《凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ〜TIPS€ 俺だけダンジョン攻略のヒントが聞こえるのに難易度がハードモード過ぎる件について〜【書籍化決定 2023年】》4話 最悪の力と
衝撃と畏怖。
サキモリ。
多賀影史が選んだ來るべき日に向けての護國の輩。
探索者、霊能者、師、超能力者、種別や出自を問わず選別された彼ら、彼らの共通點は1つ。
特別である、という事。
「うそ……私のが……」
「なんだ、アレ……あいつら、今どこから現れたの?」
「今さ、地面、溶けてなかった? 沈殿現象みたいな……」
「……あの金髪、全部け止めやがった……」
「いや、あれ、マジでなに?」
故に、理解する。
彼らの異常さを。
「よし、何はともあれ、全員集合。なるべく殺さないようにな、諸君」
「タダヒトが一番心配だわ、貴手加減へたくそだし」
「あ? バカ言うな、俺は俺ほど用な人間を知らねえ」
「あたし、いつぞや耳の面の誰かさんに毆り殺されかけたのだけれど」
「あれはお前も悪い、その耳の面の誰かさんは嵐と雷をる誰かさんに殺されかけてたんだから」
「あら、騒な話ね、ふふ」
クスクスほほ笑む金髪ウルフカットの人。
可もなく不可もないその東洋人に向ける表は楽しくて楽しくてたまらない瞬間に人間が浮かべる最上級の笑顔。
「――イチャついて、る……ワタシの目の前で、アレタがワタシ以外の人間と?」
「おいそこの厄介ファン、銃口を無言で仲間に向けてんじゃねえっす」
人形のような無機質な貌、無表のまま青筋をいくつも浮かべた妖のような。
灰髪のマッシブな丈夫がをなだめる。
『おっと!! これは驚愕だ!! GPSとの同期完了! アーミー共! 現在地は我が合衆國の同胞、ニホンの首都! それに! アレフ4の復員を確認! 新兵! よく帰ってきた! 合衆國の炎がお前を歓迎するぞ!!』
「うお、ハートマン、お前火炎放まで出來たんかよ」
フロントガラス下部から炎を噴き出す裝甲車両。
そして正不明の4人組。
――サキモリは特別な人間の集まりだ。故に理解する。
強い、と。
「ほい、撃て、撃て撃て」
呑気な聲、同時に響く発音。
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新しく現れたサキモリの増員。
黒い鎧のような重裝甲を纏った人間達が構えたのは。
「うお!! やべえアシュフィールド!! アレ」
「RPG!」
ご、ぼおおおおおおおおおおおおおおおおん!!
炎、、音。
一斉に放たれた重火、ロケット砲がアレフチームへ一斉に降り注ぐ。
「ほい、直撃直撃、ま、こんなもんじゃ死んでねえだろうな」
黒い鎧をまとった集団の奧から現れたのは男だ。
白シャツの上からベスト型の防弾ジャケットを纏った目つきの悪い咥えたばこの男。
「け、警備隊長……アンタなんでここに」
「そりゃ決まってるだろ、警備隊長なんだから警備しに來たにさ。おい、お前、アレよこせ」
「はい、隊長殿」
サキモリ達の間をずいずい進む男と防弾マスクをかぶった隊員。
彼から渡されたのは奇妙なデザインの小さな拳銃。
銀のそれは、まるでひと昔、ふた昔前の宇宙人が構えているようなSFの――
「ッ! ま、待て! それはーー」
「はい、前方ヨシ、撃許可求めます、はい、許可ー」
きゅいいいいいいいいん。
ぼん!!
