《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》485 マリッジブルー

宗像先生が出した代案は、福岡市に存在する私立の大學。

木の葉大學、夜間コース。

「先生、なんで夜間大學なんですか?」

「そりゃ、敷居が低いからな。我が一ツ橋高校は通信制だし、各生徒の偏差値が極端だ。だから測定不能。東大を目指す生徒もいれば、年院から出たりったりする輩もいる」

そう考えると、すごい高校だな……。

「だから、晝間働いている生徒には、夜間大學を進めている。一ツ橋高校と比べたら、勉學は難しいだろうが、毎日講義をけていれば、4年で卒業できるだろう。仮にまた通信制の大學へるとしよう。しかし、我が校とは段違いだ。レポートの審査も厳しく、すぐに返卻されることも多いと聞く。また卒業するには、6年以上……いや8年は見た方が良い。新宮、お前はどちらを選ぶ?」

「それは……」

晝間にめちゃくちゃ働いて、疲れたところで夜にお勉強。

キツそう……でも、4年間で卒業できるのは助かる。

対して、通信制は今のように、好きな時に勉強できるが。

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一ツ橋高校と違い、そう甘くない。

8年間も通うとか、狂気の沙汰だ。

ふとミハイルの顔を思い浮かべる。

これ以上、あいつに辛い思いをさせたくない。

いや、俺だってすごくさびしい。

「俺は……最短コースで大學を卒業したいですっ! だから夜間大學を選びたいと思います!」

「よく言った! なら話は早い。さっさと願書を書いて、小論文でも練習することだな」

聞き慣れない言葉に、うろたえる。

「え? 小論文? なんです、それ?」

その問いに、先生は鼻で笑う。

「大したことないさ。推薦學は、基本的に面接と小論文をやるんだよ。だからって特に意味はない。あんなのもの、試験が真面目に読むと思うか? 100人以上の下らない文章だぞ? 適當でいいんだよ、テキトーで!」

「ウソでしょ……?」

宗像先生はああ言っていたけど、どうしても心配だったので、獨學で何枚も用紙に書いてみることにした。

験する際、制限時間もあるから、タイマーで計ったり。

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先生が當てにならないので、なぜかBL編集部の倉石さんに小論文を持って行き、見てもらう。

何度か注意をけたが、大の形にはなってきた。

それから數か月後。

季節は冬になり、俺は木の葉大學のキャンパスへ向かい、験へ挑むことに。

面接をする際、何人かの男子生徒と一緒に並んで座ったが……めっちゃ浮いていた。

周りは學ランや高校のジャケットを著たピチピチの18歳だもの。

俺だけ一人、スーツにネクタイのビジネスマン。しかも年上の20歳。

問題の面接も、簡単な質問をされるだけで、すぐに終わり。

あとは小論文を書いて提出すれば、試験は終了。

年を越した頃、メールにて合格の通知が屆いた。

これにて進學の件は、一件落著と言ったところか?

大學も合格したし、あとは新生活のため、二人のの巣……じゃなかった。

新居を探すことになった。

やはり料理やスイーツ作りが好きなミハイルには、こだわりがあるだろうと、電話でったが……。

『あ、ごめん。オレ、ちょっとやることがあってさ……タクトが好きに選んでいいよ☆』

これには驚いた。

ようやく二人の時間を作れるというのに。

仕方ないので、俺一人でアパートを探すことにした。

産屋にんな件へ連れていかれ、説明をけたがさっぱり分からない。

とりあえず、家賃が安くて、キッチンは広い方が良いとリクエストしたところ。

地元である真島の近くを紹介された。

築30年以上経っているが、最近リフォームしたばかりだから、裝は綺麗らしい。

今後、結婚してから、またお金が貯まったら、家でも建てるかもしれない。

仮住まいならば、ここでいいやと妥協した。

実家から引っ越して、一人暮らしを始めたが……。

肝心のミハイルは、全然遊びに來てくれない。

なぜだ?

薄い壁のアパートだが、ここならば室なんだぞ!?

一人用だけど、布団も畳にひける……。

早く合しよう!

そんなみもむなしく、何もない毎日をひとりで過ごすだけ。

自炊もしないから、三食カップ麺のみ。

お湯を沸かして注ぎ、麺をすする……の繰り返し。

あとはBL小説を書いたり、新人の漫畫家さんの原稿をチェックしたり……。

なに、この靜かすぎるの巣!?

