《俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。》最終章-29【ガイアとテイアー】

Aに召喚された魔界の悪魔たち五。一のグレーターデーモンは建の三階に飛ばされたドラゴン娘を追いかけ、もう一はエルフ娘に追われて町の奧に姿を消した。今頃は彼たちと激戦を繰り広げているのやも知れない。観戦していたAの前で闘していたグレーターデーモンの一は魔人に敗北して鋼鉄化して固まっている。殘るグレーターデーモンの數は二の悪魔が前に出た。

「召喚主の前で恥ずかしいあまりだな。不甲斐ない……」

言いながらグレーターデーモンはメタルキャリアに鋼鉄染病で敗北した仲間の橫に立つ。そして、腕を橫に振り上げた。

「それっ!!」

ガンっと音が響く。五本指を開いた橫振りの張り手で鋼鉄化したグレーターデーモンの頭部を張り飛ばした。激音の後に鋼鉄化したグレーターデーモンが風車のように回転しながら真橫に飛んで行く。そして、更なる衝撃を響かせ建の壁を突き破り姿を隠した。

鋼鉄化した仲間を平手で張り飛ばすグレーターデーモンの腕力は半端ではない。流石は魔界のデーモンだ。

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「恥さらしは目障りだ!」

青筋を額に浮かべながらグレーターデーモンが述べるとメタルキャリアが指差しながら言った。

「あ~あ、ったね」

「はっ!?」

気が付けばグレーターデーモンの掌が鋼鉄にを変え始めていた。早くも固まって指が一本もかない。

「なんだ、これは!?」

「だから言ったじゃんか。鋼鉄伝染病だってさ。れば染するよ~ん。もうアウトだね~」

「ぬぉぉおおおお!!!」

「もう手遅れだわん。固まるぞ~」

「…………」

もう既にグレーターデーモンは唸り聲すら上げられない狀態に変化していた。全が鋼鉄化している。それを見ていたガイアとテイアーがメタルキャリアにクレームを飛ばした。

「メタルキャリアだけ、ズルい~」

『一人で二も悪魔を倒しちゃったよ~』

「もう殘り一じゃんか~」

児の二人は頬を可らしく膨らませながら怒っていた。メタルキャリアは頭をりながら二人の元に戻って行く。

「ごめんよ、ガイアちゃん、テイアーちゃん。悪気は無かったんだよ~……。言い忘れてたら、あいつらが勝手にさ~……」

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「子供に見苦しい言い訳するな~」

『そうだそうだ~。大人ってズルい~』

「ほらほら、まだオモチャは一つ殘ってるじゃあないか~。それで我慢してくれよ~」

『一つじゃあ足りないよ~』

「私たちは二人居るんだよ」

『これじゃあ、どっちがアイツをやっつけるかで喧嘩になっちゃうよ~』

顎に手を當てながらメタルキャリアがし考え込む。そして、ボソリと言った。

「じゃあ、どちらがアイツを倒すか勝負で決めたらいいんじゃあないのかな?」

「『勝負~?」』

二人のが手を繋いだまま揃って首を傾げた。それが可い。

ぐんっとメタルキャリアが拳を下から突き上げる。

「そうそう、子供らしく拳で決著を著ければいいじゃんか~」

この場に居る全員がメタルキャリアの言葉に同一の意見を思いえがいていた。全然、子供らしくないっと……。

するとガイアが冷めた口調で言った。

「じゃあテイアーちゃん、拳で決著だ~」

テイアーは元気良く答える。

『い~よ~、私も拳で決著つけたいな~』

二人のは笑顔で向かい合う。グレーターデーモンがボソリと「マジか……」っと呟いた。

二人のが言葉を揃える。

「『行くよ~」』

ガイアもテイアーも表は微笑んでいた。楽しそうに笑顔である。

そして、二人が駆けっこのスタート直前のように腰を落とした。この段階では子供らしくて、まだ可らしい。

メタルキャリアが片腕を高く上げる。

「よ~~~い、どんっ!」

剎那、メタルキャリアの掛け聲に合わせて二人の児がスタートを切った。向かい會っていた二人のが正面からぶつかり合う。

ガンっとい音が響いた。拳と拳の激突音である。のぶつかり合った激音でもある。

途端、周囲に衝撃の波が突風のように広がった。互いの突進スピードは見ている者の目には見て取れなかった。

そして、足を止めての毆り合い。速い拳の連打に殘像が見えていた。連続でが煌めき、衝撃音が連呼する。

二人のぶつかり合いは、のような速度で繰り広げられていた。

そして、竜巻が二人を囲む。

その突風をで浴びたグレーターデーモンが後ろ腳を踏んで堪える。ショックウェーブに押された非力な魔法使いたちの數人が吹き飛び背後の壁に背中をぶつけていた。

目を剝いたAも口走る。

「凄い衝撃。本當に子供か!?」

そして、二人の毆り合いが続く。ガイアとテイアーがグーを固めて両者を突き合う。

「あたたたたたたたたたっ!!」

『わぁちゃちゃちゃちゃぢゃ!!』

足を止めて毆り合う二人。互いに繰り出す拳と拳が激突して花火のような衝撃を連続で散らしている。

更に二人は毆り合うだけでは足りないのか蹴り技まで加え始めた。毆って蹴って、また毆る。蹴りと蹴りが差して、脛と脛がクロスした。それでも互いの攻撃はクリーンヒットしなかった。決定打に欠ける。