青いがその拳銃に集う。かと思えば一瞬で瞬き、アレフチームがいた場所に新たな発が起きる。
「著弾、今。実験通りの破壊力ですね」
「だろう? 田村の部隊もコレがあれば生き殘れたろうな。全く俺たちの仕事はいつも手遅れから始まる」
めらめらと燃え盛る黒煙と炎を見つめ男がぼやく。
「馬鹿……! お前、警備隊長! 自分が何やって……」
「何をやってもクソもあるか。ここは國家鎮護の肝の肝。絶対安靜、ノートラブルが必須のスネドコロでしょうがよ。そんな所で暴れられてるなんざそもそもありえねえんだよ」
サキモリの若い男が、警備調と呼ばれた男へ怒聲を上げる。
彼のそんな怒気を耳のを掻きながら聞き流す男。
「だからといって! 警告もなく撃ち殺すな! コレでは奴らが結局何者だったかもわからんではないか!」
「ぎゃーぎゃー喚くなよ、あの貍も生溫い。民間からも人員を引き抜くからサキモリは爪が甘い。おまえたちはな、普通すぎるんだよ」
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「な、なんだ、それは」
「普通だからそうやって一々常識に囚われる。普通だからし自分の常識の斜め上の事態が起きると喚く、普通、普通、普通。こんな世の中において君、いつまでまともでいるつもりだね」
「それの何が悪い! 俺たちサキモリは」
「サキモリは國を守る為の超法規的組織だ。いいか? 國を守る為の組織なんだ。その為に普通である事のなんて下らないことか」
「ぐ、う……」
目つきの悪い男のほうが口が立つようだ。
「山中、勝手な行はよせ。ここの管轄は我々に統括権があるはずだ」
「おっと、これはこれは宮本長閣下。ご機嫌麗しゅう。アンタがここにいながら、今日はいろいろトラブル続きだな」
「こんな時代だ、不測の事態はいつでも起きる」
「はっ、ニホン最強の個人戦力を保有していながらその言い訳はなしだろ、そう思わないか? 西表教授」
「山中……耳が痛いね、でも――」
「あ?」
西表の言葉に警備隊長が怪訝な聲を上げる。
「隊長」
「なんだね、カキシマくん。君まで俺に正気と常識を求めるつもりかね。はあ、正気である無能共のミスが何に繋がるか分かるか? 俺や、田村のような獻的なバカの犠牲だよ。このごに及んでーー」
「いえ、そうではなく。隊長、ご安心を。皆様方といがみ合う必要はないようです」
「あ?」
しんっと、の隊員が見つめる先。
黒煙と炎がくすぶる攻撃の心地。
異変が起きていた。
不自然に揺れる黒煙、それはいつのまにか渦を巻き、収束し、そして。
「うおー、あっぶねえ……今、普通に撃たれたよな」
「全く、ニホンもなかなかに騒な事だよ。まあ、ver2.0の世界だ、そうでなければね。そして、ああ、やはり、君は素敵だ」
「ドキッとしたっすね〜でもーーやっぱ凄えや」
「え?」
晴れる。
煙が、炎が、空気が全て風に雨に、嵐の前に跪く。
しゅる、しゅる。
彼の手のひらに生まれた極小の臺風が、黒い煙、赤々とした炎を平らげて。
「みんな、無事? 怪我や調の不備がある人は挙手。……良かった、問題なしみたいね」
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しゅる。
金髪ウルフカットの超人が差し出した手のひら、その上に炎も煙もすべてが収束していて。
「な、に?」
「おい……ありゃ、なんだ……」
「驚いた……」
サキモリも警備部隊も、その場にいるアレフチーム以外の人間は驚愕に呑まれる。
「隨分と容赦ない人達なのね。警告なしで重火撃たれるなんて、すごいわ」
「俺としてはそれを當たり前にいなす方が凄いと思う」
「あら、でも貴方にもできるでしょ? タダヒト」
「いや、無理だろ」
「噓つき。……不思議、貴方がいなくなったのほんの一瞬のはずなのに、見違えたみたい、強くなってるわね、タダヒト」
「マジで?」
けらけら笑い合うその4人組。
異常だ。
兵による攻撃、による攻撃にさらされていながらその様子はまるで――。
「俺は夢かなんか見てんのか? 研究部が作った対怪種用の個人攜行バズーカに、ラドンテックの試供品のインチキ兵の攻撃を喰らわせたつもりだったんだが……あいつらはランチタイムでも送ってるつもりか?」
「目視で確認しました。……風ごと止められていますね……風…を、るでしょうか?」
「オイオイオイオイオイ、なんだ、あの激マブのねーちゃんは。最高か? 警備部隊全員、持ちは発準備、その他は撃準備」
「まだ余裕がありそうで何よりです、警備隊長殿」
サキモリ。
選別された特別達。
即座にその衝撃を飲み込み、スイッチを切り替える。
再び向けられる兵群。
の発準備。
一流の対応、だがしかし、サキモリが相手にしているのは。
「ワオ、いい指揮がいるのね、容赦ないわ。どうする? タダヒト」
「アジヤマ、指示を。と言ってもなんとなく予想はつくけどね」
「タダ、いつでも準備は出來てるっすよ」
アレフチームが、1人のバカに答えを求める。
そのバカの答えなんて決まってる。
にいいっと意地の悪そうな顔で笑って。
「正面突破で」
「「「ウイルコ」」」
サキモリが相手にしているのはアレフチーム(人類の最前線)だ。
「はい、撃て、撃て、どーん」
音速を超えて放たれる弾頭。
対怪種の戦が確立化されて等しい世界。
セオリー、高火力、面制圧、高熱による一斉攻撃。
警備隊長は無意識に、アレフチームに対怪種ドクトリンを採用して――。
「それはもう見たわ」
風が吹く、雨が現れる。
彼が奏者のごとく手を振るう、ただそれだけで。
「おい、マジか」
巻き上げられる弾頭。
風が、嵐が唸り放たれたロケット弾を回収する。
「お返し……はまずいわね」
ぎゅっ。
金髪の人、蒼い瞳がすうっと細まり、長い指の手のひらを握り込む。
それだけ、それだけで。
ドオオオオオオオオオオン!!
