《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》
怒り狂ったヴィッキーちゃんは、ウイスキー瓶を部屋中に投げ飛ばし、全て々に割ってしまった……。
ミハイルの説得もあり、どうにか落ち著きを取り戻したが。
依然と俺を睨んでいて鼻息が荒い。
蛇に睨まれた蛙のように、俺は黙って正座するのみだ。
「ねーちゃん。タクトの話を聞いてあげてよ! ほら、こうやってスーツまで著てくれたんだよ?」
「……それがどうした? あたいが知りたいのは、なぜミーシャがの格好を、させられていたかってことだ。それもあたいが一番嫌いなブリブリになっ!」
と語気を強める。もちろん、俺を睨んで。
確かに彼の言う通りだ。
俺たちのや結婚の前に、そちらの説明が先かもしれん。
「そ、それに関してですが……すみません。俺のわがままです……ミハイルが先に告白してくれたんですが。俺が『男とは付き合えない』『だったら付き合える』と言ってしまったことで、ミハイルが真にけて、裝しての子として振舞ってくれたんです」
Advertisement
と説明し終えたところで、ヴィッキーちゃんの反応を見ると。
怒り狂うかと思ったら、驚きのあまり固まっていた。
「なっ……そんなことで、の格好をしていたのか?」
「はい。俺が悪いんです……最初からミハイルをけれる覚悟がなかったので」
「じゃあ、ミーシャがよくの服や下著を買っていたのも、化粧品が部屋にあったのも、坊主のためだってか?」
「そうです」
「意味がわからん。男同士だろ……じゃあ、あれか。なんか知らない薄いエロ本。男同士のマンガ。あれも関係あるのか?」
そこだけは完全否定しておく。
「それは全然、関係ありません。ただの趣味だと思います」
「……」
一年間も隠していたので、報量が多すぎたようだ。
ヴィッキーちゃんは混しているようで、黙り込んでしまった。
※
怒りよりもショックが強かったようで、頭を抱え込むヴィッキーちゃん。
それを見たミハイルは再度、話し合いを試みる。
俺とミハイルが並んで座り、ローテーブルを挾んで、反対側にヴィクトリア。
「訳がわからん……。大ミーシャ、お前はそいつが最初から好きだったのか?」
そう指摘されると、彼の頬は一気に赤く染まる。
「う、うん! その學式でタクトに『可い』って言われてから……」
弟の素直なカミングアウトに、驚きを隠せない姉。
口を大きく開いて、ミハイルの顔を指差す。震えながら。
「たったそれだけで、男を好きになったのか? それはつまり同っていうやつだろ? あたいは親父とお袋が死んで、本當にお前を大事に育ててきたんだぞ。なのに、裝してまで坊主と付き合いたかったのか?」
「ごめん……オレは裝しても、しなくても本気だったよ。ねーちゃん」
「なっ!?」
ついに言ってしまったな。
俺があれこれいうより、弟に告白された方がよっぽど辛いだろう。
黙り込むヴィクトリアを見て、俺は好機と見た。
隣りに座るミハイルへ耳打ちし、俺に合わせるように頼む。
お互いの顔を見つめ合い、頷くと座り直し、正座になる。
「あのっ! 弟さんを々と傷つけたことは否定できません。でも、俺の気持ち……いや俺たちの気持ちは一緒です! それは今後、二人で一緒に生きること。結婚です! ミハイルの唯一の家族、ヴィクトリアさんにだけは、それを認めてしいんです。お願いします!」
そう言って、俺が頭を下げると、続けてミハイルも自の姉に気持ちをぶつける。
「ねーちゃん。オレ、本當にタクトが大好きなんだ! オレたちを、結婚を許してしいの!」
深々と頭をさげる彼を、隣りから覗いて見たが涙を流していた。
どれだけ、時間が経ったのだろう。
ヴィッキーちゃんは沈黙を貫き、何も答えてくれない。
「だ、大事な弟だったんだ……父さんと母さんが事故で死んだ時は、絶したよ。このまま、どこかへ逃げようかとも思った。でもまだいミーシャが、あたいのスカートの裾を摑んできたから、踏みとどまることが出來た。親父が殘した店を死にもの狂いで、盛り上げようと頑張った……つもりだった」
顔を上げると、ヴィッキーちゃんの瞳は涙でいっぱいだった。
「それがどうしたっ!? その弟がどこぞの知らない野郎と結婚だと? だいたい、坊主は男のミーシャが好きだと、ほざきながら、裝させていたじゃねーか! ミーシャの気持ちを無視して。自分ののため、を否定してるじゃねーか!」
