Aが述べる。

「一人一殺ね。面白いは、し見ていてあげましょうか」

言うとAはエクトプラズムでソファーを作り出して優雅に腰かけた。観戦するつもりのようだ。

グレーターデーモンの一は兇子に木刀で弾かれ家のなかに突っ込み姿を隠していた。殘る四の、アンを毆り飛ばしたグレーターデーモンが三階のを見上げている。

「ならば我は、あのドラゴン娘を殺して魂を奪いましょうぞ」

グレーターデーモンの口調からして、人間のリボン娘に変化しているアンの正がドラゴンだと悟っている様子だった。見かけだけでは騙されない確かな眼力を持ち合わせている。

それに、相手がドラゴンだと悟っていてもグレーターデーモンは臆していない。ドラゴン相手に堂々と戦おうとしている。

そして、三階のに向かって跳躍した。そのまま室にグレーターデーモンが消える。

それを見ていた兇子が歩き出した。

「じゃあ、私はあいつを追うわね」

兇子は木刀を肩に背負いながらグレーターデーモンを突き飛ばして出來たにって行く。

殘り三のグレーターデーモンが前に歩み出た。

「では、我々は、この三人をお相手いたしましょうぞ」

「このような人里で、珍しい組み合わせですな」

「魔人にドラゴンが二も居ましたし、それにこちらの姫君は神か天使か……。どちらにしろ人で有らず」

グレーターデーモンたちは悟っている。これから自分たちが相手にする存在たちが、人間で無いことを──。知っているのだ。じ取っているのだ。相手が、魔人、ドラゴン、それ以上の存在だと言うことを──。

コキコキコキコキ……。

グレーターデーモンの一匹が首間接を鳴らしながら瞳を赤くらせながら言った。

「中が上位種族でも外見がでは、悪魔とて気が引ける。出來れば正を表してもらえませんか。このままでは待として、いわれの無い侮辱をけてしまう」

姿のテイアーがけ答える。

『すまぬが、これは現在私の実年齢のりだ。神年齢は數千歳だが、若返りのではと化している。これはまやかしの類いではないので、りは戻せぬぞ』

「噓偽りではないようですね。ならばお隣の婦人は？」

ガイアが眠たそうな眼でグレーターデーモンを見上げながら述べる。

「ガイアは力を封印されているのだ。だから、今はこれが素の姿なのだ」

グレーターデーモンのから黒いオーラが揺らぎ出る。

「それは殘念だ。ならば、待の汚名は甘んじよう」

グレーターデーモンの一が両手を前に突き出すと二つの魔法陣を空中に渦巻かせる。

「ダブルナパームボールで消し炭にしてくれるぞ！」

グレーターデーモンの前の魔法陣から炎が揺らぎ出ていた。それを見たメタルキャリアがガイアとテイアーの繋いだ手を離す。

「それじゃあ、ガイアちゃん、テイアーちゃん。おじさん、ちょっと行ってくるわー」

「『行ってら～」』

二人が手を振った。するとフルプレートを纏った魔人が前に跳ねる。

重々しい跳躍だった。

「來るか魔人。焼き払ってやるぞ！！」

グレーターデーモンが両手から魔法を放った。二つの火球が放たれメタルキャリアに直撃すると大発する。周囲が灼熱の炎に包まれた。

「危ないっ！！」

咄嗟にゾディアックがマジックバリアーで魔法使いたちを包んだ。ドーム型の見えない壁が炎を妨げる。

「散れっ！！」

マッチョエルフたちも炎から逃れるためにバラバラに飛んだ。

炎はメタルキャリアを包むどころかガイアやテイアーまで包み込む。そして、次の瞬間であった。炎が一時停止を掛けた映像のように止まる。更なる次の瞬間には巻き戻された畫像のように炎がみだした。

何故に炎がみだしたのか？

それは、グレーターデーモンが炎を口の中に吸い込んでいるのだ。巻き戻る炎からガイアとテイアーの姿が現れる。その姿は無傷。著ている洋服すら燃えていない。

そして、みだした炎の中からメタルキャリアが飛び出て來る。

「その程度の火力じゃあ、彼たち二人どころか俺すら焼けないぞ」

「ほう、燃えぬか」

「それっ！！」

メタルキャリアのジャンピングパンチがグレーターデーモンの顔面にった。グレーターデーモンが鼻を散らしながら仰け反る。しかし、メタルキャリアが著地するのと同時にグレーターデーモンは勢を戻した。