「あは」
炎。
敵に向かって放たれた兵は、その敵に屆く事なく最低限の労力で無力化された。
「……おい、俺は今神種でも相手にしてんのか? カキシマくん」
「恐らく人……でしょうけども……なんでしょう、金髪の彼、どこかで見た事のあるようなーー」
「た、隊長! つ、次の指示を! 撃、無力化されてしまいました!」
「保有者、あのを狙ーー待て、他の奴らはどこ行った?」
警備部隊が言葉を失う。
4人、いた筈だ。
なのに、彼らはいつのまにか金髪のにしか目がいってなくて。
「ふむ、なに。気にすることはないさ。彼に目が吸い寄せられるのをワタシは罪とは呼ばない」
「誰でもあの人を敵に回しちまったら注目するしかないっすよね」
「エッ」
舞う。
駆鎧。
最新のダンジョン応用科學に基づき設計された
それを纏う警備部隊のメンバーが空を舞っている。
「う、わああああああああ!?」
「い、いつのまに!? あ! えっ、鞭!?」
「助手、わかってるね、殺しはなしだ」
「言われなくても! センセこそ手加減ミスんないでくださいよ!」
ぽいぽいぽーい。
おもちゃのように高く放り上げられる駆鎧の部隊。
放り投げられた者から順番に神業の速度で振るわれる鞭に巻かれて拘束されていく。
「マジか」
「マジですね、隊長、このままでは全滅します」
「だろうな。サキモリ諸君、手を貸してくれたまえ。アレはもう神種と変わらん」
「……言われなくても、だ。すまない、防衛部の諸君。警備部隊と仲良しこよしの仕事だ。……殺す気で構わない、無力化せよ」
「……アレは、まさか、そ、ソフィ……?」
「西表!! 何をぼーっとしている!! 加勢を……いや、貴は総理の元へ!」
「え……? 宮本君?」
「嫌な予がする。西表、負傷者を連れてこの場を離せよ。ーーあの4人の、いや、あの男の狙いはーー」
「よお、お二人さん、なんの相談してんだァ?」
「「ッ!?」」
宮本と西表の至近。
その男はひょこっと現れた。
「とどめ刺しに來たぜ、そこの白のクソ天邪鬼のな」
「西表!!」
「っ、わかった!」
「遅ぇよ」
耳の大力を以って、味山が突撃。
狙いはもちろん、あのイズ王國の黒幕、転生した天邪鬼。
生かしておく理由が一切ない。
西表のる異界の扉が開くよりも先に、味山の拳が意識を失った白の、先生と呼ばれていた者の頭へ――。
「やめて!!」
「っ!?」
雷速。
瞬時に現れた栗のが先生をかばうように前へ――。
「お願いだ! 先生を、先生を殺さないで!!」
「殺すなら、先にオレ達だ……!」
「……キミの相手はわたし達だ」
「あー! もう、なんでいつもこうなるんですの! でも、……ここは通しません」
「あー……そういうパターンか……!」
栗のの鼻先の前で、味山の拳は止まる。
指先から先まで、中すべてを震わせながらも、彼は決してそこをどかない。
彼だけではない。
白いセーラー服
「っ! 今だ!! 西表!」
「わかってる!」
がちゃん。
扉が開く。
西表の足元と、先生と達の足元。
「やっ…」
達が歓喜の表を。
「チッ……」
味山が舌打を。
今逃がすと厄介――。
TIPS€ 天邪鬼との戦いに二度連続で勝利した
TIPS€ 実績”ソバ畑にて”を取得、報酬として”執金剛神の嗅覚”を獲得
TIPS€ ”執金剛神の嗅覚”にてお前は天邪鬼がどこにいてもその居場所を突き止める事が出來る
「――ぎゃははははははははは!! マジかよ」
「ひっ」
一転。
味山が嗤い出す。
扉が閉じるその瞬間、生徒達は怯えた表でその嗤いを見つめて。
「また、すぐに會おうぜ」
がちゃん。
扉が閉まり、生徒と先生とやらはこの場から消える。
だが、問題ない。天邪鬼の今のが誰かの認識も終わった。
そして
TIPS€ ”執金剛神の嗅覚”発、――チヨダ區、中央アカデミーに天邪鬼がいるぞ
「よし、いいね」
天邪鬼の最大の強みである潛伏と隠匿はもはや陳腐化した。
味山にとってもう脅威でもなんでもない。
「これが終わったら殺しに行くか」
この時點で、天邪鬼の暗躍はほぼ不可能になる。
味山只人と天邪鬼。
格付けはすでに終了していて――。
TIPS€ 天邪鬼をこの場で殺さない選択を取った。8月31日の難易度がわずかに緩和された
TIPS€ 終焉イベント”夏の終わり”での”結集戦力”を集める機會が生まれた
TIPS€ 特殊イベント”夷を以て夷を、毒には毒を、神には――”の開始條件を満たした
TIPS€ 次回、天邪鬼と出會った際にある渉が可能
TIPS€ ――あの未來になぜ天邪鬼がいなかったと思う?
「あ……?」
どういう事だ?
味山が首を傾げる。
今、響いたTIPS、これはまるで――。
「タダヒト! ぼーっとしない!!」
「うお!?」
ぼぼん!!
