聲を発した。
「え? あぁ、ごめん。し考え事をね。どうしたの?」
「いえ、あの、本當に申し訳ございませんでした」
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彼は心底後悔した表で、再び土下座した。
「ビスケット、顔を上げて。そんなことをしても解決にはならないよ。それに、今回の件はメルが言い出したことなんでしょ?」
優しく聞き返すと、彼はくしゃくしゃになった顔をあげた。
「そ、それはそうですが、私と黒貓さんが折れて協力しなければこんなことには・・・・・・」
「ありがとう、ビスケット。メルを大事に思ってくれているんだね。その気持ちを大切にしてほしい。でも、今はそれより、君にしてもらいたいことがある」
「はえ?」
首を傾げる彼を、真剣な眼差しで見つめる。
「ビスケット。君は事態が落ち著くまで、メルに変。もう暫くこの部屋にいてほしい。下手な混は避けたいからね」
「わ、わかりました!」
彼の返事を聞くと、僕はダナエに振り向いた。
「ダナエ。混を避けるためにも、今の話はで他言無用だよ。メルは、調不良で休んでいる。それで通すんだ。いいね?」
メルが不在の事実は、此処に居る僕達と父上達しか知らないことだ。
今の狀況で屋敷の皆に伝えれば、無意味な混を招くことになる。
ただ、本屋敷の執事を任されているガルンには、伝えておくべきだろう。
「・・・・・・承知しました。ですが、その、ナナリー様には如何しましょう?」
「母上には、僕と父上で話し合って伝える時期を決めるよ。それに、メル達が無事に帰ってくれば済む話だからね」
「畏まりました」
ダナエとビスケットは、揃って頭を下げたその時、「リッド様、敵襲です! 応答・・・・・・至急応答願います!」と切羽詰まったセルビアの聲が信機から発せられた。
部屋が張に包まれ、僕はすぐさま通信魔法を発する。
「・・・・・・⁉ セルビア、どうしたの!」
「リッド様、襲撃です! 所屬不明の敵に襲撃されました!」
「な・・・・・・⁉」
「今、クリス様やエマさんが防戦していますが、多分、工房の襲撃犯と同じ奴らです! 至急、応援を・・・・・・きゃああああああ⁉」
「セルビア⁉ どうしたの、セルビア!」
悲鳴が信機から聞こえ、こちらから聲を掛け続けるが返答はない。
恐れていたことが、現実となった。
最初にセルビアと通信した時、メルを探すため、クリス達は木炭車を止めたはずだ。
おそらく、そこを襲撃されたのだろう。
僕の中に凄まじい怒りが後悔。
様々なが駆け巡り、やがて、何かが切れた。
その瞬間、自分でも驚く程に頭が冴えていき、すべきことが明確になっていく。
まずは、ガルンと報共有をして、宿舎にいるカペラに指示を出す。
父上は、連絡しても帝都にいてけない。
第二騎士団の宿舎に著いてから連攜を取るため、改めて連絡をすれば良い。
それよりもまずは・・・・・・。
「り、リッド様・・・・・・大丈夫ですか?」
考えを巡らせている中、聞こえてきたダナエの聲に「うん」と頷いた。
「・・・・・・二人は、さっき僕が言った通りにお願い。後は、こっちで対処する。わかったね?」
「は、はい」
ダナエとビスケットに微笑みかけると、メルの部屋を後にした。
グランドーク家、度し難い奴らだ。
◇
平靜を裝い、普段通りの足取りで廊下を進みながら通信魔法を発。
報局のサルビアを介して、カペラにクリスティ商會の馬車が襲撃されたこと伝え、至急、第二騎士団による救援部隊の編指示を出した。
食堂に著くと、ファラが席に著いていた。
どうやら、僕とメルを待ってくれていたらしい。
でも、彼と話す前に先にすべきことがある。
「ディアナ。悪いけど、今すぐガルンを執務室に呼んできてほしい」
控えていた彼は、「・・・・・・畏まりました」と頷き食堂を後にする。
「ファラ、ごめん。君も執務室に來てくれないかな? し大事な話があるんだ」
「わかりました」
その後、ファラと執務室に移した。
本來、父上が使う部屋だけど、今は不在なので僕とガルンだけが出りを許されている。
アスナと執務室にやってきたファラは、心配そうに僕を見つめ、「あの、リッド様。何かありましたか?」と呟いた。
「何だか、とても怒っておられるようですが・・・・・・」
「うん、そうだね。でも、その理由は、ガルンとディアナがやって來たら話すよ」
そう答えた時、扉が丁寧に優しく叩かれた。
「リッド様。ガルンとディアナです。ってもよろしいでしょうか?」
聲の主はガルンだ。
「うん。二人とも、ってきて」
ガルンとディアナが室して扉が閉まったことを確認すると、僕は口火を切った。
「帝都に向かったクリス達が襲撃された」
「・・・・・・⁉」
「そ、そんな⁉」
皆が目を丸くするが、僕は淡々と続ける。
「襲撃犯は、前回と同じグランドーク家の息のかかった奴らだろう。現地のセルビアから、通信魔法で報告があったから間違いない。そして、クリス達の荷臺には、帝都に行こうとしたメルも忍び込んでいた」
「な・・・・・・⁉」
驚愕の事実が続くことで、皆は唖然とする。
「よって、これよりバルディアは、グランドーク家を仮想敵國とし、クリス達とメルの救出作戦を開始する」
この一件で、グランドーク家とバルディア家の敵対は事実上、決定的となった。
まさか、ラヴレス公爵家を巻き込む。
つまり、帝國を敵に回すようなことまでして、クリスティ商會を狙ってくるとはね。
良いだろう、そこまでするなら、こちらもそれ相応の対応をするまでだ。
もう、謝っても絶対に許さない。
しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、
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