「それじゃあ、帰っておやつでも食べようねぇ、テイアーちゃん」

『そうだね～、ガイアちゃん』

仲直りしたガイアとテイアーが手を繋いで歩き出す。二人は繋いだ手を振ってルンルン気分で歩み出した。足取りはスキップである。その後ろをメタルキャリアが追いかけた。

三人が帰って行くと、に隠れて見ていた者たちがワラワラと姿を表す。

「行っちまったぞ……」

「行ったわね……」

「なんだったんでしょうね……」

壁の隅からトーテムポールのように頭を重ねて並べるアスラン、ドクトル・スカル、ゾディアックの三名が呟いた。

「あの合法ロリたちは、なんで戦い出したんだよ。しかも、あいつらが破壊した町の被害のほうが大きくねえか……？」

アスランの質問にゾディアックが答える。

「でも、これでグレーターデーモンは、あと二だ」

三人は近くの建の三階に開いたを見上げた。レッドドラゴンのアンを追いかけてグレーターデーモンが向かっただ。

「どれどれ～、自然災害見たいなガキどもは帰ったから、そろそろこちらも決著を著けましょうか」

言ったのは大通りを堂々と歩くAだった。その橫には指をポキポキ鳴らしながらグレーターデーモンが勇ましく並んでいる。

アスランも壁のから姿を出した。魔と悪魔に向かって歩き出す。覚悟が決まったのかアスランは表を真面目に引き締めていた。

腰の鞘からグラディウスを引き抜くと、異次元寶庫から黃金剣も取り出した。二刀を両手にぶら下げて歩む。

「やっぱり、決著を著けなきゃあならんのだろうな」

黒山羊頭を被ったAが足を止めた。

「覚悟が決まったようね、坊やちゃん」

「し年上だからって舐めるなよ、キチぴーが！」

「でも、こちらにまだグレーターデーモンが一殘ってるわよ」

するとグレーターデーモンが一歩前に出た。先ずは自分と戦えと言っているような表である。悪魔の眼が鋭く勇ましい。

「ふんっ！！」

アスランが両剣を高く振り上げてから左右に力強く振り下ろした。気合いにブンっと風が鳴り地面から砂埃が舞う。

「ならば、先ずはそいつからぶっ倒してやるよ」

「あらあら、勇ましい。じゃあ、倒して見せてよ」

Aが言うなりグレーターデーモンが魔法を詠唱し始めた。灰の巨漢の前に二つの赤い魔法陣が渦巻き出した。その魔法陣から地獄の業火がれ出ている。

グレーターデーモンが凄む。

「食らえ、ダブルナパームボール！！」

二つの火炎魔法が放たれた。ファイアーボールの上位魔法であるナパームボールは球からしてファイアーボールより大きい。しかも、その大きな火球が二つ同時に飛び迫る。

アスランが腰を落として雙剣を構えた。下半に力を溜める。は斜め、右手のグラディウスが前で左手の黃金剣が後ろだ。

「打ち落とす！」

火球の一つにアスランがスキルを飛ばす。

「ソニックウェーブ！！」

橫降りの黃金剣から斬激破が発された。その飛翔する斬激がナパームボールの一つを切り裂いて発させる。

直後、灼熱の業火が周囲に吹き荒れた。まるで砂漠の大火災のような灼熱突風だった。その火炎の中からもう一発のナパームボールが飛んで來る。

「ウェポンスラッシュ！！」

今度はグラディウスでスキル技を繰り出すアスラン。縦切りの斬打。その一撃で切り裂かれた火球が二つに割れてアスランの左右を過ぎて行く。

そして、背後で二つが発した。その風を背に浴びたアスランが勢いを乗せて前に跳ねる。

炎に押されたアスランのきは、まるで弾丸のようなダッシュだった。10メートルほどあったグレーターデーモンとの間合いを瞬時の跳躍で詰める。

「蹴り返してやる！」

グレーターデーモンの中段廻し蹴り。

だが、アスランは地面を一つ蹴ってジャンプした。膝を元に引き寄せクルリと回転しながら廻し蹴りを飛び越える。

「チョロい！」

そして、回避しながら前に出る。

前に出るだけじゃあなかった。空中で回転しながら刃を突き出してグレーターデーモンの蹴り足を攻めていた。グレーターデーモンの脹脛から鮮が舞い散る。傷は淺いがグラディウスの刀はヒットしていた。その一打がグレーターデーモンの隙を広げる。

「むっ！」

若干の苦痛。それがグレーターデーモンの次の反応に遅れを生じさせていた。

「もろうたぜっ！！」

グレーターデーモンの眼前に迫るアスランが空中でをばして雙剣を振り上げる。弓形にしなる全が勢いを溜めていた。二本のロングソードが高く振り上げられている。

「畜生っ！！」

アスランの攻撃を回避出來ないと悟ったグレーターデーモンが相貌を見開く。その視界にアスランの間が飛び迫って來た。

「えっ……！？」

キィーーーーン！！

「ぐほっ！！」

「ぬおっ！！」

アスランの攻撃が失敗した。跳びすぎたアスランが間合いを見誤り間をグレーターデーモンの顔面に激突させたのだ。そのままグレーターデーモンを押し倒す。

間を顔面に食らったグレーターデーモンは転倒して後頭部を地面に叩き付けた。しかも、顔面の上にアスランの間が押し潰すように降って來る。

「ぎゃふんっ！！」

「うほほっ！！」

グレーターデーモンの顔面に間を押し付けるように転倒したアスランの漢塊にも激痛の雷撃が走った。には理解出來ない激痛が前進を上下して暴れまわる。

「ぐぅぞぉぉ……」

「ふぬぬぬっ！！」

間を押さえながら橫たわるアスランは小刻みに痙攣してかない。一方のグレーターデーモンは鼻を両手で押さえながらのたうち回っていた。

そんなお間抜けを見ていたAが力しながら呟く。

「何をしてるんだ、このバカどもは……」

周りの者たちも呆れて力していた。その場に立ち込めていた張が一気に薄らぎ消えて行く。

全員が呆れていた。そんな中で、建の三階に開いたから二つの聲が飛んで來る。

「みんな！」

「デビル嬢様！」

「えっ？」

皆の視線が聲の主たちに集まった。

三階のにはレッドドラゴンのアンとグレーターデーモンの一が並んで立っていた。二人は何故か仲良く手を繋いでいる。

そして、グレーターデーモンが聲を張った。

「デビル嬢様、それに皆様にご報告があります！」

何事かと、その場に居る全員が二人を見上げていた。

二人が聲を揃える。

「僕たち！」

「私たち！」

「「結婚します！！」」

「「「はぁ～～～～～～～～～！！！」」」

アンとグレーターデーモンの臺詞に全員が全力で力した。

ドクトル・スカルが問う。

「あ、あんたら、何をいきなり言い出すんだ。今までその部屋で何をしていたんだい！！」

アンとグレーターデーモンは俯きながら頬を赤らめると恥ずかしそうに答えた。その手と手は熱く握り締められている。

「二人でを確かめあってました、てへ♡」

「初めてを捧げてました、てへ♡」

「「「「……………」」」」

呆れ返った周囲が完全に靜まり返っていた。誰も何も語ろうとしない。

する者同士で手を繋ぐアンとグレーターデーモンは、ただただ赤面しながらモジモジしている。しかし、何だか幸せそうである。

皆が唖然とする中で間の激痛を耐えながら立ち上がったアスランが脂汗を流すと一言述べた。

「し、幸せになれよ……」

アンが満面の笑みで応える。

「ありがとう、アスラン！」