《聖が來るから君をすることはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖が5歳?なぜか陛下の態度も変わってません?【書籍化&コミカライズ決定】》第103話 許しませんわ

結局、リリアンは私の嘆願により、しばらくは大神殿預かりとなった。ホートリー大神が「責任をもって見張りますぞ!」と張り切っていたので、多分大丈夫だと思う。

けれど、部屋に戻るなり――。

「エデリーン、本當にすまなかった!!!」

「きゃあっ!?」

ユーリ様が、私を抱きしめてきたのよ!

「だだっ、大丈夫ですわ! こうしてユーリ様が助けてくださいましたし、それにをかけられていたのは、ユーリ様だけじゃないのでしょう?」

ハロルドも、各地に現れていた謎の護衛騎士も、その他たくさんの人たちも、皆、リリアンの魅了にかかっていたのだと、先ほどホートリー大神が説明してくれたの。……あ、でもマクシミリアンは別よ? 彼は彼で、しっかり牢獄にぶち込まれたわ。

ホートリー大神はリリアンがサキュバスであることを見抜いていたから、この間すごく謝っていたのね。

「それに……」

言って、私はふふっと笑った。

これはリリアンの自供なのだけれど、どうやらユーリ様には何度やっても魅了がかからなくて、仕方なく幻というを使ったのですって。

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リリアンを私の姿に見せる幻を使って初めてユーリ様を墮とせたということは……。

「つまり、ユーリ様はずっとリリアンを私だと思って、でれでれにやにやしていたということですわよね?」

私が聞くと、ユーリ様はぐっと言葉を詰まらせた。

「す、すまない……! にかかってしまった自分が、心底けない……!」

ふふっ、とまた私は笑った。

実は、それに関してもリリアンが言っていた。

何度かユーリ様が私じゃないと見破ってしまったから、をかけ直すはめになっていたと。そのせいでユーリ様は発作を起こしていたのだと。

「許しませんわ」

私はにっこりと言った。それを聞いたユーリ様ががくりとうなだれる。

「そう……だよな……」

そんなユーリ様の顔に、私はそっと両手でれた。

「私、あなたがリリアンといちゃいちゃしてとっても傷つきました。だから――私とはもっと、いちゃいちゃしてくださいませ?」

「エデリーン……!?」

その瞬間、ユーリ様の顔がぼんっと赤くなり、かと思うとガバッと抱きしめられた。

「きゃっ」

「エデリーン! もうだめだ、我慢できない。今こそ言わせてくれ!」

「えっ」

「私は、君をしている!」

「なっ!?」

急に何をおっしゃいますの!? 部屋の中に一どれだけの人がいると思って!?

あわててまわりを見ると、雙子騎士や三侍たちが、これみよがしに視線をそらしている。ただし、ソファに座ったアイはじぃーっと私たちを見ていた。

「勇気が出なくて、伝えるのが遅くなってしまった。そのせいで君をつらい目にあわせたと思う……! だから私はもうためらわない。何度だって言うぞ。エデリーン、君が好きだ! 私と結婚してくれ!」

「こ、こういう時はためらってくださいませ! それにもう結婚していますわよ!」

ユーリ様の言葉に、私の顔までどんどん赤くなっていく。視界の端で、みんながこそこそと退出していくのが見えた。でもアイは、まだじぃーっとこちらを見ている。

「エデリーン。君はどうなんだ? 私との結婚に、後悔はないか? 私はこのまま、君の夫を名乗ってもいいのか?」

ユーリ様の顔は、いつになく切羽詰まり、真剣だった。

深い青の瞳がゆらゆら、ゆらゆらと切なげにっていて、それはどきりとするほどっぽい。

暴れる心臓が気恥ずかしくて、私はパッと顔を逸らした。

「い、嫌だったら、さっきみたいな言葉は口にしていませんわ……!」

もごもごと答えれば、聲まで潤み始めたユーリ様が言った。

「エデリーン……!」

それからそっと、ユーリ様の武骨な指が、私の顎に添えられる。

そのままくいっと顎を持ち上げられる覚がして私は焦った。

もしかして!?

「ま、まってくださいませ、その、アイが……」

言いながら、ちら、とアイに視線を送り――私は目を丸くした。

「にゃあん」

ご機嫌なショコラの聲が聞こえたかと思ったら、なんと、ショコラが黒くて丸いおててで、アイを後ろから目隠ししていたのよ。

「ねえ、しょこら。なんでみちゃだめなの?」

両目をショコラのもふもふおててに隠されたアイは、不満そうだ。

「にゃあん」

ふたりはまるで、會話をわしているよう。

……というかショコラ、どう見ても普通の貓じゃないわよね? 普通の貓、あんなことしないわよね?

そこで私はふと気づいた。さっき、リリアンが『貓じゃあるまいし』って言ってたのって、もしかして……?

……でもまあ、いっか。

だって、ショコラもアイの大事なお友達なんだもの。深く考えないようにしましょう。

「ありがとう、ショコラ」

「にゃあん」

私が言うと、ショコラがまたご機嫌で鳴いた。

「エデリーン……」

目の前ではユーリ様が、潤んだ瞳で私を見つめている。

そこに浮かぶのは、とてつもないほどの気で。

うっ、ゆ、ユーリ様、本當、こういう時にだけ、毎回すごすぎないかしら……!?

心臓が、早鐘のように打っている。

私は覚悟を決めると、ぎゅっと目をつぶった。

私のに、やわらかなが押し付けられたのは、その直後のことだった。

<第2部完>

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というわけで、第2部が完結いたしました!!!

皆様ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

今回は本當に最後までユーリがへたれで不憫なじでしたが(汗)、主様編完結となる第3部ではきっとカッコイイところを見せてくれると……期待………………していいのかな………………。

……。

期待して待ちましょう!(本當に?)

現在第3部(第3巻)は鋭意制作中ですので、また連載再開した際にはぜひお付き合いいただけると嬉しいです!そしてお待ちかねの"アレ"も絶賛進行中なので……!(私が言えるのはここまで)

書籍版である単行本の方には、とても短いですがわりかし重要なユーリとエデリーンの書き下ろし掌編&リリアンのその後についてもれているので、気になった方はよかったらぜひ!

それではまた第3部でお會いしましょう~!

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