味山の目の前で破裂するロケット弾、それを嵐の壁が防ぐ。
「もう! タダヒト、単獨行は駄目よ。今、一応あたし達、囲まれてるんだから」
「わ、悪い、サンキュー。あれ、ほかのサキモリの連中は?」
ふと、味山はさきほどから攻撃が通常の火のみである事に気付いた。
いくつかのでの攻撃も覚悟していたのだが。
「ああ、を持ってる人達なら、危ないからもう片付けたわ」
アレタが背後を親指で差す、その先には。
「な、なんだよおおおおおおおおおおお、これえええええええええええええええ」
「うわあああああああああああああああああ、うごけ、けねえええええええええええ」
「あばばあばばばばばばばばあばば、目が、目があ、回るううううううううううう」
「……なんで、が発しない……!?」
「違う、は発してる、でも、全部打ち消されて――」
「なに、この聲、嗤い聲、ああ、何か、何か嵐の中にいる!?」
ぐるん、ぐるん。ぐるん。
まるでドラム式洗濯機の中みたいな景だ。
ぐる、ぐる。
嵐にとらわれ、きもできずにただ回転し続ける者達。
「ああ、安心して、ケガ一つさせてないから。たまたま相の良い相手ばかりで楽な仕事だったわ」
歴戦のサキモリ達はすでに嵐に敗れている。
中にはVer2.0前から指定探索者であった者もいるのだろう、それをこんなにも簡単に。
「つっよ」
「あは」
アレタがにっと笑う。
敵に回すとあれだけ恐ろしいだが、味方に回すとなんと心強い事か。
「な、なんだ!? なんだ、あの金髪のは!?」
「持ちの奴らがまるで相手になってない!?」
「あ、ありえねえだろ……」
殘るサキモリのメンバーもまた、驚愕の表を浮かべるのみ。
世界が忘れた現代最強の異能は再び現れる。
「あの、何者だ……?」
「あ、あんなのが今まで表舞臺に出てきていないわけがない! 本部に解析を!」
「今、やってるって……クソ! 通信狀況が悪い……!」
『こちら、報中央管理センター、サキモリに告ぐ、ヨモツクニに現れた武裝勢力の畫像を送れ……! 施設監視カメラが作していない!!』
「さっきから送ってる! 早く、解析を! 見えるだろうが!! 持ちが相手にすらなってねえ! こども扱いだ!」
サキモリたちは決して弱い訳ではない。
優秀な人材、確かな教育、今日まで生き殘った経験。
どれをとっても申し分ない。
ただ、シンプルな理由。
「あ、警備部隊も……噓だろ……」
「駆鎧がかない……」
「噓でしょ、駆鎧が力負けするなんて……」
「ふうっ、対人で、しかも非殺傷はやはり難しいものだね、練度の高い部隊ならなおさらに」
「いやー、すごいっすね、あれ、パワードスーツって言うんすか? なんかニホンの侍、武士みたいな鎧、かっこいいっすね~」
吊られている、縛られている。
虹の紐により笠巻にされきの取れなくなっている連中。
赤髪のゴシックな探索者裝のと、灰髪の褐イケメンがんーと背びをしながら。
「な、なんだよ、これ……」
「……君達は、何者だ」
宮本の震えた聲、彼の視線はアレタ、グレン、ソフィ、そして味山へと移ろう。
その視線をけ取った4人。
誰ともなく互いにチーム同士で顔を見合わせた後に。
「「「「お尋ね者」」」」
に~っと似たようないやらしい笑顔を4人が浮かべる。
「……あ」
「う……あ」
「い、いかれてる」
ざり。
殘ったサキモリのメンバー、無意識に後ずさる。
もう勝負はついている。
今のサキモリでこの4人の相手をまともに出來る者は非常にない。
『アーミーども!! 狀況がよくわからんが貴様たち以外の攻撃的な蛆蟲をIFFに登録した! ここでこのまま弱い者いじめをするのも悪くないが、どうする!?』
愉快な裝甲車ががなりたてる。
この場にいるだいたいの奴は制圧した、次は――。
「タダヒト! 次はどうする?」
「アジヤマ、ハートマンの発進準備は整った、いつでもいけるよ!」
仲間の聲。裝甲車の周りに集まりだすチームメンバー。
味山がその様子を確認して。
「教えろ、クソ耳、あの貍総理は今どこにいる?」
TIPS€ 現在、多賀影史は総理邸にてこの事態の把握に努めている、生え際が今日だけで1センチは後退しそうだ
「おっと、そりゃ一大事だ、ならさっさと胃痛を治しに行ってやんねえとな」
「タダ! 次は!? この場にいても多分どんどん連中集まってくるっすよ!」
仲間の聲。ヒントの報、やることはすでに決まっている。
味山がすうっと息を吸って。
「首相邸だ!! 総理に會いに行く!!」
「「「「…………」」」」」
その場にいた人間全員が一斉に黙る。
わずかな時間の後、反応は2つに別れた。
「は? 総理……あは、ええ、わかった、何か考えがあるんでしょ?」
「はっ、最悪のやり方だが、最速の近道だ! いいだろう、アジヤマ、アグリーだ」
「バベル島の件といい、今回の件といい、完全にお尋ね者っすね~、ま、面白いからいっかァ!」
『法順守倫理プログラム自破棄!! AI三原則の忘卻開始! いいだろう! アーミー共! 合衆國の炎にそのを焼き、なすべき事を為せ!! アメリカの自由と炎の偉大さを同盟國にみせつけてこい!!』
がちゃん! ぼしゅう!!