しびれを切らして、ミハイルへ電話をかけてみる。

『あ……タクト。ごめん、ちょっと忙しくてさ。電話を切ってもいいかな?』

「なっ!?」

あのミハイルが、俺との電話を切るだと?

まさか、俺が嫌いになったとか……。

もしやマリッジブルーでは?

『ホントにごめんね。今やることが多いの。新居もタクトに任せきりで、悪いと思ってるよ?』

「なら……1回ぐらい、新居へ遊びに來ないか?」

家にれてしまえば、こちらのものだ。

こんな時のために布団は、萬年床まんねんどこだぜ。

『行きたいけど……どうしても、やらないといけないことがあるの。それが終わるまでは無理かな』

「え……」

シンプルに傷つく。

『じゃあね、タクト。ごめんけど、しばらく電話はかけてこないで』

「……」

マジで、俺。捨てられるのかな?

新居まで用意したんだぜ……。

2023年、3月4日。

とうとう、この日がやってきた。

一ツ橋高校の卒業式。

校舎の裏にある駐車場は、桜が舞い散り、し風が冷たい。

當然ミハイルもったが、遅れるからと斷られてしまった……。

俺って本気で嫌われてるの?

一人とぼとぼと歩いていると、小さな白い建が見えてきた。

3年前と同じ景。

『第31回 一ツ橋高校 春期 卒業式』

その巨大な看板の前に立つと、深いため息を吐く。

これで終わりか……。

なんだか、あっけない高校生活だったな。

「よぉ! 主役のお出ましだな!」

口の前で怪しく微笑むのは、おぞましい2つのメロンを抱えた

腕を組んで、仁王立ちしている。

「宗像先生、おはようございます……」

「なんだ? そのやる気の無い聲は? 男だろ! もっとシャキッとせんかっ!」

差別、反対。

「いや、卒業式なのに……ミハイルがまだ來ないんですよ」

「だぁはははっははは! そんなことを心配しているのかっ! 大丈夫だろ、ちゃんと來るさ。々しいこと言ってないで、さっさと會場へれっ!」

そう言うと、宗像先生は容赦なく、俺の背中を蹴とばし會場へぶち込む。

気力のない俺は、そのままボールのようにコロコロと転がり、途中で柱にぶつかり制止した。

頭と両腳だけでを支えているので、3つん這いと表現すべきか?

あれ、なにこのデジャブ……。

すると近くに座っていた子生徒が、近づいてきた。

「大丈夫? 琢人くん……ひょっとして、昨晩ミハイルくんにヤラれまくって、足腰がガクガクなのかな♪」

「あぁん!?」

柄にもなく、キレてしまった。

見上げるとそこには、眼鏡をかけたナチュラルボブの腐子。

北神 ほのかが立っていた。

3年前に初めて出會った時、こいつに助けてもらったが、こんな卑猥なことを平然という奴だったか?

ほのかの手を借りて、立ち上がると。

既に會場の中は、生徒たちでいっぱいだった。

普段はやる気のないヤンキー男子も、スーツ姿でビシッと決めている。

ただ中のシャツが付きで、ホストみたい。

子は、煌びやかな振り袖や袴。それにドレスを著ている者まで。

なんだよ……こいつら。

學式の時は、ラフな私服だったのに、卒業式は格好つけるのか?

「琢人くん、ところでミハイルくんとは、仲良くしているの?」

「ああ……忙しくて、あまり會えてないけどな」

ふと、ほのかの著ている振り袖に目をやると。

年たちが、汗だくになって絡み合っている刺繍がっていた。

これ、うちのばーちゃんに依頼してないか?

ドン引きしていると、後ろから大きな聲で、俺の名前を呼ばれた。

「おーい! タクオ! 久しぶりじゃねーか!」

振り返ると、高長にガタイの良いスキンヘッド。

千鳥 力が立っていた。

「リキか……久しぶりだな」

「なんだよ、元気ねーじゃん!」

俺が話す前に、ほのかが勝手に答えてしまう。

リキの太い腕に抱きついて。

「あれらしいよ。ミハイルくんに會えなくて、元気ないんだって♪」

「なるほど、倦怠期ってやつか? タクオ、大丈夫だよ。お前たちなら、何でも乗り越えられるさ!」

と親指を立てるナイスガイ。

こいつら、こんなに仲良かったけ? えらくイチャついてるが。

しかし、それよりも気になるのは、リキの著ているスーツだ。

ほのか同様、ダンディなおじ様たちがで、『どすこい』しちゃってるんだけど……。

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