《異能があれば幸せとか言ったヤツ誰ですか??》第151話『敖炙』

それから、2週間ほど経った日。

いつものように、放課後に教室に殘るように言いつけられたキョウカは、絞首臺に立つ囚人のような気で、椿たちを待っていた。

日の暮れた空は、名殘惜しそうにまだ赤みを殘している。

ふと、教室の扉が開く。

その音を耳にし、怯えきったキョウカの肩は大きく上がる。

「お待たせ〜」

椿の呑気な聲が、さらに恐怖を煽った。

椿と、その友人2人が教室にる。

今日は一、何をさせられるのだろうか。

「ねぇねぇ、ストリップショーって知ってる?」

適當な椅子に座るや否や、椿は半笑いでそう尋ねてきた。

「えっ?…し、知らない……」

「あっそ。まあ、ただ服ぐだけだよ。ほら、やれ。」

「えっ、えっ……?」

理解ができていながらも、聲に出せない拒絶が、から疑問符として現れる。

「だーかーらー。になれっつってんの」

そう言いながら椿は、カチカチと、ライターの火を付けては消してを繰り返す。

「ほら、ちゃんと撮っててあげるからさ」

徐に取り出したスマートフォンのレンズを、キョウカへと向ける。

それはもはや、銃口である。

「んじゃ、今からねー」

「えっ、ちょっ、待って……」

キョウカの揺を全く無視して、スマートフォンでの録畫を開始する。

それとほぼ同時に、椿は再びライターに火を燈した。

「ほらー、早くしないと人來ちゃうよー?ってかアタシ手疲れてきたんだけどー」

「…………」

その言葉を意に介さず、恥じらいながらも迅速に、皮出させていく。

「無視してんじゃねェよッ!」

顕になったキョウカの肋骨へ、椿の足が衝突する。

その勢いで側方へ転倒したキョウカは、腹這いのまま告げる。

「ご…ごめんなさい……」

「ちゃんと目ぇ見て言いなよ。『すみませんでした』だろ?」

ライターの火を消した椿が、キョウカの前にしゃがみ込む。

そのまま、荒々しく前髪を摑み上げられ、顔面は強制的に椿と向かい合わせになる。

「す、す……すみませんでした……」

「早くして。」

そのまま手を離し、椿は再びライターに火を燈す。

恥と苦悶の混じった絶的な覚をに、一枚、また一枚と服をぎ捨てていく。

ようやく全ての服をぎ去ったキョウカは、當然一糸纏わぬ姿になる。

その腹には、幾つかの火傷跡が殘っている。

「まだ終わってないよー?ほら、ちゃんとお洋服畳まないとシワになっちゃうよー?」

クスクスと、キョウカ以外の人間が笑う。

「はい……すみません……」

そう言いながら、服を畳み、再び立ち上がる。

「おい。何隠してんだよ。気をつけ。」

最後の抵抗として、部を隠していた手をどかすように命令される。

「は、はい…」

言われたように、両手を側へとつける。

だが、未だライターの火は消えていない。

「はい。じゃあ最後に、カメラに向かってピースピース」

「……はい…」

いっそ殺してしい。と、そう願いながら、両手でVサインを作る。

「表固いよー。ほら笑ってー」

「……は、はは……」

自分の笑顔が歪で不自然なのは、わざわざ確認せずとも明らかだ。

それでも、毆られない為には、こうする他ないのである。

そして、ようやく、ライターの火は消える。

それは即ち………これからその金部分が自に押し付けられることの示唆である。

「じゃあいくよー」

そう言い、椿は金を押し付ける。

「ぅあ"っ…!!」

思わず苦悶の聲が上がる。

キョウカのにある火傷痕は、この名殘である。

「…ちっ。耳元でぶなようるせえなァ!」

今し方つけられた火傷と同じ位置に、今度は椿の膝がめり込む。

「…ぅぁっ……!」

弱々しい聲と共に、呼吸ができなくなる。

またしても倒れ込むキョウカ。

そこへ続いて、椿のつま先が食い込む。

「……ぉご……っ!」

這いつくばるキョウカを、3人が見下ろす。

「あー、ブスが喚いてんのちょー不愉快なんだけど。」

「すみ…ま…せ……」

「ほら、まだぜーんぜん、熱いままなんだけど?」

キョウカの謝罪に全く耳を貸さず、まだ熱いライターの金を、今度は脇腹へ再び押し付ける。

「………んん"っ……!」

「『んっ』だって。いでんの?ドMじゃん」

幾度目とも知れず、ヘラヘラと3人が笑う。

その時だった。

ガラガラ。と、教室の扉が開いた。

「…何してんだ?」

現れたのは、桐咲ソウタだった。

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