「二人も生きていたのは幸運だった。だが、死んでいてもおかしくない怪我だった！」

報告では、鎧越しでも分かる重。

巨大な魔獣に毆られたのかと思う程に鎧はあっちこっちが凹み、死して尚止まることのない流。

鎧が凹んでいるため襲撃地點でがすことは出來ず、仕方なく安置所まではそのままで運ばれた。

子供は鎧を著ていなかったため先に処置をけた。

腕や肋骨、鎖骨に腳など至る所の骨が折れており、は裂け、眼も部の管が裂けて赤くなっていた。

しかしが裂けているにも関わらず他に倒れている死とは違いが流れなかった。

出盡くしていればとっくに死んでいる。

全員グチャグチャだが、生存者二名は大きい管が裂けずに済んだのだろう。

生きているのが幸運としか言い様のない狀態だった、と。

堅牢署に運ばれてきた二名の生存者と六名の死を彼は見ている。

「キリサキは絶対に捕まえる！　捕まえて奴に罪を償わせる！」

犯罪を重ね続けているキリサキに肩を震わせる。

ブライアンも彼と同じく報告と彼らの容を見ている。

戦場でも滅多に見ることがない悲慘な狀態に眉をひそめた。

「……すまない、取りした。話しを変えるが、さっき目を覚ました子供と話をしてきた」

ある程度吐き出した首長はし冷靜になる。

そしてここへ來る前の話を始める。

「心苦しいが治癒核で耳と口は治させ、他は酷くない限りは薬での処置で終わらせた。それで一応會話は出來る狀態だからな」

キリサキの所にいた子供、である以上は報を訊き出すのが先。

「怪我をしていて可哀想」などというは二の次にしなくてはならない。

それを分かっているからこそ彼の表と聲音は暗い。

「ただこれを話す前に君に訊きたい。視界が塞がっている狀態で周りの様子を知ることは可能か？」

その狀態で首長が質問を投げかける。

今の説明から彼が考えていることに予測が立つ。

「可能ではありますが、限度があります。音や気配で周囲の狀況や敵との距離などは把握出來ます。しかし分かるのはそれだけです」

眼の部の管が破裂。それによって視界が塞がっている狀態。

それで周りの様子は見えない。

戦闘は可能でも、見ることは出來ない。

「やっぱりか……」

あることに半信半疑だった首長が、ブライアンの回答に疑が晴れる。

納得した表と同時にさらに眉をひそめている。

ブライアンも彼と子供が何を話したのかは分からないが、何を言いたいかは予測出來ている。

「あの子供が運ばれて來た際に眼球の管は破裂し、視界は確実に塞がれていた。そして“カタリナ”の話からも分かっているが、広範囲による襲撃をけたのは一番最初だった」

そして彼は話の続きを始める。

カタリナ。子供と同じく生存した者。

首長の部下だ。

カタリナが生きていたのは、彼が所持していた祖父の形見である魔道によるもの。

インパフロックというカエルの魔獣から作られた首飾りであり、その能力は衝撃の吸収。

しかし強過ぎる攻撃にはほとんど役に立たない。

総重量八十キロの槌で毆られたら、六十五キロの棒で毆られた衝撃になるくらいだ。

ただ、今回の場合はその僅かな変化があったからこそカタリナは生存することが出來た。