返す言葉が見つからない。
彼の言っていることは、紛れもない事実。
俺は男のミハイルと付き合うことが怖くて、のアンナを、安心を選んだ……。
「そんな奴に、結婚なんて許すわけないだろっ! とっと帰れ、このクソ野郎!」
「……すみません」
「いいから、早く帰れ! 帰らないと坊主をぶっ飛ばすぞ!?」
「はい」
分かっていたことだ。
今日は帰ろう……あくまでも、今日はだ。
また何度でも、挨拶に來たら良い。
ヴィッキーちゃんが音を上げるまで、持久戦だ。
立ち上がり、深々と頭を下げると。俺はその場から立ち去る。
去り際にヴィッキーちゃんがぶ。
「ミーシャ、塩をまけ!」
だがこちらも負けるわけにはいかない。
いつか必ず、ミハイルを頂く。
覚悟を決めて、玄関へ向かい、紳士靴を手に取ると。
慌ててミハイルが追いかけてきた。
「た、タクト! もう帰っちゃうの?」
「ああ、仕方ないさ。今日は帰るけど、まだあきらめてない。次を考えている」
「タクト……オレもねーちゃんに認めてもらうように、頑張るよ!」
互いの顔を見つめ合い、揺るがないを確かめる。
「そう言えば、タクト。なんか忘れがあるよ?」
「へ?」
「このなんか重たい、紙袋だよ」
と彼が差し出すまで、存在を忘れていた。
親父がくれた『すみ酒』とかいうやつだ。
これさえあれば、どんな厳しい親でも結婚を許してくれる……とかほざいてたな。
どこがだよ、とツッコミたいぜ。
「ああ、それな。親父が用意してくれてさ。結婚を認めてもらえるようにって、『すみ酒』ていうらしいんだ。今回はけ取ってもらえなかったけど」
悔しさから、歯を食いしばる。
「そうなんだ……タクトのお父さんも、オレたちを応援してくれているんだ」
実の姉に反対されたことが、よっぽど辛かったのだろう。
目に涙をいっぱい浮かべている。
そして追い打ちをかけるように、リビングからヴィクトリアのび聲が聞こえてきた。
「な~にが、すみ酒だ。バカヤロー! そんな安酒でミーシャと換か? 絶対け取るか! さっさと帰れ、コノヤロー!」
酷い言われようだな。
でも、大事な弟のことだ。
時間をかけて、ヴィッキーちゃんに認めてもらうよう、頑張ろう。
ゆっくり立ち上がると、ミハイルから紙袋をけ取る。
「ミハイル。今日はこんな形になってしまったけど、また挨拶に來るから」
「うん……待ってるね、タクト☆」
その一言で、心に火がついたぜ。
何度でもやってみせる、今の俺たちなら乗り越えられる。
必ず。
する未來の嫁に背中を向けて、カッコよく立ち去ろうとした……その時だった。
「あ、ちょっと待ってタクト」
「え?」
「そのお酒ってウイスキーなの?」
意外な質問に、アホな聲が出てしまう。
「う、うん……そう聞いたけど。どうしてだ?」
「だってさ。せっかくタクトのお父さんが用意してくれたんだから。もらっておこうかなって。今のねーちゃん、あんなに怒っているけど、ウイスキーは大好きだから☆」
「そういうことか……いや、気持ちは嬉しいんだがな。すみ酒ってのは、結婚を許してもらえる前提で相手に渡すものらしい。だからヴィッキーちゃんが反対している間は、あげたくても渡せないんだ」
俺がそう説明すると、彼はうなだれてしまう。
「そっか……」
「ま、まあ、いつか渡せる時がくるよ。なんか親父が言うには、『ザ・メッケラン』の60年ものらしくてさ。ウイスキー好きなヴィッキーちゃんなら、喜んでくれるさ……」
言い終えた瞬間、背後に人影をじた。
右手が妙に軽いなと思ったら、持っていた紙袋が無い。
「あれ? 酒が……」
と言いかけている際中だが、背中にプニンと気の悪いが伝わる。
コレは宗像先生に近い、巨ってやつでは……。
「どこへ行く!? 我が家族よ!」
そう言って強く抱きしめるのは、先ほどまで、俺を罵倒していたヴィッキーちゃんだ。
「え……?」
「先ほどまでの無禮を許せ……。1回は反対しておかないと格好がつかないだろ、姉としてな。許そう、ミーシャとの結婚を。坊主に任せた、いやタクトよ」
「……」
噓だろ?
たかが、ウイスキーの1つでする弟を渡すのか。
「わーい! やったー! ありがとう、ねーちゃん☆」
「ハハハッ! あたいは最初から、タクトなら許すつもりだったさ。裝でも何でも好きにしろ!」
ヴィクトリア、最低な姉貴だった。
社長、それは忘れて下さい!?