そして、二人の攻防が続くなか、連打の余り二人のが宙に浮き上がる。やがて毆り合いながら上昇して行った。

毆り合う二人は10メートルを越えて20メートルも浮き上がる。そんな二人を外野の大人たちが唖然としながら見上げていた。

呆れたアスランが呟く。

「なんなんだ、あのガキどもは……」

ドクトル・スカルが答えた。

「知らないわよ……。そもそもあんたが連れて來た子供たちでしょうが……」

皆が唖然と見上げる中で、ついに二人の攻撃が同時にヒットした。ガイアの拳がテイアーの頬を毆り、テイアーの蹴りがガイアの腹を打った。その一打で二人が左右に吹っ飛んだ。ガイアが地面に落ちて、テイアーが空に跳ねる。

ガイアは地面に著地すると、あどけない眼差して空を見上げる。すると上空に止まるテイアーが背筋を反らして大きく息を吸い込んでいた。小さなを膨らまして空気を吸い込んでいるようだ。そのから破壊的なオーラがれだし周囲の景を歪めていた。

アスランが冷や汗を流しながら述べる。

「あれ、不味くないか……」

「不味そうね!」

ドクトル・スカルは言うなり踵を返して走り出した。魔王城の方向に走り出す。

ゾディアックがアスランに言う。

「アスラン君、僕らも逃げよう。凄い魔力だぞ。このままではきっと巻き込まれるぞ!!」

「だなっ!」

「全員退避だ!!」

ゾディアックの指示に従い全員が逃げ出した。

すると上空のテイアーが地上のガイアに向かって大きく口を開く。そして、口から純白の炎を発した。白い炎のドラゴンブレスだ。

「よっと」

その異様な炎に対してガイアが両手を突き出しけ止める。

否。両手でけ止めているのではない。両手で白い炎を吸い込んでいるようだ。

ガイアがホワイトドラゴンブレスを微塵も殘さず吸い込むと、空から地上にテイアーも降りて來る。そして、再び同士が向かい合う。

『流石はガイアちゃんね。なかなかやるわ』

「テイアーちゃんだってやるわね。流石はエンシェントドラゴンの一匹だわ」

『じゃあ、大地母神に敬意を表して、もう一ランク上の攻撃を見せて上げるわ』

「それじゃあ私も、攻撃魔法を見せて上げる。母神の力は封印されているけど、下界に合わせたレベルでなら魔法も撃てるわ」

二人がタイミングを揃えた。

「『行くわよ」』

二人の掛け聲に合わせて空気が激しく揺れた。まるで神と奇跡が競り合っているかのように揺れている。

「ちょっと、これは私でも不味そうね……」

Aも踵を返して走り出していた。その後ろにグレーターデーモンも続く。マッチョエルフたちも逃げていた。ビキニノームたちも逃げていた。第九までもが逃げるように移を開始する。皆が退避していた。

人気が絶えた大通りの中央で二人のがオーラを揺らして向かい合う。するとテイアーのオーラが背後で白龍の形を作っていた。その白龍が長い首を上げて大きく口を開いている。

方やガイアの背後には奇怪な髑髏で飾られた巨大な門が現れた。深淵魔法、地獄門である。母神が使うような魔法ではないだろう。

『行くわよ、ガイアちゃん』

テイアーが言うと白龍のから白炎が揺らいで見えた。

「私も手加減しないわよ」

答えるガイアの背後で巨大な門が音を鳴らして開門する。巨大門の中は漆黒。その漆黒の奧で複數の瞳がギラギラと輝いていた。大小様々な奇怪な魔眼が走りながら蠢いている。

だが、その複數の瞳は一に収まる複眼。それは漆黒の龍の巨だった。

『行くわよ、ダイナミックホワイトドラゴンブレスEX!』

「応戦しなさい、冥界の黒龍ナース。ダイナミックダークドラゴンブレスDX!」

白と黒の龍が同時にドラゴンブレスを吐いた。白い火炎と黒い火炎がぶつかり合うことなくすれ違う。差したドラゴンブレスが狙いを外して互いの橫を過ぎる。

二つの火炎は家を焼き、地面を焦がして町を一文字に焼き払った。大通りを挾んで左右に放たれたドラゴンブレスで大きな一文字を町に刻む。

『あれ、狙いを外しちゃった……』

「私も……」

『さっき頭を叩かれたから、ちょっと目眩が……』

「私もポンポンを蹴られてお腹が痛かったの……」

二人のから激しいオーラが薄れて行くと、白龍が消えて巨大門も閉門する。二匹のドラゴンが消えた。

「やっぱり友達同士で喧嘩は良くないよね」

『そうよね、喧嘩なんてしないで仲良く遊んだほうが楽しいよね』

「それじゃあテイアーちゃん、そろそろおやつでも食べない?」

『あら、もうおやつの時間なのね。それじゃあ、おやつでも食べましょうよ』

「いいね~」

そう言うと二人のは仲良く手を繋いで歩き出す。その足取りはルンルン気分のスキップだった。二人はソドムタウンの診療所に帰るようだ。

殘されたアスランは破壊された町並みを見ながら言った。

「ま、町が真っ二つじゃあねえか……」

ドクトル・スカルが言う。

「しょうがないから、ここはこのまま舗裝して差點にしましょう……」

「丁度良い十字路だな……」

魔王城前に刻まれた十字路。後々の話である。右の通りは母神通りと呼ばれて、左の通りは白龍通りと呼ばれるようになる。魔王城街は、この十字路を基準に発展していくのであった。

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