《異世界でもプログラム》第五話 想定外の出來事

ライムバッハ領の領都には、私たちが執務を行っている邸がある。ライムバッハ辺境伯の邸とは別に用意された場所で、私たちが生活する場所が一緒になっている。

私の執務室は、邸の口に近いが場所にある。

客人対応が多いのが私だ。ユリウス様に客人対応を任せられない。當代のライムバッハ辺境伯はカール様だ。私たちが支えるべき人だ。しかし、ユリウス様の現在の肩書は別にして”皇太孫”という立場があり、権限を持っていると思われてしまう。他の者たちでは、客人が爵位を持っている場合に、”軽く見られた”と言い出す者が居る(可能が高い)。その為に、私が客人への対応を引きけている。

お父様から、正式にカルラ衆を貰いけた。お父様からは、カルラ衆は好きにしてよいと言われている。私が良ければ、解散しても良いと言われている。お父様は、お父様で別の報網を作られているのだろう。武闘に寄っているカルラ衆は使いにくくなっているのかもしれない。

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そんなカルラ衆の次期カルラに、執務室で報告をけている。

人払いと遮音の魔道の起をお願いされた。カルラ衆が私を害するメリットはない。信頼ではなく、”利”を見せている限りは大丈夫だ。

そして、報告を聞いた。

想定していた最悪を簡単に越えてしまった。

「・・・」

聲が出ない。

私は、どこで間違えた?

「クリスティーネ様」

そうだ。

まだ、報告の途中だ。

「大丈夫。聞こえているわ。その報告に間違いは?」

テーブルに置いた手が信じられないくらいに震えている。

自分でも制が出來ない。手の覚が無くなっていくのが解る。冷たい。足下で何かが崩れている。

「・・・。ありません。”目”が確認を致しました」

「・・・。そう。指や耳は無事?」

報告では、告げられなかった事だ。

「はい。欠損は・・・。頭のみ。他は、重傷者もなく離しております」

命令には従ってくれている。

辛い命令を出している自覚はある。でも・・・。

「今は?」

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「指が周辺を探っています」

「もう一度だけ、聞きます」

間違いであってしい。

噓だと言ってしい。

葉わないことだと解っている。

「はい」

「アルノルト様が襲われた。襲われる前に、カルラ衆に攻撃を仕掛けてきた者が居た」

「・・・。はい。頭の指示があり、カルラ衆は離を優先しました」

頭。頭はカルラの名を持つ。

カルラ衆の名を持つ者は一人だけ・・・。

「そう・・・。それで、離を始めたら、襲ってこなかった?」

先の報告は、アルノルト様とカルラとアルバンに関する報告が主になっていた。

カルラ衆を襲ってきた者が居た?

確かに、命令は守った。しかし、頭を失っている。

カルラ衆としては、失態と言われる覚悟なのだろう。

そして、自分たちで報復を行いのだろう。次期カルラも堅く握られている拳が語っている。

失態だとは思わない。

私は、カルラ衆に”死ぬな”と命令を出している。命令を守れなかったのは、一人だ。

「耳と目には、攻撃を仕掛けてきませんでした」

「貴方の見解は?想像でもいいわ?」

目と耳を先に潰すのなら理解ができる。

指や腕は、ウーレンフートのダンジョンで、中層を越えられる者が揃っている。

「はい。戦闘を得意とした者が狙われたと考えております」

見解は正しい。

しかし、指と腕は、目と耳と行を共にしていた。その中から、指と腕だけを狙った?

違和を覚える。しかし、確証がない。

「戦闘は、カルラ衆が圧倒したのよね?」

「はい。目と耳では対処は不可能だと判斷して離。指と腕は、敵の攻撃に対処しました」

「共和國の者?」

「いえ、目からの報告では、”帝國の剣に似ている”との話です」

目が見ていたのなら、帝國なのだろう。

「・・・。また、帝國なの?」

「はい」

帝國の中にはり込んでいない。

お父様なら何か報を持っている可能がある。

帝國部で何かが変わろうとしているのか?

國境に兵を出して、牽制してくるのなら、今までの帝國と同じで、対処は難しくない。

しかし搦め手を使いだしたのか?