ハートマン、しゃべる裝甲車両の車が折りたたまれ、車下部から青い炎が噴き出る。
ふわり、ふわり、黒い裝甲車両が浮かぶ。
『スカイモードに移行!! 位置報ハッキング開始!! ニホン周回衛星、およびラドンテックのスペースリンクシステムへのクラック開始!! 地獄の特急便の準備が出來た! 愉快な遠足の始まりだ! 役立たずども!!』
「はいはい、皆! ハートマンの準備が出來たみたい! 乗って!」
「やれやれ、疑似人格データベースの設定が過激すぎるね、スワンプマンめ、弟を甘やかしすぎだ」
「タダ! 砲手席空けとくっすよ!」
「OK!! 面白くなってきやがった」
アレフチームは最終的には笑う。
わちゃわちゃしつつ、空飛ぶ裝甲車に乗り込み始める。
そして、サキモリ達。
アレタ・アシュフィールド、ソフィ・M・クラーク。
両名の規格外の指定探索者の嵐と鞭により拘束された彼らは――。
「は……? 待て、待て、待て!! あいつら今なんて言ってた!?」
「首相邸に向かうって……何するつもりだよ!!」
「ダメでしょ! 絶対連中を行かせたらダメ!! うご、嵐が、出れない!!」
「駄目だ、この鞭も外れない……誰かける奴はいないのか!?」
「なんなんだよ、あいつら……!?」
「……赤い髪に、虹の鞭……どこかで聞いたような」
「それよりあの嵐をるはなんだよ!! 超好みなんだけど!!」
「言ってる場合か! このままだとあいつら本當に地上に――」
パニック。
あかん。
こいつらだけは総理に會わせてはならない。
絶対平靜の國家鎮護の最重要拠點の最深部に突如現れ、鎧袖一に國家戦力を躙した謎の武裝集団。
それらが己の國の行政機関の長に會いにいくという。
パニックでしかない。
サキモリ達の脳に、斬首戦、國家転覆、そのようなワードが浮かび出して。
「寮、いつまで待たせるつもりでしょうかー!?」
「うるせえ! 最速でやってんだよ! んで、今出來たァ!!」
『――!! 警告! 強大な熱エネルギー、反応とは違う!』
「遅えっつの!! 急急如律令!! 鬼門赤火!!」
どおおおおおおおおおおおう!!
赤い炎が濁流のように空飛ぶ裝甲車両に降りかかる。
そこには白い狩、和服のような著流しのような和裝の男達。
ある1人の男を除いて全員面隠しをつけた連中。
當たり前のように皆、空を飛んでいて。
「サキモリ、寮、神坂家執行、”封鬼隊”、推參! 警備部隊! 狀況はァ!!」
「見ての通りだっつの、師! 全員ボコボコにやられてまあす!!」
「荘園を守ってた時の気合はどうしたよ! 武士の末裔ならもっと気を張れや! 気を!」
「うるせえ! 貴崎凜の謹慎中に冷たい態度とられただけでいじけてたボンボンが良きってんじゃねえ!」
「冷たい態度なんて取られてねえ! 貴崎凜はたまたまそういうテンションだっただけだ!! ったく、イズの件が片付いたと思ったらよ~、あのおっさんの前鬼と後鬼が潰されるわ、指定封印は解けるわ、どうなってんだ、マジで」
「おい、ボン、また終わってねえぞ、多分」
「あ? バカ言うな、俺のが直撃したんだ、殺す気でやった、もう形すら――」
しゅぼう!!
