「アッ君が搬送するように言った子たちですか？　それとも最初に連れて來た三人のの子たちですか？」

「搬送した子たちの方です」

キリサキの家を調べる際に、彼が連れて行かれる前に言った醫務室にいる者のことを懸念したブライアンは、それぞれの部隊に移の指示を出した後に醫務室へと向かった。

こちらも既に突部隊によって中にいた男を拘束、眠っている病人たちの周りには警邏六名と隊長副隊長の騎士二名。

彼らによって落ち押さえられている醫務室の男。

彼は私が部屋に訪れると開口一番にんだ。

「彼たちは怪我人なんだ！　手荒な扱いはしないでしい！」

と。の紋章を見て私たちが警邏であることを理解したキリサキの仲間たちは、キリサキは何もしていないと間違いを訴えてきた。

その中で彼はまず最初に怪我人のことを心配した。

ブライアンもそのつもりではあったが、一番最初にそのことを懇願して來た男に心を抱いた。

男から彼らの容を聞き、どういう搬送であれば問題ないかの確認をしていき、彼と一緒に堅牢署まで搬送した。

銀の長髪の子が特に重癥らしく、堅牢署でも今までにない処置制で彼たちは収容された。

「重癥の方は何人か居ますけど、醫療監房の醫たちでも彼たちへ対処は難しいと言っていましたね」

大抵の怪我人や病人は薬や治癒核で対処出來る。

しかしってきた二名の患者は両方をけ付けなかった。

「魔道によって治癒核を使っても意味のない傷を負わされた怪我人。毒による癥狀ではあるのに薬を飲ませても一向に癥狀が緩和せず、意識を取り戻せない病人。こんな重癥者二名を抱えていたキリサキの家の醫師も処置にあぐねていました」

「基本的に処置を終えれば経過観察となる所を常時醫の配置。キリ・ヘルクレットの怪我はすぐに切り開いてしまいますが、かと言って傷が開いている狀態で放置する訳にもいかないので、そうなりましたけど……」

「魔道バルバ・ティンによって出來たそうです。ということはアンタレス王國のエーデン侯爵に仕える騎士団第一部隊隊長、ウェンベル・レンスタンに會ったということですが」

「渡航履歴がないんですよね」

キリサキの醫師から聞いた魔道の名前。

その武を知っているブライアンと首長は、キリサキたちの同行を調査すべくアンタレス王國に向かうだけでなく、ここ一ヶ月のに出た船舶にキリサキがいたかを聴取。

しかしどの船からも彼らが乗船した記録はなかった。

航した可能もあるが、それが判明するまでは時間がかかる。

「それにしても一週間もアンタレス王國へ航、來航する船がなかったのは幸運ではありましたが、偶然でしょうか？」

たった數日でキリサキが乗船していないと分かったのは、近日までアンタレス王國行きだけでなく彼（か）の國から來航する船まで出ていなかったからだった。