そんな彼は東と違い治癒核によりほぼ全回復された。

また東より一日早く目を覚ましている。

その報告をけた首長はすぐに彼の元へと赴いた。

しかし殘念ながらまともに話すことは出來なかった。

襲撃によるパニックによって起きてから數時間は會話が不可能だった。

幻覚を見て暴れ出して時は、囚人たちを鎮靜化させる香の魔道を使って落ち著けられた。

長時間嗅げば副作用があるため鎮靜化以外では用いられない魔道。

この香にイペニアンという花の花を混ぜると過去にユキナが拐された際に使用された睡眠玉となる。

副作用である強力な眠気をさらに強めて即効にするのがイペニアンの花だ。

その魔道によって眠った彼が再度目を覚ましたのは、首長が東の元へ訪れる七時間前のことだった。

彼が起きたらすぐに知らせるようにと首長が言っていたため、まだ空が白くなる前だったが報された。

その時間まで起きていた首長はすぐに醫務室へと向かった。

多怯えてはいたが最初よりは落ち著いていた彼に何が合ったのかを訊くのは、また至難だった。

記憶を辿ることで思い返される悲慘な襲撃の様子。

それにより再び起こるパニック、そして最初程ではないにしても暴れ出す。

そして六時間をかけて知り得たのが「最初に大きな揺れをけた」だった。

それ以上を聞き出すのは今はまだ無理だ。

「子供も最初に凄い衝撃をけたと言っていたから、間違いないことだ。それにつけ加えるとその最初の一撃であの悲慘な狀態を生み出したそうだ」

東から聞いた報をつけ加える。

襲撃地點で爭った形跡があったためそれによる慘事だと考えられていたため、その報はやや信じ難かった。

「つまりあの子供は、その一撃目で確実に視界を奪われたが、相手の能力を見ていたということだ」

不服気味な彼の言いを聞いて、自分の予測が合っていたことにし安心を覚えるブライアン。

それと同時に彼が言いたいことをようやく理解する。

「數が合わなかった、ということですね」

ブライアンが確信を持って告げる。

現場にあった足跡は襲撃された者の數を抜いて、六つ。

暗殺者にしては痕跡を殘し過ぎだが、相手とてほとんど初手で終わらせる気でいた所に予期せぬ戦闘。

その長期化とそれによって生じた警備員たちが來までの時間制限。

また東の攻撃による負傷も相まって、止むを得ずの撤退となった。

痕跡は限りなくないが、どうして殘ってしまった痕と僅かな足跡。

それにより襲撃者の數は把握されていた。

そして彼が頭を悩ませていることから、恐らく能力によって周りを見た坊主が告げた人數がこちらが把握している人數と合わなかったのだと推測。

「ああ。これは彼から聞いた容だ」

そう言って彼は一枚の紙を彼に渡す。

そこには彼が東から聞いた容が一言一句そのままで書かれていた。

「能力者は二名、そのの一人が最初の一撃を行ったようだ。それと襲撃者はフードか何かを被っていたらしい」

「人數ってそっちか……」

「何か言ったか？」

「いえ、ただの獨り言です」

自分の推測とはしばかり違ったことに焦りつつも、なんとか誤魔化すブライアン。

そんな彼を不思議に思ったが、それ以上は特に詮索せず放っておく。

「……不自然な土の隆起の話しをしていませんね」

「そうだ。もちろん子供の能力か単に忘れている可能もあるがな」

襲撃地點には不自然な土や土塊が転がっていた。

その跡は大量のがあった位置と戦闘の跡、その近くにあった小さな溜まりの間にあった。

何かの力で盛り上げられ、かされたに違いないその狀態は固有能力、もしくは魔道によって行われている。

「能力者を複數使ってまで子供を殺そうとした。余程我々に捕えられてしくなかったのだろう」

「となると、また侵して來るかもしれませんね」

その容赦のなさから窺える証拠の隠蔽への態度。今の所、奴の家から見つからない今回の計畫の。

そんな彼の行いは、面倒な貴族そのままだ。

という愚癡を飲み込んで留める首長。

そしてブライアンの言う通り、恐らくキリサキはまた堅牢署に侵し、たちの救出、もしくは何かの痕跡にりかねない子供諸共殺害しに來るか。

それともまた別の誰かを使う気なのか、または別の手段で、と考えを巡らせる首長。