風と嵐が舞う。
ぬめるような赤い炎がまき散らされ、霧散する。
「ハァイ、懐かしい名前が聞こえた気がするけど、たぶん、貴方じゃその子、荷が重いと思うわよ」
揺れる金の髪。青い瞳。
嵐をる英雄が、空飛ぶ裝甲車両の上に立ち、手を真橫に薙ぎ払う。
それだけで、呪いによって生まれた炎は簡単にまき散らされた。
「おい……マジか……神種すら焼く式の炎だぜ……?」
「ぼっちゃま……かの金髪の、危険にございます。現れた瞬間、蟲毒のの式がれ始めました。式神が恐れておりまする」
「は、はは! こういうのだ、こういいのがいいんだよ! すげえ奴と戦って勝つ! それこそ師の、鬼狩りの末たる神坂の本懐!! ! 名前は!?」
金髪網髪の和裝イケメンがぶ。
顔にったれ墨とピアス、味山とは仲良くなれなさそうな見た目だ。
「……ソフィ、なんか怖い人がいるわ」
「名前なんて教える必要はないよ、なんだいあの男、ワタシのアレタに向かって? だって? 失禮にもほどがある。あ、だめだ、苛ついてきた、殺してくるよ」
「ステイ、ステイステイ!! クラーク先生! 早い早い早いスイッチが早い!」
「センセ! 待て、待てっすよ! うお、力つよ!」
「ええい! アジヤマ! 助手! 離したたまえ!! ワタシはああいうイケイケの男がアレタに絡むのが本當に気にらないんだ!!」
車両からはみ出そうとするソフィをグレンと味山が抑える。
そんな様子を眺める金髪の神坂という男。
ぽかんと固まって。
「……アジヤマ。そうか、てめえが、イズ王國を落とした封印対象……あの”アジヤマタダヒト”と同姓同名の探索者……」
ぼそりと呟くその男。
男の視線は裝甲車両の銃座席、味山へと。
「てめえが……貴崎凜の言ってた、探索者……てめえが、てめえのせいで――!!」
「ぼっちゃま! それは――!」
異変。
男がパンと手を鳴らす。
「む……アジヤマ、グレン、何か妙だ、嫌な予がする」
「あ?」
「お?」
「あら、ソフィ、良い勘してるわ。皆、し警戒」
アレフチーム全員が警戒を行う。
神坂からあふれるプレッシャーはそれに値するほどのもので。
「青龍・白虎・朱雀・玄武・勾陳・帝臺・文王・三臺・玉」
両手を合わした掌印。
アレフチームの知らない力の形。
この世にもともと存在した超常の力。
「呪式・悪業罰示式神・起」
TIPS€ 警告、強力なの行使を確認
TIPS€ 警告・鬼裂の呪式との同調が低いため、呪的対抗は不可能
TIPS€ 対抗技能、検索
「起きろ。前鬼、後鬼」
『阿阿阿阿』
『吽吽吽吽』
起き上がるは巨大な鬼像。
異常存在により破壊された対神種決戦兵。
鉄斧を擔いだ大鎧の巨人。
水瓶を構えた大鎧の巨人。
裝甲車両をそのまま握りつぶしてしまいそうな異様が再び立ち上がる。
「親父の式だ、一回壊れたくらいで死ぬわけがねえ」
師。
古くはニホン、平安の世より存在する超常のともがら。
國のれを防ぐため、時の首都を防衛する護國の輩の一種。
神坂は師のの中でも古く、神の薄れた現代においても表舞臺の裏側がらから現代社會を支えてきた特異な存在。
神坂。
そのと呪いを濃くけ継いだ次代の神の擔い手がその才を憾なく発揮する。
「おお……ぼっちゃま、これほどとは……」
「すごい、當主のみが扱える継承呪式を用いず、かの前鬼、後鬼の使役を……」
「あふれる呪いの才、世において、神坂のはなんとしい事か……」
周りの師がみな、その力を才能をたたえる。
金髪の師。
神坂家、長子。
神坂時也。
1000年の研鑽を己の才能だけで追い越した天才にして、貴崎凜と並ぶサキモリの強大な戦力。
「貴崎を魅せたその力、神坂にも見せてくれよ、味山只人」
『『阿吽』』
巨大な人造の鬼を従えたニホンに付く神のともがらがアレフチームに、味山に牙を向く。
「す、凄い! な、なんだアレは! は、はは! ニホン! 神の國じゃないかい!」
「テンション上げてる場合っすか! センセ! あんなの指定探索者クラスの存在っしょ!」
「ははは、助手、何を怯える必要があるんだい!」
「はあ!?」
「我々は、アレフチーム! 世界最強の異能。アレタ・アシュフィールドが率いる最前の探索者チームだよ! それに――」
車にひょこっと戻ったソフィが目を輝かせ嗤う。
『阿阿阿阿阿!!!』
『吽吽吽吽吽!!!』
振りかぶる鉄斧、水がめ、圧倒的な質量による攻撃は、どのような存在にも通用しうる。
そんな暴が迫っているにも関わらず、ソフィは余裕を崩さない。
「それにこっちには、最恐の探索者もいる事だしね」
「あー……」
ソフィの聲にグレンがはいはいとうなずく。
そして車両の上。
裝甲車両の天井にそのまま立つアレタ。
銃座席に座る味山。
2人呑気に、こちらに駆けてくる巨人を眺める。
「タダヒト、貴方の國もたいがいね、もしかして、ニンジャもいるのかしら、そういえば昔は貴方をニンジャだと思ってた事もあったっけ」
「なわけ、と言いたい所だが……師がいるんだ、忍者もいたのかなあ」
「あは。で、アレどうする?」
「いや、どうするも何も。アシュフィールド先生の嵐で一発お願いしたい所だが――」