勤め先の會社の社長・龍悟に長年想いを寄せる社長秘書の涼花。想いを秘めつつ秘書の仕事に打ち込む涼花には、人には言えない戀愛出來ない理由があった。 それは『自分を抱いた男性がその記憶を失ってしまう』こと。 心に傷を負った過去から戀愛のすべてを諦めていた涼花は、慕い続ける龍悟の傍で仕事が出來るだけで十分に満たされていた。 しかしあるきっかけから、過去の経験と自らの不思議な體質を龍悟に話してしまう。涼花は『そんなファンタジックな話など信じる訳がない』と思っていたが、龍悟は『俺は絶対に忘れない。だから俺が、お前を抱いてやる』と言い出して―― ★ 第14回らぶドロップス戀愛小説コンテストで最優秀賞を頂きました。 2022/5/23に竹書房・蜜夢文庫さまより書籍が刊行予定です! お読みくださった皆さま、ほんとうにありがとうございます。✧♡ ★ 設定はすべてフィクションです。実際の人物・企業・団體には一切関係ございません。 ★ ベリーズカフェにも同一內容のものを掲載しています。 またエブリスタ・ムーンライトノベルズにはR18版を掲載しています。
8 169高校ラブコメから始める社長育成計畫。
コミュニケーションの苦手な人に贈る、新・世渡りバイブル!?--- ヤンキーではないが問題児、人と関わるのが苦手な高校二年生。 そんな百瀬ゆうまが『金』『女』『名譽』全てを手に入れたいと、よこしまな気持ちで進路を決めるのだが—— 片想い相手の上原エリカや親友の箕面を巻き込み、ゆうまの人生は大きく動いていく。 笑いと涙、友情と戀愛……成長を描いたドラマチック高校青春ラブコメディ。 ※まだまだ若輩者の作者ですが一応とある企業の代表取締役をしておりまして、その経営や他社へのコンサル業務などで得た失敗や成功の経験、また実在する先生方々の取材等から許可を得て、何かお役に立てればと書いてみました。……とはいえあくまでラブコメ、趣味で書いたものなので娯楽としてまったりと読んでくだされば嬉しいです。(2018年2月~第三章まで掲載していたものを話數を再編し掲載しなおしています)
8 159悪役令嬢は趣味に沒頭します
前世の記憶を持ったまま乙女ゲームの世界に転生した。 その転生先が何をしても死が待っている悪役令嬢。 いやいやいやいや、せっかく前世の記憶があるので 死亡フラグは回避させていただきたい。 そして、あわよくば前世の趣味だった音楽で有名になりたい。 この物語は、悪役令嬢のはずのリリア・エルディーナが フラグガン無視で自分の趣味に沒頭する物語です。 注:乙女ゲームのヒロインは途中から登場しますが物凄くイライラしますのでお気をつけください。 ですが、仕事や學校などなどいろんなストレスを抱えてる人にはすっきりできるくらいのざまぁwがございますので安心して下さいませ。(笑) ・ ただいま、アルファポリスにて最新話更新中
8 129甘え上手な彼女
普通の高校生、八重高志(やえたかし)は新學期に入って間もないとある日、同じクラスの宮岡紗彌(みやおかさや)に呼び出される。 「単刀直入に言うけど、付き合って」 「えっと、どこに付き合えば良いの?」 クールで男を寄せ付けない、そんなヒロインが、主人公にだけは甘えまくりの可愛い女の子。 そんなヒロインに主人公はドキドキの連続で毎日が大変に!? クールで甘え上手なヒロイン宮岡紗彌と、いたって普通な高校生八重高志の日常を描いた物語!! 2018年6月16日完結
8 160男がほとんどいない世界に転生したんですけど
部活帰りに事故で死んでしまった主人公。 主人公は神様に転生させてもらうことになった。そして転生してみたらなんとそこは男が1度は想像したことがあるだろう圧倒的ハーレムな世界だった。 ここでの男女比は狂っている。 そんなおかしな世界で主人公は部活のやりすぎでしていなかった青春をこの世界でしていこうと決意する。次々に現れるヒロイン達や怪しい人、頭のおかしい人など色んな人達に主人公は振り回させながらも純粋に戀を楽しんだり、學校生活を楽しんでいく。 この話はその転生した世界で主人公がどう生きていくかのお話です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ この作品はなろうやカクヨムなどでも連載しています。 こちらに掲載しているものは編集版です。 投稿は書き終わったらすぐに投稿するので不定期です。 必ず1週間に1回は投稿したいとは思ってはいます。 1話約3000文字以上くらいで書いています。 誤字脫字や表現が子供っぽいことが多々あると思います。それでも良ければ読んでくださるとありがたいです。 第一章が終わったので、ノベルバでこの作品を更新するのはストップさせていただきます。 作者の勝手で大変申し訳ないです。 続きを読みたいと言う人は……是非カクヨムなどで見て欲しいです。
8 197付き合ってから結婚するまで
少し前に間違って消してしまった「付き合ってから結婚するまで」シリーズを1から書き直してみました。 毎週土曜日更新。 主人公五十嵐優人と、幼なじみでヒロインの工藤陽菜が付き合い、結婚するまでのストーリーとなっております。 また、結婚してからのストーリーも「付き合って結婚した後」として、連載中です。
8 162