それとも・・・。

報がない時に、想像で思考を加速させてはダメ。報が出てきたときに、間違った方向に進んでしまう。

帝國だとしても、今までの帝國だと考えない方がいい。間違いなく、何かが変わろうとしている。

「ふぅ・・・。わかったわ。ユリウス様に・・・。いえ、私が、ユリウス様にお伝えします」

「わかりました」

カルラの・・・。妹が頭を下げて部屋から出ていく、後ろ姿を見送る事しか出來ない。

めの言葉を投げかけることは出來ない。彼らは、彼は・・・。こうなる事を・・・。違う。私が、”なんと”聲を掛けていいのか解らない。ただ、それだけだ。アルノルト様の時にも、今回も、私は何も出來ない。カルラ衆を任されて、報を把握して・・・。

それで何が変わったの?

頭を振っても、罪悪だけが殘されてしまう。

アルノルト様は、また心を寄せていた者を失った。きっかけを作ったのは、私だ。私が、アルノルト様を・・・。

ノックの音で、現実に引き戻された。

「クリス!」

部屋にってきたのは、先ほどまで報告をしていたカルラ衆の・・・。

それと、ユリウス様だ。

「え?ユリウス様?」

「クリス。共和國に行くぞ!」

「え?ユリウス様?アルノルト様を救出に?」

「違う。話は、カルラ衆から聞いた。アルが、やられるわけがない。今、アルは迷っているだけだ。アルなら自分で立ち上がる」

「え?それでは?」

「共和國を攻める」

意味が・・・。

そうか、アルノルト様は、シンイチ・マナベとして共和國に國しているけど、王國の貴族家の者だ。

それも、ライムバッハの現當主であるカール様のお兄様だ。そして何よりも、私たちの大切な仲間だ。

では、邸に居る事にはなっているが・・・。

共和國は、知らなかったことだとは思うが、アルノルト様を”殺そう”とした。

「わかりました」

「カール様とザシャとディアナとイレーネへの説明は任せる」

「はい。ユリウス様は?」

「俺は・・・。エヴァに會ってくる。アルの事を説明する。その後で、ウーレンフートで兵を集める」

「え?あっ・・・。はい。お願いします」

本當に・・・。

一番、嫌な役割を自ら・・・。

エヴァンジェリーナ様への説明は考えていた。私の役割だと・・・。でも、どう説明していいのか解らなかった。

「エヴァは、連れて行かない。エヴァも付いてくるとは言わないだろう」

ユリウス様を見ると、エヴァンジェリーナを連れて行きたい気持ちが溢れている。

でも、連れて行かないのは、私も賛だ。私たちが國境を越えるだけでも、大事おおごとなのに”聖”という名聲が付き始めている、エヴァンジェリーナ様を連れて國境を越えるのは・・・。共和國に行くのは難しい。

それに、エヴァンジェリーナ様はアルノルト様が迎えに來ると信じている。自らかない。あの人は、そういう人だ。アルノルト様との約束を守る為だけに頑張っている。そして、”聖”と呼ばれるまでになった人だ。

「・・・。はい」

「クリス。カルラ衆を借りたい。エヴァに付けたい」

そうだ。

帝國の狙いが、”アルノルト様”にあるのなら、エヴァンジェリーナ様が狙われる可能がある。

「わかりました」

ユリウス様は、ギルベルト様も連れて行くようです。

ギルベルト様はウーレンフートで、アルノルト様の代わりにホームを取り仕切っている。確かに、ギルベルト様が今回の話を聞いたら、飛び出してくるでしょう。制を行う意味でも、ユリウス様がウーレンフートに行くのがベストなのでしょう。

私は、こちらに殘ることになる。

ザシャとディアナとイレーネに説明をしなければ・・・。

私は、もちろんカルラ衆の管理者として、ユリウス様と一緒にアルノルト様に會いに行きます。

帝國が仕組んだ可能が高いのは解っています。しかし、ユリウス様がおっしゃっている通り、アルノルト様に攻撃を仕掛けて、大切な仲間を殺したのは、共和國の者です。報復をしなければ、私たちが舐められてしまいます。カール様の為にも、きっちりとしなければなりません。共和國には、私たちの為に踴ってもらいます。國にも、帝國にも・・・。必要な事です。アルノルト様はまないでしょう。

アルノルト様が、共和國で何をしていたのか・・・。

そして、何を得ているのか?

今から、話をするのが楽しみです。

「クリス!邸は任せる!」

「はい。お気をつけて」

「解っている。行ってくる!ギードとハンスを連れて行く」

「はい」

次のカルラを、ユリウス様に預けます。そのまま、エヴァンジェリーナの護衛についてもらいます。

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