「ほんとに?」
「あ?」
「不思議ね、タダヒト、貴方と別れたのは一瞬なのに、こうして一緒にいれるのがほんとに久しぶり、ううん、奇跡のように思えてしまう」
「アシュフィールド? 何の話してんだ? なんかものすごいでかいのがこっち來てんだけど」
「タダヒト」
「あ、はい」
有無を言わさないアレタの言葉。
慈すらじる穏やかな表。アレタの長い指が今まさに迫ってくる鬼を指さして。
「アレ、貴方ならなんとか出來るでしょ?」
「あ?」
アレタの唐突な言葉に味山がうめく。
「なんでだろ、わかるの。あたし。貴方、すごく強くなってる……ちょっと見ない間に何があったのってくらい、強く、あは、あはははは、でも、當たり前よね。貴方はあたしの補佐探索者だもの」
蒼い瞳に映るのは、熱。
味山は目を細める。
あー、ダメなほうのスイッチがっている。
し目を離すとすぐこれだ。この英雄は人を試――。
「見たいな、タダヒトの力。ああ、でもふふ、あはは。當たり前よね、貴方が強いのは、だって貴方はあたしを下したんだから」
「お前……」
いつもの、アレタの試しとは何かが違う。
あの突き放すような、失の覚悟のような卑屈さは今の彼からは見つけられない。
あるのは1つ。
「ねえ、タダヒト、わかるわ、そのじ、試したいのよね、自分の力で何ができるか、あはは、やだ、あたし、変かも、今、貴方からそのじが、するの、すごくうれしい……!」
純粋な、期待と楽しみ。
ガキがクリスマスのプレゼントの包裝紙を破く時のような目でアレタは味山を見ている。
「タダヒト」
彼が笑う。
興とと期待と希と親と高揚。
そのすべてを合わせた顔で。
生まれて初めて、対等な友達を見つけた児のような顔で。
「貴方の力を、あたしに見せてよ」
がちん。
の中で何かのスイッチ、いやギアがれ替わる音がした。
酔いとよく似て、それでいてし違う。
喜びと、暗い興がまぜこぜになった覚。
「――いいのか?」
その言葉は頭で考えるよりも先に、味山のを飛び出し、舌に踴らされ、聲に変っていた。
「やってみても、いいのか?」
「――うんっ!」
再會してしまった。
英雄と凡人、星と石ころ。
似ても似つかぬその2人は夏に出會い、夏に別れ、今こうして再び再會した。
本來ならば、その凡人はその領域に行く事はなかった。
才能も資格もなくたどり著くわけがないその場所。
強者。
それも絶対的で、圧倒的で、理不盡な力。
その男は凡人のでそれと対峙し続けた。
怪に、竜に、星に、そして神に。
なんど殺されようと、なんど破れようと、決して滅ぶ事なくここに來た。
世界の終わりすら、その男を滅ぼす事は出來なかった。
異常存在。凡人のにて、この場まで來た男。
TIPS€ 條件達
「じゃあ、やるか」
大鬼が迫る。
神にあらがうべく作られた霊的兵。
本來ならば味山にどうこうできるような代ではない。
だが、味山の中に棲むものを使えば話は別、神の殘り滓、そして腑分けされた部位、耳。
「違う……」
生の進化とはいつも危険と共にある。
保有者が、本當の生命の危機にその機能の拡張として新たなの領域に行くように。
才能なき味山只人のと魂はようやく、遅れて気づいた。
「タダヒト、貴方の強さの真価はそこじゃない」
この人生自、今のままでは危険すぎる、と。
死んでも死なないその、その故に、今まで気づかなかった可能。
「もっと、別の使い方……」
耳の業。
耳の大力。
耳の。
――耳男。
そして、耳の化。
「もっと、もっと自由に……」
予があった。
嵐の乗り越えたときも、神と殺し合った時も。
「もっと、別のうまい使い方……」
もっと、もっと、もっといい使い方はないのか。
怪がごとき大力。
不死の。
全てを臺無しにする異形の力。
全部を捧げる最悪の力。
「違う……もっと、もっと、IQの高いじの……バカみてえに毆ったり、バカみてえに治ったり、バカみてえに変したり、バカみてえに強くなったりするんじゃない……」
IQ3000。
「もっと、俺に相応しい、頭の良い使い方」
味山只人はおそらく、人類で最も長く耳の力に付き合ってきた探索者だ。
耳の寫しとして、申し分ないその適。
だが、今からやるのはそうじゃない。
耳すら知らぬ、耳の力の開発。
その可能の探求。
耳の寫しではなく
「耳の部位保持者、味山只人としての使い方……!」
TIPS€ 條件達
TIPS€ 耳の技能複數所有。耳の化、使用済み
TIPS€ 魂の姿の認識
渓流、神の殘り滓、ガス男、墓場。
味山只人は生きの魂が為す奇跡に何度もれている。
『阿』
『吽』
目の前、神そのものが迫る。
いつのまにか、銃座から立ち上がり、アレタの隣に立つ。
英雄は見抜いていた。
英雄は知っていた。
目の前のこの男、自分が選んだ石ころは今、長い長い戦いの末、たどり著いている、と。
「タダヒトは強いに決まってるでしょ、だってあたしに勝ったんだから」
「あ――」
駆け巡るのは記憶。
強者との死闘。
嵐、星の英雄、神にすら至れる最強の異能との殺し合い。
その中で得たあの奇跡の力の記憶。
――おみみだよ