そして、反撃。

グレーターデーモンは打ち下ろしのフックをメタルキャリアの頭に叩き付けた。

脳天に拳がヒット。

ガキーーンっと金屬音が響くとメタルキャリアの被っていたヘルムが一撃で砕された。メタルキャリアが前のめりによろめくとバラバラになったヘルムの下から麻袋を被った頭が出て來る。

「ほほう、焼かれても燃えない上に、毆られても砕けないか、魔人。普通なら頭が陥沒して首が折れているぞ」

「防力には自信が有ってね！」

不意を付いたメタルキャリアの左フック。だが、グレーターデーモンはスェーバックで容易く躱しながら述べる。

「しかし、スピードは遅いな」

「悪魔さんよ、短所が有るから長所が輝くんだぜ！」

フック、ストレート、更にソバット。連続してメタルキャリアが攻撃を繰り出すがグレーターデーモンはヒラヒラと蝶のように舞って攻撃を躱す。

「魔人にしては、スピードが無さすぎる！」

そして、蜂のように刺す。

グレーターデーモンがメタルキャリアの攻撃の隙間を付いてカウンターのジャブを打ち込んだ。フラッシュのような速い突き拳がメタルキャリアの顔面を取らえる。

剎那、ボギリッと砕音が轟いた。

砕けた。骨が砕けた音だ、

メタルキャリアの頭部がグラリと揺れる。だが、倒れない。

「まさに鋼鉄だな……」

グレーターデーモンが自分の拳を見ながら呟いた。その拳の指が二本折れていた。人差し指と中指が、第二間接のところから砕されて、骨が皮を突き破って剝き出しになっていた。ダラダラとが流れ落ちている。

「毆られたほうが無傷で、毆ったほうが負傷するとは……」

「だから言っただろう。短所が有るから長所が輝くってさ～」

「ならば──」

グレーターデーモンの砕けた拳が形を変える。鋭利と尖り、しくびた。手首から先が銀のソードと化す。

「ならば、こちらも鋼となればよい話だ。この手刀は良く切れるぞ！」

「度の勝負、拳と鎧は、鎧の勝ち。今度は剣と鎧の勝負かい。面白いね～」

「斬り刻んでやる！！」

「へし折ってやる！！」

グレーターデーモンが手刀を振りかぶり襲いかかる。一方のメタルキャリアはを開いて腰を落としながら構えた。手刀をでけ止めるつもりだ。

「斬っ！！」

「來いやっ！！」

手刀は袈裟斬りのラインでメタルキャリアに打ち込まれた。そして、ガギンっと鈍い音を響かせる。

「切ったぞ！！」

「ぬっ……」

グレーターデーモンの手刀はメタルキャリアの肩口からり元まで切り裂いていた。

剣が鎧を斷つ。手刀が鋼鉄を切ったのだ。

「甘かったな、魔人よ。昔っから戦では、剣が鎧を斷つなのだ。私の勝ちだ！！」

だが、グレーターデーモンが勝利の言葉を宣言した瞬間に、全が鉄に染まりだす。

「な、なんだ……。がかない……」

やがて直ぐにグレーターデーモンはメタルキャリアのに手刀を振り下ろした勢のまま銅像のように固まった。赤く輝いていた瞳のも消える。

メタルキャリアが下がりながらから手刀を引き抜くと言う。

「わり～わり～、言い忘れていたわ～。俺の素に振れた輩は鋼鉄の伝染病に掛かるんだよね～。その剣、お前の手なんだろう。切ったついでに俺の素にさわっちゃったんだわな～」

そして、皆に見られている。メタルキャリアの鋼鉄染病に汚染された者は、誰かに素を見られているとけなくなる。故にグレーターデーモンはもうけないだろう。

グレーターデーモン一目vsメタルキャリア。

これにて、決著。

勝者、メタルキャリア。