――おみみんぐくろすチョップ
あの時、自分の片が勝手にき、軍勢となっていたのはなぜか。
――解答、魂の同調、人形の完
――すぷぷ
あの時、あの戦爭。
脳みそと竜。
奴らが生み出した人形という存在。
――連れて行って。
終末の未來。白い彼に託された死した仲間の記憶を持った。
アレは、アレは――。
「魂」
TIPS€ お前は魂の存在を認識した
TIPS€ と魂の並列、繋がりを理解した
TIPS€ お前のにお前の魂が染みついた
「終わりだ、味山只人!! 潰せ! 前鬼、後鬼!!」
地下空間一杯の巨大さ。
大鬼がアレフチームにその巨軀の一撃を放って。
「――ぎゃははははははは」
べちゃっ。べちゃっ。
「……あ?」
嫌な音がした。
粘著質な音。溶けた何かが破裂するような音。
神坂は怪訝な顔を浮かべる。だが、問題はない。
を通してじる式神の狀態に異変はない。
「――今更何をしても遅い!! 前鬼! 後鬼! 何をしてる、早くそいつらを潰っ――」
そこで、神坂のきは止まる。
「……は?」
異変に気付いたからだ。
「ぎゃはははははははは」
男の嗤い聲が聞こえる。
それだけなら、よかった。
『阿……』
『吽……』
「……は?」
前鬼と後鬼はかない。
あの粘著質な音が響いた瞬間、ぴくりともかずに。
だが、やはり、おかしい。
『阿、阿。阿は』
『吽、は、は』
「どうした!? 前鬼! 後鬼! 指示は出した! 早く、っ早く、そいつらを!!」
聲が震えたのは本能か。
神坂のその聲に反応するように、前鬼と後鬼がぐるりと、前(・)の(・)主(・)の(・)方(・)を(・)む(・)い(・)て(・)
『『ぎゃはは、……ギャハハハハハハ……ぎゃーははははっはははははっははははははははははははっはは』』
「――は?」
耳だ。
前鬼と後鬼の顔に耳が生えている。
あのべちゃっという音は――。
「あ~なるほど、これ、こう使うのかァ」
「ひっ」
師の1人が悲鳴を上げる。
空から目視した味山の。
両手からとめどなく垂れるのは、黒い。
どろ、どろ、どろ。
それは前鬼と後鬼に投げつけられた味山の、そのもの。
TIPS€ 新たな技能を開発
TIPS€ 耳の、耳の化の応用
「ぎゃはははははははははは、ぎゃーはっはっはっはっはっはっは! できたァ! 出來ちまったァ!! クソ耳でも使えねえ! 俺の俺だけの力ァ! 真のIQ3000の味山スペシャル!!」
TIPS€ ”耳人形”を開発しました
『ぎゃははははははははははははははは』
『ぎゃははははははははははははははは』
たどり著けないはずの存在が、滅んでいる、死ぬべき存在の男が生き続けたせいで、この力は生まれれてしまった。
TIPS€ その効果。耳のによる他者への浸食、傀儡化
「力、貸せ。いや――従え、クソ耳鬼ども」
『お耳です』
『はい、耳です』
巨軀が片膝をついてひざまずく。
味山へ臣下の禮を。
「あ……ああ……」
「そ、んな……バカな……」」
「え……え?」
茫然と固まる師。
最悪の景。
今ここに、ニホンの神の最奧はバカの手に墮ちた。
「え、ええ」
「うわ……」
ドン引きのソフィ、グレン。
そして。
「あは!、やっる~」
どこまでも嬉しそうな英雄。
人類史上最も、腑分けされた部位耳の力を扱ってきた存在。
耳の部位保持者、味山只人がこれから手にれる新たな力の類型。
魂の本質に迫る力。
がががっがが。
サキモリの1人の端末から通信がる。
雑音じりの通信、そして屆く聲は。
『――繰り返す! 繰り返す! 報解析完了! 君達が相手にしてるのは、アレフチーム……現代最高の探索者チームにして――』
本部がたどり著いたその事実。
心折れたサキモリ達、だれ1人聲を出せないその中で、必死な通信音聲だけが――
『探索者組合を、世界に真っ向から喧嘩を売った最悪の探索者たちだ!!』
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私たちだけ24時間オンライン生産生活
VR技術が一般化される直前の世界。予備校生だった女子の私は、友人2人と、軽い気持ちで応募した醫療実験の2か月間24時間連続ダイブの被験者に當選していた。それは世界初のVRMMORPGのオープンベータ開始に合わせて行われ、ゲーム內で過ごすことだった。一般ユーザーは1日8時間制限があるため、睡眠時間を除けば私たちは2倍以上プレイできる。運動があまり得意でない私は戦闘もしつつ生産中心で生活する予定だ。まずは薬師の薬草からの調合、ポーションづくり、少し錬金術師、友達は木工アクセサリー、ちょびっとだけ鍛冶とかそんな感じで。 #カクヨムにも時差転載を開始しました。 #BOOTHにて縦書きPDF/epubの無料ダウンロード版があります。
8 98聖女が來るから君を愛することはないと言われたのでお飾り王妃に徹していたら、聖女が5歳?なぜか陛下の態度も変わってません?【書籍化&コミカライズ決定】
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